第102話 お昼を食べながら
「そういってくれると助かる、えっと苗字があるから王都でお仕事をする予定だったんだけど、向かってる途中だったかな?隠れスキルを自分で見つけてね、きっかけは忘れてるけど、それで協会に報告しなきゃいけないかな?って思って教会に行ったら変人扱いされて、信用も失い職も失ったんだ」
二人は無言で何とも言えない顔をしている、そうでしょう?悲惨だよね!
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「それからー・・・そうだ王都についてすぐレオに声かけられてね、貴族だなとは思ったんだけど何をどう監視してるのか解らないけど、行く先々に現れてモデルになってくれってしつこかったっけ・・・
愛人になれとかそういうことは言われなかったけど、気持ち悪いよね。昔からちょっと気持ち悪い人だったかもしれない・・・」
護衛騎士はうつむいて目頭を押さえてるし、侍女様は天を仰いでいる。
「それでなんでか北を目指そうと思って、あっ私の出身が南だったんだけど、家に戻ったら怒られると思ってさ?その準備のために森にテイムしに行ったら、ラロと魔羊にあったんだよね。
あの時はテイムスキル持ってたんだったそうだった。前世の記憶がある人って、意外としっかりと覚えてないもんだね。
あとはーえーっと、そうだ魔羊に連れられて加護の刺繍をしているおばあさんの家に連れていかれたんだった。命を守る刺繍をハンカチに縫い付けてお金儲けてるって言ってたかな?
でぇ・・・近くに湖があってそこから水龍族の人に連れ去られて、女神さまの愛し子だ!って言われて、人生諦めて引かれたレールの上を歩けって言われて思いっきり抵抗してたんだけど、水龍族の子がついてきてさ、その子のせいでしんだかな?
具合悪くなってるのガクガク揺さぶられてさ、あれはもう犯罪だよね。具合悪いのにあんなに揺らしたら死ぬと思うし、もし元気な人でも具合悪くなるぐらい揺らされた記憶が最後かな?
あーそれと前世の記憶持ちだった。その知識を生かして楽して生きようっていう考えは今と大して変わらないかな?
後はおいおい思い出すかもしれないけど、今思い出せるのはそれぐらいかな?」
一気に話しきった
護衛騎士は首のあたりをさすってる、血圧あがったかな?
侍女様は下を向いてこめかみに手を当てている、刺激がつよかったかな?
沈黙が長く、私とは離れるという選択肢を取られたらと思うと不安になってくる。どうしてよいか解らずおろおろしていたら。
「申し訳ないのですが、昨日レオンを呼び出して、少しだけお話は伺っています」
と、護衛騎士が話し始めた
「一つ聞きたいのですが、レオンはその前世と同じ人物なのですか?」
「そうだと思うよ、前はもうちょっとさわやかで分別があったんだけどねぇ・・・姿はそっくりそのままだね、私の姿も全く同じだよ不思議だね?」
「あの、女神さまの愛し子とは?」
「女神さまの愛し子って いとしい って言うだけあって糸とかけてるのか、愛し子が魔羊の毛から作られた刺繍糸でハンカチとかにワンポイントでもいいから刺繍すると、一度身代わりになってくれるって言う加護を付与できるみたい、あーだから私今回付与できるのかな?」
「例のハンカチは女神さまの愛し子様が刺繍なさってるってことなんですか?」
「うんそうだよー、その人だけが加護を付与できるみたい、そして次の世代が魔羊に連れられて愛し子が住んでる家に連れてこられると10年後だったかな?世代交代なんだって。侍女様達は知っていた?」
「いえ、知らなかった事実です。私たちは多めに持たされていました、せっかく育てた子が死なれたらたまらないという理由からでしょう、ローラはその仕事をしていたのですか?」
「してない!する前に死んだし、愛し子とか言って刺繍するだけの人生なんて冗談じゃない!って思った気がする。お金はとてももらえるって聞いてたけど、今思うとどうなんだろうね?あれ、ハンカチ1枚で金貨1枚とか言ってたかな?ちょと思い出せないな・・・」
「今は愛し子としてローラは存在してるのでしょうか?」
「それは解らない、私は前回で女神さまのレールから必死に抜け出そうとしたから、もしかしたら違うかもしれないし、女神さまがムキになってまた愛し子にしてたら・・・魔羊が来たら全力で逃げるよ!」
「あと水龍族というのが最後・・・」
「最後は覚えてないけどね、突然具合悪くなったというより急に倒れちゃってそのままって感じなのかな?ガクガク揺さぶられた記憶の方が辛かったような・・・」
「どのような外見か特長などありますか?知らないとかわしようが無いので」
「うーん、水ってつくぐらいだからか空気中での私たちが使う言語の発音は難しいのかな?村でお話してくれた人は空気中でもしゃべっていたけど、私の後にくっついて回っていた子は顔を水の中に付けないと、私たちの言葉を発音できなかった」
「なるほど?外見は?」
「男か女かわからない見た目をしていた、年齢はたしか若かったけど、20歳ぐらいには見えたかな?あとね絶対戦っちゃだめだと思う」
「なぜですか?」
「最初の出会いというか、いきなりね私の近くにあった木が木っ端みじんになったんだ」
「どおゆうことですか?」
「湖の側にいたんだけど、石を湖にいれちゃったのかな?そしたら中から手がでてきてね、ブォンって小石投げられて木っ端みじんになった・・・人に当たった死ぬよね・・・・・」
「え?それは湖に何かを入れたから怒らせたとかそおゆう類で?」
「たしか違う、あーそーぼーって感じだったかな?常識というかあまりにも人間と違う人種だよ」
「それは・・・」
「だから見かけたら逃げようね、戦ったら絶対に死ぬと思うし」
「そうですね、しかも食事は毒きのこだって聞きました」
「あーそうそう・・・そうだった・・・あっ!ピギーちゃん!!!」
「ピギーちゃん?」
「うん、旅の途中でウリ坊が3匹居てね、ラロが3匹まとめて食べちゃって、出てきたのはなぜか1頭、3頭を1頭にバージョンアップさせたみたいな不思議な事言っていたね・・・人間でも可能だと思うからきおつけてね?」
「「わかりました」」
「その、バージョンアップって何がどう変わるんですか?」
「えっとねーあっそうだ、私今回食べられちゃったでしょ?あれはバージョンアップさせるためだったらしいのね、毒耐性を付けたって言ってた。前回毒でしんだのならよほどそれが心残りだったんだろうね?」
「え?ローラは毒で死なないんですか?」
「それはわからないなぁー何かで試してみようか?解毒薬あるのなら試してみようよ!」
ちょっとわくわくしない?毒食べても死なないって!
「一応町に治療師が居る所で試してみましょう、最悪の事態になったら私が嫌なので」
それはごもっともなお話だ。
「あとはなにがあったかなー何か聞きたいことある?」
「ローラはサラとしての記憶を取り戻して、レオンのことはどう思ってますか?」
「昔はほんの少し心を許していた気がする、今はいいかな、私はサラだけどサラじゃないし、ローラだからその辺間違えてる人には近寄りたくないな」
「どうしたら許せるんですかね?便利なので・・・」
「そうだねー私の事をローラとして見てくれたらかな?レオンは昔はレオだった、けど昔と変わらずだなと思っても、貴族だったころのレオとレオンは混同しないよね。前世のお母さんとコンタクトを取って大事にしてるのはいいことだと思うけど・・・それってレオンも早くに亡くなってるってことでしょ?それってどうなのかなぁ・・・親的には嬉しいのかな?もし立ち直ってた所に前の子供そっくりな子が現れたら心情的にはどうなんだろう?」
「親になったことが無いからわかりかねますね」
「私も解らない、想像なら・・・死んだ子が現れたら凄い嬉しいと思う、でもその子は別の親から生まれてきたんだよね、逆に複雑になるかもしれないなー?割り切れるならいいけど、可愛がってた子が戻ってきたら絶対手放したくないと思う、次こそはもっと大事にって。逆に理解できてもまたその子が目の前から居なくなるのはトラウマえぐられそう」
「トラウマ?」
前世の記憶もまざってしまって、自分自身がややこしいな!と思いながらトラウマってなんだったっけ?こんな意味だったよなと思い、やや適当・・・真剣に答えた。
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