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雪国

 屋敷は北国へと入る。

 一月を過ぎ、積雪が目立つようになってきた。

 屋敷の中から葵と次郎が外を眺めている。

 「西と違って見るだけで寒そうな景色じゃのお」

 「しかし、綺麗だぞ。これが銀世界というやつだな」

 「まるで水墨画じゃ。味はあるが殺風景ではないかえ」

 「今は曇っているから確かに殺風景に見えるな。この後晴れたら外に出てみないか。まっさらな雪の上を歩くのは気持ちいいと思うぞ」

 「そうじゃろうか」



 この後、次郎の言う通り青空が広がる。

 青と白のコントラストが爽やかな景色を生み出している!

 これには渋っていた葵も外に出たくなったようだ。

 「おお!踏み荒らされておらぬ雪の上を歩くのは気持ちいいのお!」

 「そうだろう。なあ葵。雪だるまを作らないか」

 「なんじゃそれは」

 「雪で作るだるま、まあそのままなんだが、雪をこうやって玉を転がして大きくするんだ」

 「こう‥‥これは骨が折れるの。良子や、手伝ってたもれ」

 

 玉は少しずつ大きくなり、体が出来上がる。葵と良子が少し小さめの玉を作り、頭部が出来ると次郎が体の上に頭部を乗せてみた。

 腕となる木の枝を差し、バケツを頭に乗せ、木炭で目鼻口を形作る。

 最後に良子がマフラーを雪だるまの首に巻くと見事に出来上がった。

 「おお。これが雪だるまかえ。わらわと同じくらいの大きさじゃな」

 

 と、隣では手際よく藤子がかまくらを制作している。なかなか大きく、四人が入れるほどだ。

 葵がかまくらに入ってみる。

 「おお!意外と中は暖かいのじゃな。皆も入ってみよ」

 「広めに作りましたので、ゆったり座れます」藤子が言う。

 四人の体温、そして、入り口が狭いかまくらの造りで冷たい風が入りにくいおかげで不思議に暖かい。

 藤子が七輪を炊いて餅を焼き始めた。

 出来上がった餅を皿に分けて砂糖醤油で食べる。

 香ばしい匂いが味を引き立てる。

 「雪は寒くて冷たいと思うゆえ苦手に思うていたが、このような楽しみ方があったのじゃなあ」

 「ああ。だから昔から雪国に住む人がいるんだ。雪国には雪国のいいところがあるんだよ」

 「兄上。体験せねば分からぬ事があるのじゃのお」


 すっかり雪景色が好きになってきた葵が、さらに雪を踏み荒らしていると、荷台に大量の荷物を乗せた団体がやってきた。

 葵が訝り、次郎に聞く。

 「何だろうな。オレがこっそり見てこよう」

 次郎は隠密スキルを使い後を追う。

 さらに木に登り、枝から枝へ進んでいく。


 変だな‥‥

 この先に町や川はあるようだが‥‥

 連中は何を運んでいるんだ‥‥

 

 さらにいくと開けた場所に出た。

 そこには山積みになったゴミが分別されずに捨てられていた!

 「これは‥‥」

 荷台のゴミをところ構わず捨て、捨てたゴミが川にも落ちていく。

 次郎はそれを見届けると、さらに奥の町に行ってみた。

 風に乗って悪臭が町へ向かう。

 町人たちも年中続く悪臭に悩まされているようだった。

 次郎は葵に見てきたことや聞いた事を全て伝えた。

 「ふむ。ゴミとな‥‥」

 

 新たな問題としてゴミが適当に捨てられている事にぶつかった。

 放置すれば悪臭が広がってしまう。

 葵はいい方法がないか検討するのであった。







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