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人形に心を

 町の中をぶらぶらと葵たちが歩いていく。見た感じは普通の町である。この町の特徴は北側にスクラップ広場があり、それを買い取る者がさらに加工して新しい商品を作成する。

 一番売れているのは、つるはしとバケツで、町の外にある鉱山に行く鉱夫が消費が激しいのでよく売れる。

 

 「鉱山では何が採れるのじゃ」

 葵が店の者に聞いてみた。

 「行く山によって変わるんですが、金銀鉄銅などの貴金属、ミスリル、石油、とか、まあ色々ですよ」

 「そなたは何を作るんじゃ」

 「そうですね。つるはしとバケツなんかもよく作りますが、私はこれです」と、置時計を出してきた。

 この世界では腕時計やデジタルなどはない。置時計もアナログだが、よく出来ている。

 「のお。これは売り物なのかえ」

 「いえ、生憎材料が足らなくて完成品ではないのです」

 「そうじゃったか。今度動く時計が出来たら、また見に来たいものじゃ」

 「はい。その時は是非お越しください」

 

 「ところで、そなたたちの仲間か知らぬが、小屋のようになっておる場所が一軒あったのじゃが、店ではないのかえ」

 「ああ。あの家は鉱夫があるものを作り続けているのです」

 「ほお。それはなんじゃ」

 「人の心を持つ人形でございます」

 「なんじゃと!出来るのか!」

 「いえ、まず不可能です。ですが、彼、梶井芝四郎はその不可能に挑戦し続けているのです」

 「人を作りたいという執念を感じるのお。じいなら何か分かるのかのお」

 「その方も機械に詳しいのですか」

 「わらわたちが乗ってきた空飛ぶ屋敷を作った者じゃ」

 「空飛ぶ‥‥屋敷ですって!‥‥」

 「いや、長居してすまぬ。またの」


 早速、屋敷で酒を呑んでいた雲じいを良子と藤子が連れてきて、芝四郎の小屋に行く事にした。

 「もし。誰か居るのかえ」

 暫く反応がなかったが、何度も呼び掛けていると芝四郎が出てきた。

 「どちら様‥‥姫様‥‥え‥‥」

 「わらわは葵じゃ。突然の訪問済まぬ。実はそなたが人の心を持つ人形を作っておると聞いてな。この者が何か分かるかと連れてきたのじゃ」

 雲じいが前に出てきて挨拶をする。

 「雲です。人形を見せてもらえるじゃろうか」

 「では、お入り下さい」

 中は開発室のように中央に大きめの台があり、その上に上半身を起こした状態で幾多の管に繋がれた女性の人形がいた。

 

 「ほお。これは精巧な‥‥」雲じいが普段掛けない眼鏡を掛ける。

 「確かにのお。もはや見た目は人と変わらぬな。して、心を持つにはどうすれば良いのじゃ」

 「膨大な記憶回路の小型化と処理能力のスピード向上、消費電力の低下、学習回路の向上‥‥」

 「頭が痛くなりそうじゃの‥‥じい、どうじゃ」

 「電力部分を魔力として、各回路にミスリルを使う事で大幅に改善出来そうですじゃ」

 「はい。しかし、ミスリルは希少な上に最近全く手に入らないのです」

 と芝四郎が言う。

 

 「ミスリルを買い占めておる者でもおるのかえ」

 「それは分かりません‥‥」

 


 




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