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【コックと一匹の食材!】

作者: あみん

私はただのしがないプリンだ。

「いつか、誰かに食べてもらうために、日々最高級の食材を探している」

その後横にいる男は言った

「……そんなことのために?」

「そんなこととはなんだ! 私の夢をバカにするな!」

何だこのプリン、、、

「あーもうわかったから落ち着けってば」

どうやらこのプリンは、自分を食べてもらいたいがために旅をしているらしい。

「まぁいい。お前も私を食べる気はないようだし、とりあえず休戦といこうじゃないか」

そう言うと、プリンは自分の体を器用に動かして、俺の隣に座った。

「えっと……」

「何だ? まだ何かあるのか?」

「いや、その……。あんたのことは何て呼べばいいんだろうと思ってさ」

「名前か?……そうだな、仮に『プッチン』と呼んでくれても構わないぞ」

「それはちょっと嫌かな……じゃなくて、普通に名前で呼ぶよ。俺はレイジっていうんだ。よろしくな」

「ふむ。ではレイジ、改めてよろしく頼む」

こうして、奇妙な出会いを果たした俺たちだったが―――

「ところでレイジ。君は今何をしているのだね?」

「ん?ああ、実は俺も旅人みたいなものでさ。世界中を旅してるんだよ」

「ほう。ということは君にも目的があるということなのだな?」

「もちろん。世界中の美味しいものを見つけることが今の目標だよ」

「なるほど。それなら私が君の旅に同行しようではないか!」…………どうしてこうなった!? ***

「しかし困ったことになったものだ」

「確かになぁ。まさかこんなことになるなんて思わなかったぜ」

俺とプッチンは、街道を歩きながら途方に暮れていた。

というのも、道中に魔物が現れて戦闘になったのだが、そこで予想外の事態が発生したからだ。

「まさか相手がドラゴンだったとはねぇ……」

そう。相手の正体はなんとドラゴンだったのだ。

しかもかなり巨大な個体であり、普通の人間であれば逃げることすら難しい相手だ。

だが幸いなことに、こちらには魔法を使うことのできるプリンがいたため、なんとか撤退することができた。

ただ、その際に魔力を使い果たしてしまったらしく、今は近くの村まで移動して休んでいるところである。

ちなみにプッチンはというと、地面に横になってぐったりとしていた。

「うぅ……すまぬ……。せっかく同行すると言ったのに情けない姿を見せることになってしまった……」

「気にすんなって。それより早く元気になれよ。じゃないと一緒に旅ができないしさ」

「そ、それもそうだな……。よしっ!そうと決まればすぐにでも出発しようではないか!」……立ち直り早いなお前。

それからしばらく歩いた後、ようやく目的の村に辿り着いた。

「おぉ~これはなかなか立派な建物だな」

村の入口にある大きな門を見て、プッチンが感嘆の声を上げる。……ていうかこいつ本当に喋るんだな。

なんかもうすっかり慣れちゃったけど。

「とにかくまずはこの宿屋に行ってみようぜ。話を聞く限りだと部屋はまだ空いてるような感じだし」

「了解した。では早速行ってみるとするか」

そして俺たちは宿の中へと入っていった。……その後、無事にチェックインを終えた俺たちは、それぞれの部屋に荷物を置いて一息ついていた。

「ふぃー疲れたぁ。とりあえず今日はこれくらいにしておいてやるぜぇ」

ベッドの上に寝転びながらそんなことを呟くと、「おいコラ誰が誰に対して負けを認める発言をしろといった?」などとツッコミが入った気がしたが無視しておくことにした。

だって仕方ないじゃんかしゃべるプリンとか相手にしたくないし、、、「まったく。少し目を離すとすぐこれだからな君は」

「あはは……。ごめんってば。それでこれからどうする?」

「ふむ。ひとまず日も落ちてきたことだし、食事にするというのはどうかね?」

「おっけー賛成。じゃあさっそく食堂に行くか」

ということで、俺とプッチンは連れ立って食堂へと向かうことにした。すると――

「あれ?もしかしてレイジさんですか?」

突然名前を呼ばれて振り返ると、そこには見知った顔があった。

「あっ、やっぱりレイジさんですよね?よかったぁ、人違いだったらどうしようと思ってました」

彼女は、以前この村を訪れた時に知り合った女の子で、名前は確か――

「えっと、リリィちゃんだったよね?」

「はい。覚えていてくださったんですね」

そう言って嬉しそうな顔をする彼女――リリィ・ガーデン。

「いやいや、忘れるわけがないでしょ?こんな可愛い子のことをさ」

「えへへ♪ありがとうございます///」……うん。控えめにいってもめっちゃかわいいわマジで。

「ところでレイジさんたちはどうしてここに?何か用事でもあるんですか?」

「いや、実は俺たちもこの村に来てたんだけどさ――」…………

「なるほど。そういうことだったんですね」

俺はこれまでの経緯を簡単に説明することにした。

「ところでレイジさんたちってこの後の予定はあるんですか?もし良かったら一緒に夕食を食べません?」

「いいね。ちょうど俺たち、お腹が空いて食事にしようと思ってたんだ!」「それなら決まりですね。では行きましょう」

こうして俺たちは再び食堂へと向かった。

***

「うぅ……美味しかったです……」

「ああ……。この世のすべての食材に感謝したい気分だ」

「大袈裟だろお前」

「いや、しかし事実なのだから仕方ないだろう?」

「はいはい。わかったよ」

「ところで、君はどうしてここに来たのかね?」

「私は、実は私の実家がここで経営している宿屋でして、その関係で手伝いをしているという感じなんです」

「なるほど。つまり君は経営者の娘ということなのか」

「はい。といってもまだまだ見習いの身なのですが……」

「それでも立派だと思うぜ俺は。なぁプリン」「そうだな。君は本当に素晴らしい女性だ、是非とも私を最高のプリンに

調理してほしいものだ」

「……プリン?さん、あなたは一体何を言っているんでしょうか?」

「おぉ、そういえばまだ自己紹介がまだだったな。私の名はプリンだ。よろしく頼むぞ」

「プリンさんっていう名前なんですか!?」

「プッチンと呼んでもいいぞ、なかなかに良い名だろう?」……確かに悪くはないと思うけどさ。

「プッチン……プッチン……うぅ……なんだかすごく呼びにくい……」

「……まあ無理にとは言わないがな」……なんかちょっとかわいそうだな。

「いえ!大丈夫ですよ!プッチン……プッチン……はい!バッチリ覚えましたよ!!」

「おぉ、それは嬉しいな」

「ふふっ、これからもよろしくお願いしますねプッチンさん」

そんな風に会話をしながら、楽しい時間は過ぎていった。……そして翌朝、俺とプッチンは、この村を出発して次の村を目指すことにした。

「しかし、まさかドラゴンに襲われることになるなんてなぁ」

「まったくだ。だがあのドラゴンの卵はいい材料になりそうだな、、フハハ!!」

「……お前本当にブレないなお前」

「当たり前であろう。プリンとして当然のことではないか」

「はいはいそーですか」……ホントこいつってば何者だよ。

それからさらに三日後、ようやく目的の場所が見えてきた。

「よし。ようやく着いたみたいだし、早速行くとするか」

「了解した。では行こうか」

そして俺たちはその村へと入っていった。……すると――

「おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい!!!」

突然そんな声とともに、一人の男がこちらに向かって走ってきた。

「な、なんだよあんた?」

「なぁーーーーーー、、あんたたちはもしかして、冒険者か!?」「あ、ああ。一応そういうことになってるぜ」

「やっぱりか!!いやー助かったぜぇ~。実は、今困ってる状態にあってよぉ」

「そ、そうなのか?それで、いったいどんな状況にあるんだ?」

「それがさぁ、、、」

「この辺にいるケンタウロスっていう魔物が俺らの村を頻繁に襲ってきてさぁ、、、」「しかも奴ら、村の作物を荒らしたり家畜を襲ったりしてきてさぁ、、」

「このままじゃ俺たちの生活がヤバイわけよ、、」

「だからさ、悪いんだけどよ。あいつらを退治してくれねぇかな?」

「えっと、、もちろん報酬は出すぜ?だからさ、、頼むよ」

そう言って男は頭を下げてきた。「……どうするプッチン?受けるのか?それとも断るつもりなのか?」

「無論引き受けるに決まっているだろう?それに、この依頼を達成すれば、かなりの量の良質な素材を手に入れることができるはずだ。そうなれば、、、クッ、、想像だけでヨダレが止まらんなぁ……」……うん。もうこいつは放っておくことにしよう。

「わかった。その依頼を受けよう」「本当か!?ありがとよ兄ちゃん!」

こうして俺たちは、ケンタウロスの討伐をすることになったのであった、、、

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