人員確保
千葉コーポレーションの葉山邸に乗り込むため3人だと心もたない。
最低、5人は欲しい。
「ハルさん、捜査員が足りないので人員補充したいだけど」
「おう。任せろ」
連れてこられたのは、浅草。
双子のヤクザである。
兄は右片腕に龍の彫り物は九重龍。
弟は左片腕に虎の彫り物は九重虎。
もちろん、まりえちゃんに沢山の刀をあちこち刺された被害者、2人である。
「お願いします」
と、恐る恐る頼んだ。
顔立ちは能面のように美しいがそれがかえって怖そうだ。
「兄貴、どうする?」
「まぁ、退屈だからええんちゃう」
何故だか協力的だ。
「あの、お二人ともまりえちゃんに怨みとか無いんですか?」
「ナイナイ。負けは負けだからなぁ」
それに、2人は指を刺した。
組の人たちが銅像を建ててくれたらしい。
所変わって池袋。
タワーマンションに住んでるのが御影蘭子に逢いに行った。
彼女は、結婚詐欺師でまりえの被害者である。
「まりえね。あの女には、今は感謝してるわ」
首吊り死体なんだが下半身は無い。
純白のウェディングドレスを着せられていた。
「今は専業主婦してんの」
なんでも、児童虐待の子供の母親に憑依して生活をしている。
たまたま、幽霊なんで隣を覗いてみたらメシも食わせない女だった。
物理的な暴力は行わなかったが言葉の暴力は凄かった。
「アンタたちなんか生まれなければ私はもっと幸せだったのよ」
金持ちの癖に心がシミったれた女が我慢ならなかった。
「昼間だけなら子供が学校に行っているから、大丈夫だけど」
今度は、三鷹である。
三田 稔。今では珍しいスリ。物理的に財布を取る名人。
「協力する」
彼は口に財布を加えて、指を切られて殺されていた。
「怨みとか無いんですか?」
「あん時は余命半年で、最期までスリは止められなかった。あの嬢ちゃんは、変な話だが何かの薬を持ったんだなぁ。痛くも痒くも無かったよ。気づいたら幽霊になってたなぁ」
「つまり」
「だから!協力するっていてるんだ。馬鹿やろう!」
歯切れの良い江戸っ子らしい。
まりえちゃんって、ある意味、凄いかもしれないと感心していた。