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自治会長


 手紙の主は、自治会長だった。

 地域の資源回収の日を掲示板に貼ってあるのだが書き方が堂々として、間違えようもなかった。

 とはいえ、問題がある。

 地下室では殺せない。

 奇跡が起きて植物人間から目が覚めた時に。

「近所の人を殺したら捕まっちゃうよ。僕たちの新婚生活はどうなるの〜」

と半べそかいて泣きだす広志ひろしの姿が浮かんだ。

 確かに新婚生活は楽しい。

 洗濯機がクルクル回るのも楽しい。

 料理するのも掃除するのも楽しい。

 普通の生活が楽しかった。

 自治会長の家は豪邸で、至るところにカメラがある。

 それに、自治会長はお爺さんではなく、お婆さんでもなかった。

 高校生だ。

 9年前に自分以外の家族を強盗に皆殺しにされたのである。

 高校生といっても、今は26歳ある。

 加藤 はじめ(かとう はじめ)。

 事件後、重いうつ病と不眠症で何回も入院していた。

 ようやく、人並みに高校生をすることが出来たのだ。

 中に通してくれた。

 広いリビングだった。

 そして、6人ぐらいで食事できそうなテーブルだった。

 お茶を出してくれた。

「これ、アンタでしょう」

 と手紙を見せた。

「それが何だよ」

と開き直った。

「止めてください」

「止めねぇよ。犯人捕まるまで止めねぇよ」

 凄い殺気だ。

 高校の修学旅行から帰ったら、母親も父親も妹や弟、おばあちゃんも殺されていた。

 母親は、幼い弟を抱いたままだった。

 あんな無残な光景はあるものか!

 それを遮るように、まりえは言った。

「あのね。あの人、今は植物人間なの!捜査なんか出来ないわよ」

 と暗い顔をして言った。

「嘘だろう。あんなヘラヘラした奴が、、」

 ビックリして頭をかかえた。

 あんなへなちょこ刑事でもいないよりマシだったからだ。

 事件も3年経てば遠い過去にされてしまう。

「私には大事な人よ。お願いだから傷つけないで」

 それを言うと帰った。

 あの異様なまでのカメラ、犯人が必ず現れると信じてるんだわ。

 自治会長になったのも情報を集めるためだ。

 なんか読めてきちゃった。

 逮捕させるのが目的じゃないって事が、殺したい気持ち抑えられないんだね。

 確かに、夫はヘラヘラと手紙を見ていたけど、夜遅く調べに行っていることは知っていた。

 家には仕事の資料とか持って帰ったことがなかった。

 まさか、強盗が広志ひろしさんをあんな目に合わせたとは考えにくいけど調べる価値はありそうね。

「そうだわ。後で手紙のお礼にあの子にサンドウィッチを作って持って行こう!」

とまりえは可愛く微笑んでいた。

 まりえは、盗聴器を仕掛けておいたのだ。

 警察署にはレコーダーを仕掛けていた。

 Wi-Fi で録音したのは転送される。

 まぁ、バレたら、身代わりがちゃんと確保しているけど、死んじゃったから探せないけどね。

 まりえの地下室のアジトは古いマンションを改装したものだ。

 裏には井戸がある。

 この井戸に切り刻んだ死体の残りを捨てていた。不思議と満杯にならない。

 中を覗いても真っ暗で底なしな感じである。

 あとは、一応、ディスプレイ用に使った。

 一応、デザインとかも頑張りました!

 殺人鬼なので、それなりに気を使っていた。

 あんまり殺人鬼ぽいのだと発見した人が倒れても可哀想なので、そのへんも気をつけていた。


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