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嫉妬するジェフリー

「セリーナ様は女神様のようなお方だな」


 平民の男子生徒とサムとダニエルだ。



「あぁいう方って現実に居られるんだな……僕たちのようなものにも声をかけてくださるし、市民の生活にも目を向けてくれて」


「そのうえ、教会に本や筆記用具を寄付してくださって、みんなセリーナ様に感謝していた」



 その話を一生懸命聞こうとする男がいる。ジェフェリーだ。



「今度のバザーの出し物だって、まさかご自身が携わるだなんて、あのクッキーを頂けて感激してしまった」



「型抜きをしただけと言われていたけれど、中々出来る事じゃないよ。優しい方だ」


 セリーナを語るその目は信者のように感じた。



 セリーナのクッキーをあの二人が! 私だって手作りを貰った事がないのに!! あの白い美しい手で型を抜いたクッキーだと? そんじょそこらのクッキーではない! セリーナが型を抜いた貴重なクッキー……心の底から羨ましい。




「ジェフェリー様ぁ。先日はお茶に誘っていただいてありがとうございました! とっても嬉しかったです」



 なんだ、世話役をしているあの娘か。はぁっ、朝から煩いな。

 そろそろ入学して二ヶ月か……。早くセリーナに気持ちを伝えないと、デビューに間に合わない。



 可愛いセリーナ。この溢れる気持ちを受け取ってくれ!





「ジェフェリー様? 聞いておられました?」



「なんだ?」



「また誘ってくださいね!」



「……あー、機会があれば」



「待ってます!」


 そう言ってスキップをして去っていくジュリアナ。



 お茶か……。セリーナのためを思って用意した茶器、あれを世話係の娘に使ってしまったのだからセリーナに使わせるわけにはいかない! 新しいものを用意しなくては。セリーナ好みの新作があれば良いのだが。







「あら? ジュリアナ様ご機嫌ですのね」


 教室に戻ると、例の令嬢に話しかけられた。悪い人ではないようだ。



「えぇ、わかりますぅ? 先日ジェフェリー様にお茶に誘われて、楽しい時間を過ごしてきました。茶器も素晴らしくって、お菓子も可愛らしくて私のために用意をしてくださったと思ったら嬉しくて、感激しました」



「ま、まぁ、そうでしたの、ね」


 令嬢は近くにいるジェフェリーの婚約者セリーナを気遣うように見る。わざと聞こえるように言っているとしたら悪質だ。



「また誘ってくださるようなので今から楽しみなんです」



 セリーナに聞こえるように話をするジュリアナだがセリーナは全く気にしていない様子で、ジュリアナは面白くない。



「後一ヶ月で世話役が終わりだなんて寂しいから延長してもらえるようにお願いしてみようかしら! ジェフェリー様はお優しいから了承してくださるはずです。そう思いませんか?」



「それは……どうでしょうか? 学園の方針に従った方がよろしいかと?」


 令嬢は話しかけてしまったことを後悔しているようだ。



「ジェフェリー様は、私が平民だからと分け隔てなく接してくださるんです。皆さんと違って! ふふっ」



 チラッとセリーナを横目で見るが、さっき見た時と何も変わらないその姿につい、



「私に構ってばかりいないでもっと婚約者の方とお過ごしになればよろしいのに。そう思いません?」



「ジュリアナ様! 滅多なことは言わない方が宜しいかと! 婚約は家同士の決まり事。口だしは無用ですわよ。それに殿下のお名前を気軽にお呼びしてはなりませんよ」



 暗に敵を作るような真似はしない方がいいと忠告しているのだが……



「ジェフェリー様お可哀想に……自由が無いんですね。家同士で婚約婚姻が決まるなんて。それに名前があるのに呼んではいけないなんて……」



 セリーナを見ると、読んでいた本をパタンと閉じて、席を立った。



「あっ!」



 話していた令嬢はセリーナが席を立った事によりしまった! と言う顔をした。




******



「……と言う事なんだ」



「殿下、なんでそんな遠回りなことを……直接お話をするようにと何度も言っていますでしょう!」


 側近の一人が呆れたように言った。



「まさか手紙を置いた日に席替えがあったなんて思わなかった。いつもの通り、伝令係に届けさせるとするよ。もうすぐ私とセリーナが出会って十年のアニバーサリーだ」



「その気持ちを早くセリーナ様にお伝えしてください」



「努力する」



「手が止まってますよ」



「悪い。今日の分は今日中に終わらせないとな」



「良い心がけです」




 執務はしっかりやる男ジェフェリー



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― 新着の感想 ―
[一言] もうジェフリーはジュリアナとくっつけば良いんじゃないかな
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