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世話役のジェフェリー2


「まぁ! 毎朝たまごを?」


「はい、毎朝鶏と格闘するのが僕の仕事でした。それから野菜を収穫して朝食にします」


 身振り手振りで、おもしろおかしく話をするダニエルを、興味深そうに見るセリーナ。


「ダニエルさんは新鮮なものを召し上がっていますのね」


 しみじみと心からでた言葉に尊敬の色さえ感じられる。



「ははっ。そうなりますね、セリーナ様に仰っていただくと贅沢をしていたような感覚に思えます」




 クラスメイトのダニエルさんが仰いました。朝から働き朝食には採れたてのものを家族揃っていただくのだそうです。



 ダニエルさんのお家は牛を飼っていて、牛乳を王都に卸しているのだそうです。家族総出での乳搾りのお話も為になりますわね。すると大きな声が聞こえて来ました。



「はい! こちらこそ」


 あらジュリアナさんがジェフェリー様に教室まで送って貰ったようですわ。



 いつもならすぐに教室を出て行くジェフェリー様なのに今日は名残惜しそうに教室の前に立っておられますわね。まだジュリアナ様に用事があるのでしょうか?



「そういえばジュリアナ様のお家は何をされていますの?」


 ダニエルさんに聞きました。


「ジュリアナさんの家は、確か、」


「商会を営んでいます!」


 ジュリアナ様が元気いっぱい話しかけて来ました。



「まぁ、そうでしたのね? 商会では何を販売されていますの?」


 商会と言ってもピンからキリまで。セリーナの家とは関係がないようで名前はしらなかった。



「うちは王都では珍しい外国産の布や食器を扱っていますが()()()商売をしています。食品も貴族様の家へ下請けのものが行っていますし西の国とも交流があります」


「まぁ! 素敵ですわね」


「えぇ、市街でうちの店を知らない人はまずいません。そこの二人の家とは格が違いますね」


 ジュリアナがチラリとダニエルとサムをバカにしたような目つきで見ていた。



「あら、そうでしたのね。不勉強で申し訳ございませんでした」


 セリーナが申し訳なさそうな顔でジュリアナに言った。



「おい、ジュリアナさん!」


 ダニエルとサムがジュリアナに反論しようとした。自分の家の事はどうあれセリーナが謝る必要は全くないからだ。



「何? 本当のことでしょう? 私のうちは家庭教師を雇って勉強をしたけれど、あなた達は教会でコツコツ勉強してたでしょ! 格が違うのよ」


 ふん。さも当然と言った感じで胸を張るジュリアナ。


「教会はそう言った活動をされていますのね。存じませんでしたわ」


 セリーナがダニエルとサムに言った。


「僕たちのような家では教師は雇えませんから……ボランティアの先生に教わりました。中には貴族の方もおられました」


 セリーナの質問に答えるダニエル。


「そうでしたのね。一度その教会へ行ってみたいですわ。ですからお二人とも言葉遣いもしっかりされていますのね。おうちのお仕事をして、お勉強もして頭が下がる思いですわ」


「はい。機会があれば是非」


 ダニエルとサムは機会があればと答えた。そんな日が来る事はない。そう思っていたがセリーナとの会話だと思いそう答えた。



「今日も有意義なお話を聞くことが出来ましたわ。とても為になりました。ありがとうございました」



 今度その教会へ行ってみましょう。そうだわ。筆記用具や本を寄贈するのも良いのかもしれませんわね。セリーナは思った。



******



「どうしました? 元気がないようですが」



 側近の一人がジェフェリーに言った。



「セリーナが楽しそうに男子生徒と話をしていた……私がいるのに酷いではないか!」



「殿下……セリーナ様をお茶にお誘いしなかったんですか?」



「声をかけるタイミングが分からん……。教室へ世話役の生徒を送って行きセリーナを見るので精一杯だ」



「ジュリアナさんですか」



「そんな名前だったか?」



「……セリーナ様以外に興味がなさすぎですね」



「顔の見分けがつくくらいだな」



「早く交流の場を! セリーナ様のデビューを待っていては遅すぎますよ」



「分かっているよ」

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