クラスメイト
入学式が無事に終わり、振り分けられたクラスへの移動となりました。
この学園は王立学園です。貴族の学園ですし、とても豪華な建物でしかも全寮制と言う事でとても広大な敷地となっています。
毎年平民の方が十人程、特待生として入学して来られます。
とっても優秀で将来は国のために働く事になりますので就職がほぼ決定! と言う待遇ですわね。
その為、授業料は免除、寮も食事も無料という高待遇ですの。その代わり成績が思わしくないと退学となってしまいます! 弱肉強食の世界ですわね。
今年の新入生に平民の女子生徒が入学してきました。女子生徒が入ってくる時には世話役として一学年上の生徒が選ばれるのが通例となっています。
その世話係に選ばれたのは、私の婚約者ジェフェリー様でした。
王族も平民の方との交流をした方がいいと言う事からだと聞きましたわ。この事に関しては素晴らしい考えだと思いました。
恥ずかしながら普段の生活で平民の方の生活に触れることはありませんもの。
国の殆どが平民ですのよ? その生活を王族が知ると言うことは、この国のことを知ると言うことですものね。
私のクラスには平民の方が三名おられましたわ。
女子生徒のジュリアナさん。
男子生徒のサムさん、そしてダニエルさんの三名です。
「ジュリアナさん、こちらが貴女の世話係のジェフェリー殿下です。失礼のないようにしなさいね」
先生に紹介を受けたジュリアナさんは、恐縮した面持ちでしたわ。
ジェフェリー様をお見かけするのは一年振りでしたが、私には気づいていないようで、ジュリアナさんと教室から出て行かれました。
相変わらず無表情といった感じでした。十年前から変わらないその表情を懐かしく思ってしまうのは可笑しい事ですわね。
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「久しぶりにセリーナを近くで見た! 前髪を切った様だ! 可愛かった!」
生徒会室でクッションを抱くジェフェリー。
「それで挨拶くらいはしたんですか?」
側近の一人が言った。
「頭は下げたけど、気付いていたかなぁ?」
「……気付いていませんね。それに頭を下げても目が合わない限り、自分に会釈されただなんて思いませんよ」
「え! そんなもの? 心の中ではいっぱい話しかける練習はしたんだが、セリーナが可愛すぎて目が合うと固まってしまって、うまく話せないんだ……可愛いって罪だな」
「十年間も進歩なしってある意味尊敬しますよ……」
「だ・か・ら! なんとかしなくちゃいけないと頑張っているんだ! あの平民の子がセリーナと同じクラスじゃなかったら受けなかったよ! 正直面倒だし、それならセリーナの世話をしたい!」
「大事な役目ですよ? 王族が平民と同じ学園で学び、世話をする。こんな事卒業後はあり得ませんからね。それに学園は皆平等と言う規則に基づいていて殿下の評判もあがりますしね」
「私はセリーナから評価されたいだけ。あの子の世話役をするとセリーナのクラスにも堂々と行けるし、セリーナを間近に感じられて良い!」
「そろそろ交流をお持ちになってください」
呆れた様子の側近達だった。