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街の噂


「フロス商会の娘は学園で王太子殿下に世話をされているそうだ」


「美人で頭も良いしな」




「でも王太子殿下が平民を相手にするか?」


「それが聞いた話によると王太子殿下のサロンに招待されて仲良くしているとの事だ」


「あの貴族の学園でか! フロス商会は将来も安泰だな」




「なぁ、王太子殿下といえば婚約者がいたんじゃないか?」


「それが聞いた話によると、仲良くないそうで、近いうちに婚約を破棄するんだそうだ」


「愛されない婚約者ってやつか? 貴族様は契約結婚だの、政略結婚だの大変だ!」



「それでフロス商会の娘を?」



「フロス商会は規模もでかいし金もたんまりあるからなぁ」





「平民を妻に迎えて大丈夫なのか? 国のトップがだぞ!」


「平民を妻に迎えて俺たちの暮らしが良くなると良いよなぁ。平民目線って言うのか?」



「税金も軽減されると良いな!」






「皆さん、ありえないお話はやめましょう。神の前ですよ」



 パンパンと手を叩き噂話をやめさせる神父。日曜礼拝だった。




「王太子殿下の婚約者のセリーナ様はとても慈悲深いお方で、この子達の教育にも携わってくださる尊いお方です。そんな噂話はよろしくありません。セリーナ様をご覧になればすぐわかります」



「そうだそうだ! あの方は私みたいな者にも優しく接してくださった。未来の王妃はセリーナ様じゃないと」



 パン屋のサムの両親だ。



「セリーナお姉ちゃんは優しいんだぞ」


「セリーナ姉ちゃんを悪く言うな!」



 教会で勉強を習っている子供たちだ。



「わ、分かったよ。しかし、そんな雲の上の存在の様な方が平民に寄り添えるものなのか?」



「あの方はちゃんと見てくださる方です。わざわざ市民の生活を見に来られ、子供たちに教育の場を設けてくださった。皆さんが喜んでいたバザーのクッキーもセリーナ様が用意してくださったんですよ」



「でもよぉ、平民が王太子と結婚となったらそれはそれで王太子の人気が上がるだろう? この国の殆どが平民なんだから」



「一時的なものでしょう。未来の王妃が作法もままならない様では外交に支障をきたす可能性があります」



「あのジュリアナさんは無作法ってことか? あの子は賢いから学べばいいだろう。すぐ覚えるよ」



「そりゃそうだ! 貴族様とは違うってことをジュリアナさんが見せてくれるよ」



「フロス商会はそのご貴族様の屋敷に卸さなきゃ良いんだよ! そしたらあいつら食いっぱぐれるだろうよ」



「違いねぇ」



 はっはっはっ!! と好き勝手言って笑い合う者たち。




「セリーナ様をよく知らないのによくそんな事が言えたもんですね……。王太子殿下は婚約者のセリーナ様を蔑ろにしてまで、ジュリアナさんと婚約を結ぶとは思えません。それに王太子殿下は私たちの事をきちんと考えてくださっています。事実ではない噂を広めるのは良くありません。不敬罪で捕まりますよ!」




「……神父さんの言う通りだ。ジュリアナさんが王太子殿下に選ばれたのならその時は、街全体で祝ってやろうじゃないか!」




******




「もっともっと噂を広めるんだ! 王太子殿下の相手はジュリアナだ!」



「なんせ個人的に付き合いがあるのだからな!」


「「「「はい」」」」




【王太子は婚約者と別れフロス商会の娘を婚約者として迎えるらしい!】


【身分違いの恋!】


【元婚約者傷心!】



 週明けの市民が好むゴシップ誌にどーん。と出ることになるのだった。












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