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17/30

告白された次の日から


「……あら、また贈られてきたの?」


 はぁ。殿下からのプレゼント攻撃です。



「手紙を書くから殿下に届けてもらえる? 一度お会いしてプレゼントのお断りをしないとね」



 レースのハンカチ、王都で流行りのボンボン、リボンに髪留め……高価なものは受け取らないと言ったら、普段使い出来る物を贈ってくる様になりましたの。




【殿下、一度会ってお話をしませんか?】



【もちろん! 喜んで! 会えるのを楽しみにしているよ】


 

 すぐに返事が返ってきました。



******


 〜翌日〜


 殿下の執務室に入りました。いつもの側近の方がお茶とお菓子を出してくれました。


 私の好きなナッツを使ったお菓子やベリー系のケーキまで……茶器も私の好みなのです。


 どうしてこうも私好みの物をプレゼントしてくれたり、お茶の用意してくださるのでしょうか? まるで私の好みを熟知しているような?



 殿下は私と向かい合い顔を見ると緊張すると言う事で、先日のように隣に並んで座りました。



「殿下、」


「今まで通りに私の事は名前で呼んでほしい。セリーナには名前で呼ばれたいんだ」


「ジェフェリー様……」



 相変わらずこちらを見ませんが、会話は成り立つ様になりましたわね。どうやら嫌われてはいない様ですから。



「……セリーナから会いたいと言われて嬉しかったよ」


 声が小さいけれど隣に座っていますからしっかりと耳を傾ける事にします。



「その事でジェフェリー様にお話があります」


「……なに? また婚約を……と言われたら私はショック死するかもしれない」


 そう言って肩を落とし首を振る殿下、いえ。ジェフェリー様の青褪めた顔に小さい声。



「そうではなくて、毎日プレゼントを贈って下さるのは結構です。だって、大変でしょう? それにお金もかかりますしお気持ちだけいただきます」


 ジェフェリー様が使える年間の予算は決まっています。私がデビューして社交を始めると婚約者である私の分の予算も決まるようです。



「十年も我慢してきたんだ……セリーナに似合いのものを見たら贈りたかったのだが、重くないだろうか。などと思って贈る事が出来なかったんだ。とても反省している。品物を贈って今までの十年間の空白が埋まるとは思わないけれど、セリーナを思ってプレゼントしたかったんだ」



 そんなことを言われると、要らないとは言えませんね……



「ありがとうございます。私も殿、いえ、ジェフェリー様に何かお返し出来れば良いのですけれど、何がよろしいですか?」



 王族であるジェフェリー様は望めばなんでも手に入るもの。何かお渡しできるものがあれば良いのですけど。



「セリーナから? 私はセリーナが一緒にいてくれるだけでそれだけで良いんだ、それ以上は望まないしそれこそが贅沢だと思っている」



 私の顔を見てぎこちなく笑うジェフリー様がなんとも言えず素敵に見えましたわ。


 ずっと無表情がトレードマークでしたのに。


 思わずふふっと笑うとまた顔を背けられましたわ。


 でも嫌な感じはしなくて、微笑ましいというか、嬉しくなりました。




******



「あの殿下が、とうとうセリーナ嬢にお気持ちを伝えることが出来たなんて私は感無量ですよ! 凄いですね! 頑張りましたねっ!」


「あぁ。結構頑張った。勇気がいる事だったが、告白できて良かったと思う」


 少し気が晴れたのかスッキリした顔をするジェフェリー。


「そうですよ! あのうじうじした姿をセリーナ嬢に見られなくて良かったですねー」



「……見られたよ。セリーナが婚約を解消しようとしていたなんて……。ショック死しそうになったよ。でもここで死ぬくらいなら恥でもいいからセリーナに気持ちを伝えて今までの誤解を解きたいと思った」



「殿下! 成長しましたね! 私は殿下の成長を目の当たりにして嬉しく思います!」



「私の知る限りおまえは私と同級生のはずだが……成長って……」



「セリーナ嬢の誤解をとっとと解いて今まで溜め込んでいたその重い愛を伝えられたら良いですね!」



「セリーナが私に気を遣って隣に座ってくれるんだ。顔が見られなくなって残念だけど、近くにいるっていいもんだな」



「はい。そうですね! 慣れていきましょう。セリーナ嬢のお顔に」



「十年無理だったのに? 今更無理ではないのか?」



「仮面や頭巾を被ってもらうわけにはいけませんでしょうに……」



「セリーナの可愛い顔に何かを被せるなんて無理だ! でも、結婚式にベールは付けてもらわないと……ベールを捲って顔を直視する事が出来るだろうか……そうだな。慣れていかないと。いざと言うときに困るな」



「結婚式でフリーズされても困りますからねぇ。習うより慣れろ! ですね」



「善処しよう!」



 ここで側近の一人が言った。



「そういえば、王妃様のお怒りは収まりましたか?」




「……恐ろしかったな。あのジュリなんとかと言う平民の生徒と私が付き合っているなんて本気で思ったのだろうか? 母上は私がセリーナを好きなことを知っているだろうに」



「噂とはおそろしいですね。誰が流しているのでしょうか?」



「調査してくれないか?」



「はい。仰せの通りに。私が抜けても執務を滞りなくしてくださると言う約束をしてください」



「うむ。早めに頼むよ」




 


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