視察とピクニックに行くの
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【エキナセア視点】
「んんん〜!いい天気!晴れて良かったわね」
「ソウデスネ」
「これだけ天気が良いと気分もいいわね」
「ソウデスネ」
「ふふ、最近忙しかったからずっと一緒に息抜きしたいなと思ってたのよ」
「ソウデスカ」
「………ディル、あんまり嬉しくない?」
先程から抑揚の無い声しか出さずに肩を落としているディルの顔を覗き込む。
「いえ、嬉しいですよ……………こいつらが居なければもっと」
今日は休みを合わせてみんなで視察や市場調査。そしてそれが終わればピクニックだ!
「はぁ。俺はてっきりエキナセアと2人きりだと」
歩き出したエキナセアの背中を見つめてため息を吐くディル。そしてそんなディルに近付く1つの影。
「ふっ、甘いわねディル。簡単にあんたとお嬢様をいい感じになんてさせないわ」
「バジル……やっぱりお前の仕業か………!」
事の発端は数日前に遡る
✳︎✳︎✳︎
「ねぇバジル"murasaki"の方は少し落ち着いたでしょう?」
私は部屋でバジルと書類仕事の合間にお茶を飲んでいた。
「ええそうですね。獣人の国に事業を移すのは前々から決まっており、お嬢様がこちらへ来る前から調整は繰り返しておりましたので今は然程。じきにお嬢様とあの男の婚礼用の衣装を仕立てに入るので今は束の間の平穏、といった所でしょうか。勿論通常業務は行っておりますよ」
「そう。いつもありがとう」
「いえ、お嬢様の為ならなんなりと」
そう言って優しく微笑んでくれるバジル。彼女には私が手掛けているオートクチュール"murasaki"を支えて貰っている。
「勿論、式当日のお嬢様のお世話はわたくしにお任せ下さいね」
それと、何故か侍女の様な仕事も。
「ありがとう。バジルにお願いすれば間違いないもの、期待しているわね」
「お嬢様っ!」
机越しに抱きしめられた。危ない、危ないから。茶器があるのよ。あとその弾力のある武器を離してくれないと私窒息してしまうわ。
ーー苦しい
漸くバジルのこねくり回し攻撃が終わり、彼女も満足した所で再び話を戻す。
「それでね、バレンギクの方も今ひと段落ついているから近々お休みを合わせてディルと久しぶりに視察や市場調査を兼ねて息抜きして来ようかと思っているの」
ディルは私の秘書の様な役割をしてくれている為常に忙しい。彼が公爵だと言う事が発覚した後も秘書業を続けて貰うのは…と思ったのだが何がなんでも辞める気は無い、私の事業から離れるくらいなら公爵なんて適当な誰かに渡すと半ば脅しの様に言われたので引き続きお願いしてはいる。しかし私達の結婚式が1年後に決まった今、また更に忙しくなるのは目に見えている。ならば今の内に少しでも息抜きをと思ったのだ。一応視察や市場調査は兼ねるが他に会談などを入れなければかなりゆとりは出来る。しかしそんな私の言葉を聞いたバジルは一瞬口角を上げて見えた気がしたのだがすぐにションと眉を下げる。
「お嬢様、その視察はディルと2人でですか?」
「え?ええ。他に会談なんかを入れる予定はないし視察や市場調査なら人数的には十分かなと思ったの。2人ならお休みも合わせやすいでしょう?」
するとバジルは更に肩まで落とす
「お嬢様はわたくしがお嫌いですか?」
「?!」
慌ててそんな訳は無い、大好きだと首を振ればとてもいい笑顔で彼女は私は告げた。
「ならその視察、私もご一緒してもよろしいですよね!」
✳︎✳︎✳︎
結局、バジルは彼女だけでは無くモロノートンに潜入していた時によく私の護衛をしてくれていた者の中からあと2人連れてきた。なので今日は5人での視察だ。知らない内にさらっとピクニックの予定も入っていたが楽しそうなので良しとする。
ーーそれにしても結婚、か
モロノートン国から出て獣人の国に移り住み早数ヶ月が経った。
「嫌だ、俺はそんなに待てない!今すぐに結婚する!」
「馬鹿者。公爵ともあろう者がなんの準備もせずに式なぞ挙げられるか」
「そんな事言っている内にエキナセアにいらないちょっかいをかけてくる奴が出て来たらどうする!」
「……その時はお前が八つ裂きにするのであろう」
「当たり前だ」
ふと、前に国王とまるで小さな子供の様にギャンギャンと言い合いをしていたディルを思い出し笑う。ディルは普段ツンとしているのに身内の前では随分と表情が豊かになる。その中に自分も入っている事が嬉しい。これが恋情か、と聞かれれば恐らく違うのであろう。しかし友情にも似た愛情はあるし、結婚を済ませてから育んでいく愛もあるのだろう。いずれにせよ、自分がこんなにも穏やかな気持ちで結婚の事を考えられるとは思わなかった。貴族の結婚なんて家同士の都合でする物、本人達の気持ちは関係ない。そう思い続けていたあの日々がまるで嘘の様だ。
「あ、そう言えばエキナセアさん次の新作の下書き読みました。いいですねあれ、俺好きです」
いつの間にか隣で歩いていた男性を見上げる。
「あら、ネトル。ありがとう」
「勧善懲悪物かと思いきや其々独り善がりな正義感に酔いまくった6人が尽く空回りして、己のポンコツ具合を世に晒しまくってる所が最高です。あと、其々のポンコツにイメージカラーがあるのが新しくていいですね」
まだ一般には売り出していないからだろう。ネトルは少し声を潜めて感想を伝えてくれた。彼はバレンギクとしての私を支えてくれている部下だ。
「え、何それ何それ!自分まだ読んでないですよ」
するとネトルの隣からひょっこりと本日の最後の参加者である男性が現れた。
「フュー、貴方も今日来てくれて嬉しいわ。ありがとう」
人懐っこいこの男性はフィーバーフュー。彼もまたネトルと共に私の小説家活動を支えてくれている。それから
「いえ、自分も参加できて本当に幸せです!」
キラキラと輝く笑顔である一点を見つめて話す彼は
「一緒に過ごせますし!」
誰がどう見てもバジルに恋をしている。
「さて、視察で回った工場や事務所は問題無かったし。市場調査もとても楽しく済ませられたので後はこの市場調査によって得られた食べ物をいただきましょう!」
バジルが用意した敷物の上に彼女の指示に従いながらフューが次々と食べ物を置いていく。
「ありがとうフュー、重たかったでしょう?」
「いえいえ、自分達獣人なんでね。これくらいはどうって事ないですよ。現にお嬢様と体格がそんなに変わらない………事もないかもしれないけど同じ様な感じのバジルだって敷物とか持ってても平気ですしね」
ーー今、チラッと胸を見たわね
いいのよ。ええ、いいの。どうせ私はバジルみたいに立派な物は持っていないもの。
「ぐっ………」
ーー胸だけじゃないもの。女の魅力は胸だけじゃないもの!!
私がガスガスと地面を踏みつけている後ろでフューがバジルの回し蹴りで吹っ飛んでいた。
「お嬢様はお嬢様だからこそいいのです。お嬢様はお嬢様という存在だからこそ光り輝くのです。つまりお嬢様はお嬢様であると言う事だけで最高なのです」
「ちょっと何言ってるのか分からないわ………」
食事が終われば各々ゆったりとした時間を過ごす。故郷の家ではこんな風に敷物を敷いたとしても地面へ直接座り込むだなんて許されなかったし、砕けた話し方も出来なかった。事業を興す内に平民の人々と接して新しい価値観が生まれ、澄ましているよりもこうやってみんなと賑やかに過ごす方が好きなのだと気付いた。
「はぁ……幸せ…………」
思わず漏れ出た呟きを聞いたみんなは優しく微笑み、隣で座っていたディルは何度も何度も頭を撫でてくれた。
「みんな今日はありがとう。みんなを労わりたかったのに結局私が1番楽しんでしまった気がするわ」
そろそろ日も暮れてきたので解散にしようかということになり、そのまま市場で皆と別れた。ディルだけは私が借りている家まで送ってくれるらしい。
「エキナセア、まだあの家に住み続けるんですか?」
市場からの帰り道、ふと隣から声がかかりそちらを見上げると少し拗ねた様子のディルが口を尖らせていた。エキナセアは現在街の中でも特に治安が良いと言われている場所で家を借りている。家族連れで住むには少し手狭な所だが1人で住むには十分で掃除も楽だ。しかしディルはどうして一緒に住まないのか、公爵家に来ないのかと何度も聞いてくる。流石に婚姻も済ませていない女が公爵家に住み着くのはどうなのかと思ったのだがディルは少しでも早く一緒に住みたいのだという。なので「じゃあディルがこっちで住む?」と冗談で聞けば一瞬呆けた顔をしてすぐに頭を抱えて呻く様に呟いた。
「それは危ない」
と。エキナセアにもそれは分かる。治安が良いとは言ってもこんな街中で公爵家の当主が暮らせば良からぬ事を考える輩が出てくるかもしれない。防犯面から考えてもアウトだろう。しかし、うんうんと頷いていれば「絶対に分かってない……」と今度は光の宿らない目で見られた。失礼な。流石にエキナセアだって貴人の時はそういう危機意識があったから嫌々でもあんな家に住んでいたのに。
ーーまあ別の意味で命の危険と隣り合わせだったけど
「エキナセア?」
話しかけられてまた物思いに耽っていた事に気が付く。
「ああ、ごめんなさいディル。ええっと私があの家に住み続ける事に関してよね。前にも言ったけれど私とディルはまだ婚約中でしょう?婚約者の間に一緒に住むのはどうなのかしらと思うの」
するとディルはいい事を思い付いたとでも言う様ににこやかに笑った。
「今エキナセアは平民ですよね?」
「え?ええ、そうね」
「俺達って恋人同士ですよね?」
「そうね。結婚を前提、というか予定しているのだから恋仲になるのでしょう」
それを聞いたディルは大きく頷く。
「平民の恋人同士は一緒に住むんですよ!」
「えっとそれは………」
ーーそういった人達もいるけど一部なのでは?
結局それはどうなのだろうかと考えている内にエキナセアの家の前に着いた。ディルは家の前でこちらを向くと抱きしめていいかと聞いてきた。恋人同士というものになってからディルはよくこうやって抱擁を乞う。エキナセアが嫌がる事は決してしないと分かっているのでこくりと頷けば幸せそうな表情で抱き寄せられた。思えば彼はエキナセアに想いを告げるまでそういった事はしなかった。モロノートンに来ていた獣人の皆はまるで自分の家族かの様にエキナセアを可愛がってくれたので男女関係なく抱き締めてくれたり、頭を撫でたりしてくれていた。しかしディルだけは頭は撫でても抱き締めたりは無かった。なのでこういった接触は好まないのだと思っていたが違ったのだうか。つらつらと考えているとディルの腕が一際強くギュッとなる。これは抱擁を終える合図だ。まずい。
ーーい、言うなら今しかないわよね………!
エキナセアはディルに『お願い』があった。しかし伝えるタイミングが中々見付からず、数日前に視察や市場調査の後になら言い出せるのではないかと思い付いたのだ。
ーー言うわ!
「では、エキナセア。俺はこれで………」
そう言って離れて行こうとするディルの腕を慌てて両手で捕まえる
「エキナセア?」
ーーああ、どうしましょう。ディルが困ってるわ……でもいざ言うとなったらちょっと……
俯いていたので心配になったのだろう。ディルが少し屈み込んで「どうしました?体調が悪いですか」と聞いてくれる。違う。そうでは無い。ただ、私は
「ディ、ディル……少しうちへ寄っていかない?お茶でもどうかなって」
しかしディルは少し笑いながらエキナセアの頭を撫でる
「どうしました。久々の息抜きだったから終わるのが惜しくなってしまったんですか?でも有り難いお誘いですがそろそろ帰らないとそのまま夕食も、となってしまいますし。そうなれば時間がかなり遅くなってしまいます。それはエキナセアが困るでしょう?」
「と……」
「ん?」
もう言ってしまうしか無いと決意し、思い切ってガバッと顔を上げれば予想以上に近い場所にディルの顔があった。
「泊まっていけば……いいじゃない………」
自分勝手な事を言っている自覚があるのでだんだん小声になってゆき、最後はほぼ聞こえるギリギリの声量だったかもしれない。
ーーい、言ってしまったわ
羞恥による涙で少し視界が潤む。そしてそんな私を見てディルはギシリと固まって動かなくなってしまった。
「…………」
「…………あの、ディル?やっぱり忙しければ」
訪れた沈黙に流石に我儘が過ぎたかなと反省して発言を取り消そうとした途端、ディルは私の目を覗き込む
「………いいんですか?」
「え?」
いいも何も私から言い出した事だ
「エキナセアは本当にそれでいいんですね?」
もしかして夕飯の心配をしているのだろうか。確かにバジルや他のみんなに習って少しの自炊はできる様になったとは言えまだまだ人様にお出しするレベルの物ではない。
「あ、夕食は流石に買いに行こうかなとは思っているけど」
すると私が言い終わる前にディルは「分かりました。それなら今から俺が買ってきますのでエキナセアは家で待っていて下さい」とさっさと家の中に押し込められた。そして私に鍵をしっかりかける事を言い聞かせた後もう一度「本当にいいんですね?」と真剣に聞いてきた。何回聞くのだろうか。私が頷けば走るかの様に買い出しに行ってくれた様だが本当に大丈夫だったのだろうか。小首を傾げながら食後のお茶で出せる様な物があったかどうか確認をする為に台所へ向かった。
ーーなんだか
先程の別れる直前のディルの顔を思い出す
ーー瞳がギラギラしてた………
やはり迷惑だっただろうか。
コンコンと玄関の扉を叩く音がしたので駆け寄ると外からディルの声がしたので鍵を外して扉を開ける。立っていたディルはいつもの目に戻ってはいたが少し息が切れていた。
「おかえりなさいディル。随分早かったけれど無理をさせてしまったんじゃない?」
すると何故かディルは顔を真っ赤にした後「はあぁぁぁぁぁぁ……」と大きくため息を吐きながら顔を両手で覆っていた。
ーー本当に大丈夫かしら
ディルの買ってきてくれた食事はどれも美味しかった。こういった屋台などで売られている食べ物は基本的にシンプルな味付けと塩気の強い物が多いがそこがまた美味しいと思う。
「あ、そろそろ湯浴みを済ませましょうか。ディル、よかったら先に入って」
再び固まるディルに気付かず私はタオル等を準備する。日中信頼できるハウスキーパーが来て掃除やらをしてくれているのでお風呂も綺麗なので問題ない。
ーーあ、服はどうしよう
流石にそこまでは考えていなかった。
ーー私のは明らかに入らないわよね……
ディルは別に筋肉隆々という訳ではないが、流石に私の服では無理だろう
「ディル…その、服なんだけど………」
「え?あ、ああ。服……はさっき適当に買ってきました」
良かった。流石はディルだ。
「じゃあお先にどうぞ。あまり大きくは無いけれどどうぞごゆっくり」
しかしディル、どうして湯浴み前なのにそんなに顔が赤いのだろうか。食事も普通にしてたし顔が赤い以外はいつも通りなので体調が悪い訳では無さそうだが。
ーーあ、でもちょっとなんだかさっきからワタワタしてるわね
まあいいかと思いながら洗い物を済ませ、自分の湯浴みの準備をしておく。ディルが湯浴みから帰ってきたので交代して、なんだかそわそわしているディルの為にリラックスできるハーブティーを出して置いた。
「そろそろ寝ましょうか」
私の言葉にディルはビクリと肩を揺らす。
「あ、あの……エキナセア。一応聞きますがベッドは2つあるんですか?」
「え?何言ってるのディル。貴方もこの家に引っ越した時手伝ってくれたじゃない。一つよ?」
「ですよね………」
もしかして床で寝かせるとでも思っているのだろうか
「いやねディル。大丈夫よ、少し大きめのベッドだから2人でも寝られるわ」
「………」
さっさとティーセットも洗ってしまい、ディルも来る様促す。
「エキナセアの匂いがする……」
寝室に入った途端ディルがそんな事を言い出す物だから流石に恥ずかしくなってきた。
「そ、それはそうでしょう。私の部屋なんだもの」
「いや、そうなんですけど……」
あ、薄暗いからかディルの目が光って見える。獣人達の目は不思議で、なんの獣人かにもよるのだろうがディルの場合は普段灰色の瞳が少し暗い所に入ると白金色にキラリと光る。それがまるで宝石の様で見る度に綺麗だなとうっとりするのだ。
「え、エキナセア………」
不意にディルが苦しそうな顔をして眉間に皺を寄せる
ーーもしかして見過ぎたかしら。それとも言おうとしている事がバレた………?
もしバレているのだとしたら隠せていたつもりの自分がちょっと恥ずかしく、急いで顔を背ける。
「本当にしてもいいんですか?後悔しませんか?」
ーーやっぱりバレてる!!!
おずおずと見上げると夕方見たあのギラギラとした瞳のディルが居た。しかしもうバレてしまっているのならば仕方ない。ここはもう一気に言ってしまおう。
「お、お願いが………」
しかし言い切る前に抱きしめられ、目を白黒させていると耳元で苦しそうなディルの声がする
「エキナセア、俺はもう……っ」
ーーあれっ!どうしてディルが切羽詰まってるの!!
何だかこのままではまずいと直感が告げているのでエキナセアは数日前からずっと考えていた『お願い』を叫んだ
「じゅじゅじゅ、獣化して欲しいの!」
「……………………」
たっぷりの沈黙に包まれる寝室。そしてボソリと聞こえるディルの独り言。
「ぇ………獣化ってそういう………?でも初めてでそれは流石に…………」
聞こえるか聞こえないかギリギリの小声で思わず出てしまったという様子のディルに首を傾げる
ーー初めて?何が初めてなのかしら。もう何度もして貰っているのに
「?」
エキナセアが首を傾げる
「?」
ディルも首を傾げる
「?」
「はっ………!エキナセア、貴女まさか…………!」
数分後
「もっっっっふぁぁぁぁ!!!」
興奮するエキナセア
「あああああああ!会いたかったのでっかいわんちゃん!!」
ーーだから、狼だと…………
げっそりとした様子で項垂れるディル
すぅううううううう!
「ああ、幸せ………今日はこのまま朝までこのもふもふの中で寝られるのね……!野宿の時とかでないとしてくれないんだもの。私ずっと我慢してたの!!」
「ソウデスカ」
「あああ!もふもふ!好き!素敵!大好きよディル!」
「はぁ…………」
盛大なため息と共に溢れたディルの「思ってたのとちがう………」という泣きそうな声はディルのもふもふを堪能するのに必死なエキナセアに届く事は無かった。そして翌日、エキナセアから一部始終を聞いたバジルは大爆笑した後すぐ様ディルの元へと走り彼を指差して笑った。ディルは1日使い物にならなかった。
「もふもふは、正義よね!」
感想などで続きを読みたいと言って頂けたので番外編をちょこちょこと投下して行く事にしました。次回はディル視点です。
このお話意外にも作品を掲載しており、作者の名前部分から飛べますのでお時間あればそちらもご覧ください(^^)