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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ウイルスハンター ~世界を,守れ~

作者: ルー

 友人にコロナウイルスを題材にして小説を書いてみたらと言われて思いついた作品です。


 楽しんでもらえたら嬉しいです。


 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 世界にはびこるウイルス。


 それはどの場所においても重大な問題になってきた。


 だが,人知れずそれらと戦うものがいる。


 かつて存在していた『JAPAN』では,優秀な医師というものが戦っていた。


 だが,日本という国は今はもうない。一説によるとはやりのウイルスによってなくなったらしい。


 今残っているのは『JAPAN』最後のエリア『HOKKAIDOU』だけだ。


 そこはもはや日本ではなく、一つの国として機能している。


 だが,この国の遺跡は今でも残っている。


 かつて世界屈指の技術,人口,文化を誇っていた「TOKYO」


 食,漫才,観光。それらの申し子「OSAKA」


 最強の美味,米の大産地「NIGATA」


 そう,これらの分化はなくなってしまったのである。


 そして,日本が消滅したのが西暦・・・

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 俺はそこまで読むと,ページを閉じだ。


 いままで何度も見た,くだらない資料だ。


 ウイルスで消え去る国家があるなんてな。どうかしてる。


 そしてそれが今俺がいる「HOKKAIDOU]が属していた国だとは・・・。


 

 その時,耳にかけている無線機がなった。


「ジジジーーー。近くにウイルスの反応有。ランクはD。おそらくウイルス番号COVID455なり。至急向かわれよ」


 任務か。しかたない,行くか。


 俺は胸ポケットからレーダーを取り出す。


 すると,俺の近くに赤色の点滅があるのを見つけた。


「おお,ほんとにこの近くにいるじゃないか」


 おっと,声が漏れてしまった。いけない,いけない。



 だがしょうがないだろう。


 近年爆発的に増えている,「COVID-455」が発見されたのだから。


 俺は急いで廃墟となった町を駆ける。




 そしてついに,


「見つけた」


 

 俺が見つめるさき,そこには三匹ほどの巨大なウイルスがいた。


 それはまるでスライムのよう。


 丸い体には数々のとげとげが出ていて,その先端には丸いものがついている。まるでボールに人生ゲームの棒人間を何本も突き刺したみたいだ。



 はぁ,いつ見ても気持ち悪い。


 早速駆逐するか。


 俺は腕にあるバンドを触る。


≪ギア,オン≫


 俺の周りを光が覆った。


 中から出てきたのは黒い衣装で全身を覆った,俺。控えめに言って超かっこいい。


 そして腰にはベルトがついていた。そこには銃など,いくつかのアイテムがついている。


 そして俺は,一気に近寄る。


 基本ウイルスに近寄るのはNGだ。なぜなら,ウイルスの放つ毒にやられてしまうから。


 それにウイルスの中にはワクチンが作られてない者があるので基本的に当たらないようにするのがベストである。


 だが,それには例外がある。


 ウイルスを駆逐する者,通称ウイルスハンターが立ち向かう場合だ。


 俺たちは変身することで相手の毒を無効化することができる。



 

 俺が近づくと,案の定,ウイルスは毒を吐いてきた。


「毒無効乙」


 俺はそう呟くと,さらに距離を詰める。その距離はもう5メートルほどしかない。



 まあ,こいつらには知能がないから仕方ないが。


 

 そして脇にかけてあるベルトからあるものを取り出す。


 

 その名前は,『アルコール』


 それは奴らの最大の武器である,あのとげとげを破壊してしまう,人類の兵器だ。



 一説によると,毒もあそこで作られているらしい。


 つまりとげとげがなければ何もできないというわけだ。


 

俺は「アルコール」をぶちまける。



ジュゥゥゥ。



 やつらのとげとげが溶け始めた。効果は抜群なようだ。



 さあ,これでもう安心だ。


 さて,このままやつらが死ぬのを待ってもいい。


 だが俺は焦りっぽい。だから確実に殺すことにする。


 確かこの型は,90度で5分熱せれば死ぬはずだ。


 俺はまたまたベルトから銃を出す。


 これは熱放射機だ。この銃のスイッチをオンにすれば,150度の炎が辺りを覆う。若干過剰戦力な気がするが。


 俺は放射器を構える。


 さあ、充填開始・・・。


 そして数秒で充填が終わる。


 さあ、情けは不要だ。


「もし,最初の消毒を受けていなかったら逃げられたかもな。まあ,そんな、たらればの話をしていてもしょうがないか」


 俺はウイルスに向かって語りかけた。


 俺のそんな言葉は伝わるわけがない。だが,心なしかウイルスが,悲しんだ気がした。だが,そんなもので俺の決意は揺らがない。


 さて,終わりにしようか,ウイルス。


 俺は発火機のスイッチをオンにする。



キュイイン,ボアアアア。


 あまりにも一瞬。


 その炎は烈火のごとく,ウイルスを燃やし尽くした。


 後には何も残らない。


「さて,駆逐完了」


 俺はそうとだけつぶやくと,その場を後にした。





 俺は本部に戦闘終了報告をすると,帰宅準備をする。


 それもそのはず。俺は今男子高校生なのだ。


 名前を黒山はると。紅高等学校に通う,高校一年生だ。


 そして,趣味でウイルスハンターをしてる。


 ウイルスハンターというのは,その名の通り,この世界にはびこるウイルスを殺すものだ。


 

 数十年前,巨大化,凶暴化したウイルスはその繁殖力と突飛生を生かして,瞬く間に世界を掌握した。


 そして生態系の頂点はヒトからウイルスに変わった。


 その被害を最も受けたのは,「JAPAN」だ。


 そう,今俺がいるところである。


 いくつもの都市が消え去った。


 そして,今残っているのは俺がいる,「HOKKAIDOU」だけになってしまった。


 だが,人類も負けるだけではない。独自にウイルスハンターという,凶暴化したウイルスを殺す職業を作ったのだ。



 これは,武の才能があればだれでも入ることができる。そして立てた武勲で階級が決まるのだ。


 ちなみに俺は中級二等戦闘員だ。そこそこだな。


 だが,中級戦闘員から変身をできることを考えると,なかなかいい感じだと言ってもいいのではないか。


 で,話は戻るが,その結果,「HOKKAIDOU」はいくつかの町とたくさんの犠牲をだしながら存続してきたのだった。


 そしてその人類対ウイルスの戦いは50年に及ぶ。


 これがこの世界の歴史。


 覆らない過ち。


 それが太陽系第三惑星だ。


 

 

 さて,過去語りをしていても仕方ないな。


 

 今は前だけを向く。そう,我が家の方向を。



「ただいま」


 俺は家に帰ってきた。親にはウイルスハンターをしていることは内緒だから,コロナハンターをしている時間は,図書館にいると言っている。


 俺のウイルスハンターの活動時間は,学校の放課後と休日だからこの理由で通せているが,いつか言わなくてはいけないなと思っている。


 ただそのいつかがいつ来るかはわからないが。


 すると,母親が出てきた。


「あら,お帰り。今日も勉強ははかどったの?」


「あ,うん。今日は集中しすぎちゃったんだよ」


「そう」


 そういって母親はどこかへ行く。


 俺も自分の部屋に行く。


 


 その後はいつも通りだ。


 飯を食って,風呂に入って,寝た。







 さて,今日も学校だ。


 楽しい楽しい学校だ。


 と言いたいとこだが,あいにく超憂鬱。


 俺は学校では陰キャというやつだ。


 だから毎日細々と生きている。言い訳みたいでいやなのだが,これでも楽しんでいるんだぞ。


 ちなみに変身のためのバンドは学校にも持って行っている。ウイルスはどこに出現するかわからないからな。


 そこがウイルスの最も怖いところだよな。


 ちなみに俺は学校に常にマスクをして言っている。消毒液を持って行っている。


 こういう職業についていると,ウイルスの怖さが嫌でもわかってしまうからな。


 むしろなんでみんなマスクをしなくて平気なのか意味が分からん。


 あと,人とは二メートル離れるようにしている。


 これはソーシャルディスタンスと言って,人のつばが飛ぶ範囲なのだそうだ。


 俺は誰かのつばとか嫌でもごめんだ。だから絶対に俺の半径二メートルに誰かを近寄らせない。


 特に電車などでは,気をつけるのが大変だったりもする。


 全く,みんなもっと気を付けてほしいぜ。


 まあ,このせいで友達がいないのだが。



 さて,俺はくだらないことを考えているうちに学校に着いた。


 この紅高等学校に来るまでも,道端で普通にウイルスハンターの人に会うことができる。ただ変身はできない,いわば警察のようなものだが。


 いつ巨大ウイルスが発生してもいいためだ。


 そして学校にももう一人,常駐のウイルスハンターがいる。


 まあ等級は俺よりしただが。


 だが,ここら辺にウイルスが出現することは今までなかったので大丈夫だろう。


 ウイルスが多く出現するのは廃墟や地下室などの,人が少ないところだからな。


 だからそういうところには一般人は極力いかないようにしているらしい。


 

 さて,俺がなぜ今こんなにも考え事をしているか。それは,授業があほみたいにつまらないからだ。


 なんだよ,サインって。コサインって。


 さっぱりわからん。だが,これも青春だな。


 え? 違うって? 異論は受け付けません。





「えー,これがサインであるから・・・」


「これが,メソポタミアの・・・」


「先生はいっつも濃度の高い酒を学校に持ってきてだな・・・」


「扇状地のできかたは・・・」


 

 時間は過ぎていく。


 ついに昼休みになった。そう,俺にとって戦場の・・・。


 なぜなら,弁当を食べるときはマスクを外さなくてはいけないからだ。


 されに追い打ちをかけるように,果敢にも俺に話しかけに来る人がいる。いわゆる陽キャ,の方々だ。


 そういう方々は俺のソーシャルディスタンスを無視する。おかしいな,俺最初の自己紹介で


「俺の二メートル以内に近寄らないでください」


って言ったはずなんだが。


 そして,今俺はそのピンチに陥っていた。


 それは,俺が弁当を取りに立ち上がった時だった。


 俺の方に誰か近寄ってきたと思ったら,


「ねえ,はると君」


 といわれ,そういった女子はぐんぐん接近してくる。


 確か名前をひなといった,陽キャがついにおれのソーシャルディスタンスを一歩侵略した。


「俺の2メートル以内に近寄らないでもらっていいかな」


 俺はそれに対応するように一歩後ろに下がる。


「ええー,いいじゃん」



 ひなさんはかまわないという風にまた一歩進む。


 俺はまた一歩下がる。


 ひなさんはまた一歩進む。


 俺はまた一歩さが,ろうと思ったら,後は壁だった。


 俺は下がれない。


 だがひなさんがまた一歩進む。


 これは,まさか,はめられた?


 さすが陽キャ。俺の進行する方向を全て読んだとでも言うのか。さすがだ。


 だが,詰めが甘いぞ。俺にはまだ秘策がある。


 そう,酸素ボンベだ。こういう時のために酸素ボンベを持参しているのさ。


 さあ,さっそく俺のバックから取り出して・・・。


 あ,俺のバック俺の席にあんじゃん。


 

 終わった。


 ああ,母さん,俺はここで終わりなようです。せめて最後にひ孫の顔を見せてあげたかった。


「ねえ,何世紀末みたいな顔してんのよ。それよりあんたなんで私から逃げんの?」


 そしてひなさんは俺にぐいと顔を近づける。


 こ,こわっ。


 このひと,陽キャじゃなくて,ヤンキーや。


「あ,えっとそれは・・・」


 そしてここで俺のコミュ障発動。


 終わった。


 ああ,母さん。せめて最後に俺の来世を見せてあげたかった・・・。


 そんなことを考えてると,急にひなさんが近寄ってきた。


 う,そんなに近寄ると菌が・・・。


「ウ、ウイルス・・・」


「ん? もしかしてあんた菌を気にしてんのか? そうか。それで私から逃げようとしたんか」


「あ,そうです。あと菌とウイルスは違いますよ」


「はいはい。なら大丈夫だぞ。私は,ちゃんと手洗いしてるから。だからマスクとかはしなくても大丈夫だぞ。それに免疫が高いしな」


「いや,その」


「ん? なんだ? もしかして,私に文句あったりする?」


 俺はカチンときた。なぜかカチンときた。


 俺は自分は大丈夫だと言ってるやつが一番嫌いなんだ。そういうやつがいなければ父さんも・・・。


 そして我慢できづに言ってしまう。


「あるよ。手洗いしてもウイルスや菌は居なくなるわけじゃないし。免疫が高くてもかかるときはかかるし。それにどっちをしてても他人にうつす可能性はなくならないんだよ。だから,だから・・・」



 だが,俺は言い切ることができない。


 なぜなら,目の前にすごく怒っている人がいるからだ。


「そうかそうか。なあ,私のこと舐めてんのか? 」


 そして,ひなは左手で俺の胸倉をつかむ。俺は少しだけ,宙に浮いた。


「おい,この菌野郎,私が何が正しいかを教えてやるよ」


 まずい。


 濃厚接触だ。


 

 そしてひなは右手を振りかぶった。


 マズイ,濃厚接触は濃厚接触でも,口周りだ。


 これは,もしかしたら粘膜に菌が入ってしまうかもだぞ。


 

 そして俺が何とかかわそうとしたときーーー


―――ドゴーーン


 

 爆発音がした。


 な,なんだ。


 俺がそう思った瞬間,クラスが悲鳴に包まれる。


 そして数秒か,数分かが経った後,放送が入る。


 ピンポンパンポン。


 「放送です。ただいま校内に巨大化した菌が複数発生しました。生徒は至急そとに避難をーーーぎゃ」


 放送は終わらない。


 それはつまり,そういうことだろう。


 クラスは一瞬の間の後,パニックになった。


 そして,みんながドアにむかって走り出す。


 俺をつかんでいたひなも手を放してドアの方にむかった。


 そんな中俺は悩んでいた。


 これは俺は逃げたほうがいいのだろうか。それとも戦った方がいいのだろうか。


 そして,バックに入っていたバンドからマイクを取り出す。


 無線をつないだ。


「もしもし,こちらはると。ただいま紅高等学校にいます。ウイルスの襲撃を受けたもよう。至急指示をお願いします」


 するとすぐに


≪至急ウイルスの駆除をおこなえ≫


 と返ってきた。


 仕方ない,やってやるか。




 ≪ギア,オン≫


 俺は黒いめちゃくそかっこいい衣装になった。


 そこにはもう陰キャのはるとの面影はない。




 俺は走る。


 この学校の放送室は二階にあるから,ウイルスは二階にいる可能性が高いだろう。


 だが,あいにくレーダーは反応しない。

 

 それもそうだ。このレーダーは本部が確認した菌を表示する者であって,菌を自動的に探してくれるものではない。



 俺は二階まで来た。


 そこには,惨い光景が広がっていた。



 人が倒れている。先生が倒れている。生徒が倒れている。


 人が焼け死んでいる。先生が腐っている。生徒が切り刻まれている。


「ひどいな」


 そこには慈悲も,仁も,何もなかった。ただただ殺戮がされている。


 見ると,近くにはウイルスハンターの人が,骨になっていた。


 俺は小さく合掌をする。


 そして,あるきだした。仇を討つために。



 二階を歩く。だが,どこにもいない。


 そして,三階に上がろうとしたとき,いきなり炎が俺に襲い掛かってきた。



「なんだっ」



 俺は急いでバックステップで回避する。



 そしてあたりを見渡す。そこには,三匹の巨大なウイルスがいた。



 いや,ウイルスと言っていいのかわからない。



 一体は龍の形をしている。



 もう一体は液体だった。



 最後の一体は,鬼だ。それも刀を持った。



 ちっ。あんなものどこから拾ってきたのか。



 だが,どのウイルスにも当てはまるのが,どこかに先端が球の棒がついていることだ。



 ドラゴンならば頭に,液体ならそのスライム状のところに,鬼ならば,その額に。



 あそこを壊せば,そのウイルスは死んだも同然だ。


 だがあんなウイルスがいていいのか。


 今までのウイルスと言ったら,それこそウイルスっぽい見た目をした。だがこのウイルスはどうだ。全くウイルスじゃない。


 俺は今異世界にでも来てしまったのではないかと錯覚してしまうほどだ。


 だがためらっている暇はない。何もしなくてもあいつらは俺を襲いに来るだろう。



 さあ。駆逐開始としましょうか。


 だが,こういうウイルスはどういう行動をしてくるか全く予想がつかない。

 


 それに,俺はまだまだ新米だ。果たして俺にこいつらが倒せるのだろうか。


 

 ええい,考えるのはやめだ。俺は今からこいつらを倒す。それだけだ。



 だから今回の戦闘で俺は手加減なしだ。


 

 前の戦いでは使わなかった,分析眼鏡と冷凍銃を惜しみもなく使うことにする。



 まずは様子見だ。



 俺は200度の炎をぶっばなした。



 するとウイルスドラゴンが大きく口を開けると,炎を吐き出した。



 その炎を分析する。


 

 分析眼鏡によると,その温度は150度。おおよそ俺の炎とおなじだ。



 そして,それと同時に液体の菌が毒を吐き出してくる。


 

 俺はそれをかわして反撃を仕掛けようとする。



 その瞬間,俺はふと思う。


 まて。あの鬼はどこに行った。



 瞬間,背後から殺気が襲う。



 俺はとっさにかがんだ。



―――ジュイン



 俺の頭のすぐ上を剣線が走る。



 あぶねえ。


 

 だが,もらった。



 俺は「アルコール」を鬼にぶっかける。



 だがそれは剣によってはじかれた。



 なにっ。


 なんだあの反応速度は。それにあの剣は俺の消毒を受けても何もなかった。


 あの剣が鬼の体の一部なら,多少はダメージがあったはずだ。つまりあの剣はどこかから取ってきたものになる。



 だとしたら,あの鬼はアイテムを使って戦闘を行っているということか? それもかなり高度な技をもって。



 いままでアイテムを使う,頭のいいウイルスなんて聞いたことがない。


 つまり新種,というわけだ。



 はやく,本部に報告をしなくては。



 そう思った瞬間,正面から炎が襲う。



 俺はまたまた間一髪で避ける。このままじゃ部が悪いな。


 そう思った俺は距離を取る。


 そして,全力で逃げ始めた。



 後ろからはウイルスたちが追ってくる。だが,あの中で遠距離攻撃をできるのはドラゴンだけだ。


 だから炎に気をつけておけばいい。


 そしてついでに無線で報告をしておく。そのまま無線をしまった。



 戦いの邪魔になるからな。



 そして俺は階段を降りる。


 後ろを見ればウイルスとは大体20メートルくらい離れられているようだ。


いいぞ。



 そして,俺はある部屋に入る。



 ここはベットやら救急用品がたくさんある部屋,そう,保健室だ。



 


 ウイルスがやってきた。保健室の中に入る。



 だがすぐには俺のことを見つけられないようだ。



 だがついに俺の隠れている場所が分かってしまう。



 ウイルスたちは俺の隠れていたベットの下に近寄ってくる。



 そして,鬼のウイルスが刀を振り上げた瞬間,



――――ガシャーン



 雪崩が起きた。それも消毒液の。



 俺の仕掛けた仕掛けは簡単だ。ただ単純に保健室に積んであった消毒液を倒しただけ。ついでに俺の持っているエタノールも積んでおく。


 ふふふ。これで火力マシマシだぜ。



 あとは俺が積んである場所の近くに隠れるだけだ。


 

 その結果がこれだ。



 ウイルスは消毒液をいたがっている。さすがにこれは聞いたようで良かった。



 そしてそのすきに俺は保健室から出る。そのままダッシュで距離を取った。



 なぜ距離を取ったかって?



 それはーーー



―――――ドゴーン



 爆発するからだよ。



 ふふ。計算通り。エタノールは発火性が高いのだよ。大方ドラゴンが炎でも吐いたのだろう。



 そしてウイルスは高温によわい。つまり,俺の勝ちだ。



 さて,後片づけでも・・・。



 俺がそう思って保健室に戻ろうとしたとき,後ろから何かがついてくるのが見えた。



 あわてて銃を構える。



 そこには,鬼のウイルスがいた。



 まさか,あの熱で生き残るやつがいたとは・・・。



 そして,炎を発射する。



 だが,いくら炎を当てても,一向に死ぬ気配はない。



 くそ,なんでだよ。



 まさか,変異したとでもいうのか?



 確かにウイルスは変異して性質が変わりやすいが,まさか,この一瞬で弱点である熱にまで耐性を持ったとでも言うのか。


 だがいい。今度はもう一度確実に消毒してやれば・・・。



 俺はベルトから消毒液をだす。



 だがそこには消毒液はなかった。



 え?  


 そうだ。俺,俺が持っていた消毒液を保健室に会ったやつに混ぜちゃったんだ。


 てへぺろ。



 さて,どうしよう。



 結構まじもんでやばいな。



 そうしている間にも,鬼は少しずつ近づいてくる。



 くそっ。何かないのか?



 まてよ,そうか。



 俺は走り出す。



 当然鬼も追いかけてくる。



 そして職員室の前まで来た。



 俺は職員室の冷蔵庫をあけて,酒を取り出す。



 鬼を見ると,もう力を使いすぎてフラフラなようだ。



 チャーンス。



 俺は酒を,鬼にかけた。



 ―――ジュ―――。



 鬼についていた棒が,正式名称エンベローブが溶けていく。


「グガガガガ」



 鬼が最後の叫びをする。



 鬼は溶けて消えていく。




「俺の勝ちだ」



 こうして学校制圧戦は俺の勝ちとなったのだった。






 


 後日,俺は本部に呼び出された。


 俺は本部でも偉い人しか入れない部屋に招待された。そこにはウイルス対策本部長,新井 謙最上級隊員しかいなかった。


 これは何かあるな。


 俺はそのおじさんが一人座っている部屋に入る。



「はると隊員。この度の作戦ご苦労であった。まずは昇級を。ただいまより君は中等一級ハンターだ」


「ありがとうございます」


「それで,だが。今回報告のあったウイルスは調査の結果,新種であるということが分かった」


 そうか。


 まさか俺が戦ったのが新種だとはな。


 そして新井さんは言葉をつなげる。


「さらにだな,ウイルスについて重大なことが分かった。心して聞け」


「はい」


「ウイルスはだな,もともと人だということが分かった」


 は? 

 

 もともと人? 


 どういうことだ。


「驚いたような顔をしているな。だが無理もない。今私が話しているのは,世紀の重大発表なのだからな」


「もともと人,とはどういうことでしょうか」



「その通りだよ。何らかの原因で人がウイルスに変異するんだ。それだけだ」


 それだけって。



 じゃあ今まで俺が殺してきた菌って,人だったのか。



 その瞬間,俺を多大な罪悪感と後悔が襲う。


「さて,話はここまでだ。退出してかまわない。次の出動は三日後だ。十分休め」


「はい」


 そして俺はとぼとぼと出口を目指す。


 ばたんとドアが閉まった。


 あとに残されたのは新井隊員ただ一人だ。


「さて,あの子はこれからどうするのだろうか」


 もちろん返事をする者はいない。


「無事復帰してくれればいいのだが。あの子はうちのエースとなる人材だ。今やめられては困る」


「それに異種の姿をしたウイルスか。もしかしたら俺は今ウイルスと人間の戦争の革命の瞬間に生きているのかもしれないな」



 そして立ち上がり,窓のそばまで行く。



「ああ,黒山隊員。君の子どもは立派に生きているよ・・・」


 その目はどこか遠いところを見ているようだ。



 もちろん返す者はいない。



 ◇




 俺は家に帰ってきた。


 そして挨拶もせずに自分の部屋にこもる。


 母親に大丈夫かと聞かれたが,それも無視する。


 

 俺はこれからどうすればいいのだろうか。



 思い出されるのは新井さんの言葉だ。


 ウイルスがもともとは人って,どうすればいいんだよ。


 俺のやってきたことは間違いだったのか?



 いや,違う。


 たとえウイルスがもともと人だったとしても,人に戻せる保証はないし,それにほっといておいたら,人の犠牲が増えてしまう。



 だから俺のやったことは間違いじゃなかったんだ。


 そこまで思い立ったら,心が急に楽になった。


 なんだ,簡単なことじゃないか。


 俺はウイルスが嫌いだ。人に害なすものが嫌いだ。



 だから駆除する。それだけだ。


 

 俺は立ち上がった。そして母のところにむかう。


 さあ,負けてたまるか。


 俺の戦いは始まったばかりだ。




もし評価の方が高かったら,連載しようかなと思っています。

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