冬の愉しみ
短編集の二作品目です。冬の鍋はあたたまりますね。
今日はかなり寒い。寒さにもまだ耐えられそうな寒さとどうにも耐え難い寒さがあるが今日は後者の寒さだ。なにかあたたかいものをこたつに入ってのんびりと食べたい気分だ。そこに少しのお酒があればなお良い。あたたかいもの・・・頭の中はそれでいっぱいだった。夕方から夜に切り替わる間は特に寒さが身に染みる。昼間の暖かさが失われ、夜らしいつんと冷えた空気に包まれる。「そうだ、鍋が食べたい。」思わず独り言が出てしまった。今日は鍋にしよう。体も温まるしおいしいし。
家に何があったかを思い出す。鍋のもとと、白菜、ニンジン、ネギ・・・ねぎはたくさん欲しいから買わないと。あとは肉も少し買って、最後に梅酒を一瓶だな。あと氷も買うか。一人バスに乗って帰りながら頭にメモを浮かべていく。家から最寄りのバス停で降りて少し歩いたところにあるスーパーに寄った。ここは新鮮を売りにしており毎日少量ずつ仕入れている。なので売り切れることもあるがその分廃棄になる商品が少ないので消費者側としてもエコということで人気のスーパーだ。この時間に生鮮食品があるのか少し不安になったが安くなって売られていた。一人暮らしにはありがたい。頭に浮かべたメモを辿って買い物を済ませて店を出ると雪が降っていた。冬らしい景色になってきた。少しずつ雪が積もる道をわくわくしながら慎重に帰っていった。
さて、家に着いて手洗い・うがいなど諸々を済ませたらやっと鍋に取り掛かれる。土鍋に鍋の元と具材を入れて待っている間も楽しい。こたつに入ってテレビをつけながらだらだらと鍋の完成を待つ。15分ほど待つとほかほかの鍋が出来上がった。ようやく帰り道に浮かべてた楽しみを味わえる。暖かい部屋で暖かい鍋とキンキンに冷やした梅酒の水割りを飲めるのは何よりの幸せだ。しめも楽しんだ後いつのまにか眠くなってきた。お腹いっぱい食べられることに感謝しながらうとうとしているうちに夢の中へとゆっくり下って行った。
今日も一日幸せでした。ごちそうさま。