勝てると心に嘘をつけるかどうか。
バルブは俺の肩をポンと叩き
「頑張るじゃねえ」
と去っていこうとした。
「一緒に戦ってくれないのかよ!」
三人で勝てないと思ってしまっている俺にバルブは俺の目の奥を見ているかのように見つめてくる。
「三人で勝てないのなら、人数を増やせば勝てる? そんな単純じゃないじゃねえ。さっきも言ったじゃねえ。じゃないと次は取り返しのつかないことになるじゃねえ」
「なんだよ。取り返しのつかないことって」
【どーん】という音がして、音の先を見るとアリエが大きな穴の空いた地面の真ん中で倒れている。
「アリエ!!」
ににがかろうじて結界を張っていたお陰で致命傷は避けてはいたが、もう戦える気力を持ち合わせているように思えなかった。
「何度も無謀に飛び込めばああなるじゃねえ」
「俺はアリエよりも弱い」
「弱いから戦わないは言い訳じゃねえ。弱いなら強くなればいいじゃねえ」
「強くってそんなに簡単になれるわけがないだろ」
「一人ならじゃねえ」
バルブは森の中に入っていった。
ゴブリンはアリエにトドメを刺そうとちょこちょこと近づいていくと、ベータは、アリエを抱き上げ俺の近くに来る。
「外神、俺じゃあ、どうしようもできない」
「ああ」
生返事しかできない俺。そして獲物を取られたゴブリンはプンスカしている。
見た目が可愛いのにやることは......。俺はどうしたらいい。
「言っているじゃないか。一人で戦うんだ」
リリはいつも冷静に物事を言う。
「僕だって長くは持たないよ。時間に猶予がないんだ。彼もダメ。アリエも戦意喪失をしているなら、君しかいないでしょ?」
「でも俺が戦ったところで......」
「そのセリフは勝ちを味わったことの人が言うセリフさ。君は自分よりも同等、それ以上の相手には勝ったことがない。言いたいことはわかるかい? 君は弱すぎるものにしか勝てないんだ」
図星だった。ブブのボディーガードを倒した時だって、能力に頼った。巨大なゴブリンだって、参加している人になら倒せるレベル。
そんなやつに勝ったところで勝ったとは言えない。
「俺は一人じゃ何もできないんだな」
「そう。一人じゃ出来ない。でもね、君には僕とチケットがある。それを有効活用するんだ。君にしか出来ないやり方で」
「俺にしか出来ない?」
「そう。君は負けることに慣れている。だったら、負けが増えたところで別にいいじゃないか」
「......変なことを言うな」
「これでも励ましているつもりなんだけど」
リリの気持ちはわかった。確かに状況を変えれるとするなら、俺しかいないと思う。負けて当たり前の勝負に初めから負けるとおもっていた。負けてもいいじゃないか。俺はどこかでふっ切れた。
あとはどこまで自分が強いと勝てると嘘をだけだった。




