最強のゴブリンを呼び出す
ゴブリンがアリエに攻撃しようとすると、俺が受け止めて、アリエが拳を打ち込む。ににが結界を貼りアリエを守り、攻撃する。それがににとアリエの必勝パターンなのだろう。今はその役割が出来ていなかったため、手こずっていたと思った。その証拠にあれだけ苦戦していたゴブリンを十数秒で二体倒してしまったんだから。
「ああ疲れた!」
アリエはににの結界の中に入り、座り込む。
「おい! 休んでいる暇なんかないんじゃないか! またゴブリンが……」
「来ないから、そういうもんなの」
「そうなのか?」
「私はこのゴブリン狩りは二度目なの。それに弱い奴は強い人間に従っておけばいいのよ」
俺とベータは結界の中に入り、能力を解除した。リリは数時間この能力を使えると言っていたものの、見る限りかなりキツそうにしている。
「リリ、大丈夫か?」
「僕が君に心配をされるなんて今日はとことん嫌な日だ」
リリがいなければ今の生きていない。リリが強化してくれているとはいえ、俺に体の痛みは出始めている。ベータも体の負担があるようだベータは申し訳なさそうな顔をして俺を見てくる。
「外神、俺がもうちょっと使い物になれば」
「十分使い物になっているよ。俺よりは」
「言えてるわね」
アリエの間髪入れずに俺をディスるのはどうにかならんのか? と思いながらゆっくり過ごしていると、ブブは一人苛立っている。
「おい、お前ら! 何休んでいるんだ! ちゃんと金を払っているんだから探して倒して来いよ!」
「依頼者だから我慢してたけど、自分は何もしない。でも偉そうなことをいう? はあ? だったら闘ってから文句を言いなさいよ」
アリエはブブを結界から出そうとする。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
泣きじゃくるブブに対して、ナイフを持ちブブの親指から血を取り葉に付けるアリエ。
「何すんだよ!」
「なにっておびき寄せるのよ」
俺は疑問に思ったおびき寄せるって言っても、ブブの血が何の関係があるのか? その後、ブブは少しずつ震えだした。
「俺はもうあんな怖い目に遭いたくない。だから止めてくれ!」
「無理よ。今回倒さないと、私でも手に負えなくなる」
「アリエ、どういうことか説明してくれ!」
「冥土の土産に教えてあげる。最強のゴブリンは、何故かこいつの血が好きみたい。いえ、他のゴブリンも。だから血も出していないこいつの近くに集まろうとする」
「だから! 俺は今回一番になって、ゴブリンから好かれないようにしてもらうんだ」
ベータはブブを見て笑い出した。
「何がおかしいんだよ」
「自分で何とかしろよ。お前、ダメ人間なんだな」
「うるさい! ちょっと強いからっていい気になりやがって」
「ちょっとか、試してみるか?」
「……うるさい!」
アリエは結界から出て葉を燃やした。
「これで1時間後。奴はくる」
「1時間後?」
「私の感覚ではね。だから今のうちに休んでおいて、あんたとそこの少年は多少の戦力になりそうだから」
アリエは結界の外でじっと先を見ている。俺はアリエが見ている先なのか? 過去なのか? それが分からずにいた。




