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リリの力を借りる

「このままじゃ、アリエだって危なくなる」


アリエには恐怖心しかないが、潜在能力を持たないベータが何かを出来る訳でもなく、友情チケットを使ったとしても、俺が狙われることで間違いはない。高い攻撃力のあるアリエは瞬発力に欠けるため、自分の身は自分で守るしかない。


「だからといって、このまま黙ってられるわけねえ!」


と俺は結界をでた。


「外神! どこに行くんだよ!」

「忘れ物、取りに行ってくる!」


と俺は走り出した。2m級のゴブリンはすでにいないため、走っている間はゴブリンと出会うことはなかった。


「今回に限って、どうしてあいつは離れているんだよ!」


俺の中に変な苛立ちがあった。この世界に来てからずっと一緒にいたリリ。俺がないがしろにしたのか? そんなわけはない。でも、今までと何かが違うのかもしれない。俺は走りながら色んな考えが頭を巡らせていた。


数百m走っていると、眠っている動物姿のリリを抱えてバルブが歩いてきた。


「あんたは!」

「やっと会えたんじゃねえ。後半戦まで残るなんてやるじゃねえ」

「それよりも、リリ」

「まだ眠っているじゃねえ」

「どうして? 昨日からずっと」

「あんたの力になろうとしてるんじゃねえ」

「俺の力に?」

「アリエのペットはアリエの弱い部分を補うためにいるじゃねえ。だからリリも外神の弱いところを補うために力を蓄えているじゃねえ」

「でも、呪いをかけられているんだろ? だったら力なんて」

「そうじゃねえ、だから今まで使わなかったんじゃねえ。いつか絶対絶命のタイミングが来る時までってとこじゃねえ」


「……絶対絶命」


リリは眠そうに目を覚まし、俺を見ている。


「おはよう。君がまた死んでいなくて良かったよ」

「開口一番に出るセリフかよ」

「少しだけ君の手助けをしてあげるよ。そうでもしないと状況的にまずいんでしょ」

「…….ごもっともだがムカつくな」


リリは俺の体を登り、肩に乗ってきた。


「いい? 僕が君と離れていない間は、何度でも能力強化出来るから。ただ制限時間があるし、どこまでの限度があるかも僕は分からない。不完全な状況なんだ」

「でも、今よりは強くなれるんだよな?」

「断然強いよ」

「だったらいい」

「早く行くじゃねえ。アリエだって長く持つわけじゃねえ」

「分かった。本当にありがとう。あんたは何者なんだ?」

「ゴブリン狩りが無事に終わったら嫌でもわかるじゃねえ。余計なことを考えず、目の前のことにするじゃねえ」

「分かった、ありがとう」


リリは目を瞑り、集中し始めると虹色の気がリリを纏い、その気が俺の全身を纏い始めた。


「今なら戦闘じゃないけど、能力が使えるよ」

「マジか!」


俺は異世界チケットを握る。


「俺の潜在能力よ、スピードを上げろ!」


俺の周りに青い気が纏う。


「本当だ」

「行くじゃねえ。そして仲間を救うじゃねえ」

俺はバルブに一礼して、アリエの戦っている場所に戻って行った。


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