ゴブリン討伐
そして俺たちは朝を迎え、村から10キロほど離れた森に着いた。ブロルがみんなの前に来ると、咳をゴホンと言い。参加者達を見ている。
「これよりゴブリン狩りを行う。ゴブリン狩りは日没まで、それ以上は深追いするんじゃないぞ」
俺は疑問に思ったこの異世界での日没は夏と同じで日が長い。ならタイムリミットはまだ長くても良いはず。それなのに.....と疑問を持った顔をしている俺を見かねてベータが話してくれた。
「ここのゴブリンは特殊なのかもしれないね。小さい方が強いっていうし、日没までっていうし」
「さっぱりだ」
「狼は満月を見ると覚醒するでしょ? それと同じ原理でゴブリンは夕日を見ると覚醒することがある。それは小さければ小さいゴブリンほど。その強さは一気に跳ね上がる。多分だけど、去年犠牲が出たのも深追いしたからじゃないかなって思う」
「あぶねえイベントだな」
ブロルはもう一度咳払いをし
「検討を祈る」
と村の方に帰って行った。さすがに戦うことはないかと思ってはいたが他人任せもいいところだなという俺の感想とは裏腹に参加者のやる気が凄まじく、一歩引いてしまうくらいだった。
ベータはナイフと近くに落ちている葉を持ち右手の親指をナイフで少し切り、葉に垂らす。
「外神も、右手の親指を出して」
「何するんだよ?」
「ゴブリンに襲ってもらうための準備さ」
はあ!? なんでゴブリンを狩りに行くのに襲ってもらわなきゃいけないんだ? こいつらはMなのか? という発言に驚いたのだが、みんな同じ行動を取っている。
「血でおびき寄せることはわかったが、なんで右手なんだ?」
「運の流れが左手から入ってきて右手から抜けるからだよ」
そんなこと初めて聞いた。実際に嘘かもしれないが、そうやってゴブリンを自らに引き寄せているのなら正解なのだろう。ブブの方を目を向けていると襲ってきた三人と俺に殴られた一名のボディーガードがいない。......クビにされたか、そしてブブの隣にアリエか。あれ? ブブの野郎。親指を切ったフリをしているだけだぞ!あいつ、今までそうやって逃れてきたんだな。とブブをじっと見ているとアリエがこちらを向いて来た瞬間に目線を外し、なんとか難を去った。
葉に付いた血を火であぶり、その煙を辿ってゴブリンたちが集まってくるらしい。俺は少しの緊張と、ベータとタッグを組むことによりどこまで強くなれるのか少し興味が湧いていた。




