Chapter6 フォーマルハウト
関西弁の人に案内してもらって武器などを調達することができた。ユウ達は最初のボス、「ピスケス」を倒すべく、作戦を考え、双魚宮へと向かっている。
「属性とかってなんだろうね」
「確かに、気になるな。しかし、双魚宮だ。水属性に決まってるさ」
ユウは自信ありげに言う。
「まあそうよね。うお座ですし」
「え、なんでうお座ってわかるんですか?」
レイはリンに問いかける。
「双魚宮って言うのはね、黄道十二宮のうお座にあたるところよ」
「なるほど。確かにそのようなことを聞いたことがあります。てことはやはりこの先の準ボスと言うのは……」
「ええ、恐らくは。おひつじ座をモチーフにした敵キャラだと思うよ」
「ここまでネタバレされちゃうとさすがに俺も止めますよぉ。」
急にどこからか声が聞こえた。ユウには聞き覚えのあるものだった。
「こ、この声は……」
「ユウ、知り合い?」
「知り合いもなにも、この声はGM、つまりDragonだよ!」
「え、あの!?」
「そうだ。先行プレイのときにお世話になった」
「せ、せ、先行プレイ!?」
「ああ。あれ?知らなかったか?俺は先行プレイ経験者だ。」
「し、知らなかったです」
「まあいいや。で、今回は何のようだ?」
「君にも仲間ができたか。ハハハッ!絶好調だな。で、今回の用件だけど……」
全員が固唾を飲んで待つ。
「君たちが一番始めにこの双魚宮に来たんだよぉ!おめでとぉう!じゃ、頑張ってねえ!」
「「「え?それだけ!?」」」
「ああ、それだけだ。ほんじゃあな!がんばれーい!」
GMの声はどこか遠くの彼方へといってしまったような気がした。
「GMって自分勝手なの?」
「ノリがおかしいって言うか、あんな感じだよ」
「なんかGMって絡みにくいですね。」
「俺も最初そうだったから」
「「ナルホド」」
二人はユウの言った言葉に納得した。
道中でモンスターを倒し、ジョブのレベルもあげつつ、ピスケスのいる双魚宮へと着いた。
「みんな行けるか?」
「「もちろん!」」
「アタシにかかればこんなの余裕よ!」
「リン、フラグはよせ」
「フラグじゃないわよ」
すると、どこからか上から岩石の塊が落ちてきた。
「リン!危ないっ!」
「へ?」
「上です!上!」
「我が炎よ、今復活の灯火となりて、落ちし岩石を焼き払わん!放て、ファイヤープラスト!」
リンは得意の炎属性魔法で岩石を打ち砕いた。しかし、その割れた一部の石がリンの頭に衝突した。
「いったぁくなーい!」
「いやどう見ても痛いと言ったようにしか見えないわ!」
「ほんとに痛くないのぉ!」
「でも痛がってましたよね?」
レイもリンに問いかける。
「痛くないから心配しないでぇ!」
「だからフラグはたてるなって言ったのに……」
ユウは呆れ顔でそう言う。
「そろそろなかに入りますか」
「そうだな」
「フラグも回収できたことですし」
「フッフッフ!アタシの炎魔法でぶっ壊れよ!」
「またフラグ立てよる。止めとけってば!」
「そんなフラグなんて早々回収できるもんじゃないよ!」
「そうだと良いがな」
「さっき思いっきり回収してましたもんね」
「さっきのはフラグじゃないってば!」
「もうどうなっても知らないぞ」
「いいわよ。別に」
「じゃあ入るぞ」
「「おう!」」
そう言い、双魚宮の中へ入った。大きく閉ざされた石でできた重々しい門をあける。ゴオンという大きな音で開ききる。
「突入!」
「「おう!」」
全員が入ると門は自動的に閉まった。すると中にある松明が自動的に点火する。
「気を付けろよ。特にリン!」
少し強めに注意を促す。
「わかってるってば」
「わかりました」
少し歩いたところからモンスターがPOPし始めた。名前は……。
「こ、これは!?」
「ユウ!?何かあったのか?」
「どうしたんですか?」
「ここは双魚宮なんかじゃない!」
「え!?どうゆうこと?」
「部屋が赤すぎる。スクリーンショットを見ただろ?」
「はい。見ましたが。……あっ!部屋の壁が本当は青いはずなのに赤いです!」
「リンはスクリーンショットを見てないのかよ」
ちょっとしたツッコミを入れる。
「抜け出すには……」
「ここにいるモンスターを全て倒すしかないようだな」
「やるしかないのね!?」
「ああ。やるしかない!」
「後衛はリンさんお願いします!」
「任せて!ここで死なせないわ!」
「ったく、またフラグ立てよって。もう知らん!行くぞ!」
「はい!」
「我がこの炎を受けて消えたものは数えきれないほどありし!今こそ解放の兆しを見せるときだ!受けろ!ファイヤーショット!」
「リン!待て!」
しかし、その声は届かず、炎属性魔法は放たれた。
「え!?撃っちゃったよ!」
「こいつらは水属性だ!炎属性は効かない!」
「じ、じゃあどうすれば……」
「他の属性の魔法は無いのかよ!」
「持ってるけど、ほとんどが回復系よ!」
「くそ!どうすれば……」
「チャージブラスト!」
どこからか声が聞こえてくる。その声の主は……!?