Chapter3 プロキオン
「アタシはリン。魔道士だわ」
「よし、それじゃあ頼んだぞ!スライムは柔らかすぎて斬ることすらできないからね」
「助けてあげないわけでもないわ!古の力に導かれし炎よ、今ここに目覚めんとす。ファイヤドーム!」
何言ってんだこいつ……。助けてとは言ってないはずだが……。まあいいか。
ファイヤドームと名の付く炎属性の範囲魔法が発動した。瞬く間に炎は燃え広がり、スライムは焦げて、ドロドロになっている。そして、ドロップアイテムのスライムの欠片を手にいれた。これは、ポーションを作るのに必要な素材である。そして、楽々とスライム10体の討伐クエストをクリアした。
「君、すごいね!もしよろしければこれからも一緒にパーティーで冒険しない?」
「いいですよ。アタシが仲間になってあげてもいいんだから!」
「それは良かった。じゃあ、決まりだな。これからもよろしく!」
ユウは手を差し出す。
「こちらこそ、よろしくね」
そう言い、握手を交わした。二人は町に戻ることにし、新たなクエストを受けることにした。すると、町の中心部辺りから
「な、なんじゃこりゃあ!」
という叫び声が聞こえた。ユウは何事かと言わんばかりの勢いでその声の主のもとへと向かった。そこには女の子が一人いた。10歳くらいだろうか。
「どうかしたのですか?」
「あ、あなた達は?」
「俺はユウ。剣士だよ」
「アタシはリン。魔道士だわ」
「ユウさんにリンさん。私はレイといいます。じ、実は私テイマーになったんですけど、初期武器を見たらただの餌なんです。武器という武器がなくて」
レイは涙目でユウたちにそう言っている。ユウはあのジョブじゃなくて良かったなと言うGMの言葉を思い出した。あのジョブと言うのはテイマーと言うことか。少し納得する。
「じ、じゃあまずは武器を買わないとね。お金、ある?」
「初期のお金がバグか何かで無かったんです……」
「なるほど、今は一文無しってことか。なら俺が買ってあげる。」
「え、いいんですか?」
「あぁ。構わないよ。」
「お礼とかできないんですけど……」
と言っている。
「お礼なんていいよ。その代わりと言っては難だけど俺とパーティーを組んでくれないか?」
「もちろんです!」
「リンは大丈夫かい?」
「アタシは構わないわよ?レイちゃんよろしくね」
「はい!よろしくお願いします!」
「それじゃあ、鍛冶屋に行こう」
ユウたちは毎度お馴染みあの人がいる鍛冶屋に向かった。
「へいらっしゃい!鍛冶屋だぜぇ!」
「どうも」
「お、今日はかわい子ちゃん二人連れてるね。今日はどういった用件で?」
「この子の武器を買ってあげるんだよ。レイ、どれがいい?」
レイは真剣に悩んでいる。そして、
「これがいいです」
と、長槍を選んだ。
「じゃあ、これください」
「まいどー」
「ありがとね」
ユウたちはクエストを受けにギルドへと向かった。
「どれがいいのかなぁ。最終目標のために武器でも揃えるか。」
「そうだね。ならこのクエストとかどう?」
「妖精の写真を撮って来るクエストですね。報酬に武器がありますね。」
「よし、これでいいな」
と、ユウたちはクエストを受け、黄昏の森へ向かった。
「じゃあ、道中でモンスターをテイムしようか」
「じ、実は私、動物が苦手なんです。もっと言えば高所恐怖症で、ドラゴンとかテイムして空を飛ぶこととかしたくないって言うくらいこのジョブに合っていないんです」
「そうか、じゃあそれも克服できるようにしようか」
「はい!」
森を進んでいく。その道中にオオカミのようなモンスターが現れた。
「レイ!餌を与えてみて」
「え、でも……うぅぅ。えぇい!」
餌をオオカミが食べ始める。その後、オオカミはレイに向かってきた。
「逃げたらダメだ!耐えてくれ」
「は、はい!」
オオカミはなついた。「クゥーン」とレイに甘えている。テイムは成功したようだ。
そのまま一行は森の奥地へとたどり着いた。そこにはたくさんの妖精が舞う。
「おっと写真を撮らないとな」
パシャっと言う音が響く。すると、妖精はユウたちに襲いかかってきた。
「に、逃げるぞ!」
「「は、はい!」」
全速力で逃げる。すると、オオカミが妖精と戦い始めた。
「戦うしかないか。よし、戦おう!」
「了解!」
リンは炎属性の魔法を放つ。ユウとレイは剣と槍で妖精に攻撃をした。
約30分後、妖精を全滅させた。全員、すでに息が上がっている。
「か、勝ったの?」
「ああ。勝ったぞ。これはギルドに報告だけしといた方がいいな。町に戻ろうか」
ユウたちはクエストクリアの報告をしに町に戻る。その帰りの道中レイは宣言をした。
「私、動物が苦手なのを克服します。高所恐怖症も克服して、ユウさんたちを手助けできるようにがんばります!」
「うん。その意気だ。頑張れよ!これからもよろしくな!」
「レイちゃん、これからもよろしくね!一緒に最終目標を達成しようね」
「はい!よろしくお願いします!」
ユウたちは三人は町に戻り、今回のことを報告し、武器を手にいれた。