Chapter1 ハダル
「ではでは、チュートリアルを続けようか」
「しゃす!」
「では、まず、貴方のジョブを確認しようかね」
ジョブの確認をしようとするも何をするのかわからない。
「おっと、メニューの開き方を言ってなかったな。メニューと叫んでみな」
「メニュー!」
しかし、何も起きない。
「はっはっは。まさか騙されるとはな。WARPACを持っておるかね?」
雄大は恥ずかしがりながらもWARPACと名のつくリモコンの物体を探し始める。しかしどこを探しても見つからない。
「無い。無いぞ?」
「お前やっちまったな。もとの世界に帰れんぞ。まぁ最初だしいいか、ワハハハハ」
「いや、笑い事じゃないでしょ。もとの世界に帰れないなんてそんなこと嫌に決まってんだろ!」
「まあ今回だけGMの権限でログアウト出来るようにしたからさっさと取ってきてな」
はいはいと言う前に体が光り、もとの世界に戻った。すぐに足下に落ちているWARPACを手に取り、
「ワールドイン!」
と言って、またゲームにログインした。今度はちゃんと持っている。
「おお、お帰り。早かったなぁ」
「まあ、取ってすぐにログインしたからな」
「さてと、貴方のジョブは何かな?WARPACを手にとってメニューキーを押してな」
「はいよ」
雄大はWARPACのメニューキーを押した。すると、目の前にメニューのウインドウが出た。
「そこからジョブのところを触ってみて」
触ってみる。すると、「剣士Level1」と出ている。
「剣士ってのがジョブ?」
「そうだな。お前さんは剣士か。まああれにならないだけいい方か」
「あれとは?」
その質問には答えなかった。恐らく、リセマラを防ぐためだろう。しかし、MMORPGだ。リセットすることはあまりできないことが多い。
「き、聞かないでおくよ。チュートリアルを」
「オーケイ!では、次に武器を見てみようか。ジョブメニューのWeaponの所を触ってみてくれ」
「Skill」、「Weapon」とある。Weaponの部分を触ってみる。武器のアイコンが出てきた。片手剣と書かれている。
「片手剣・・・・でいいのか?」
「そうそうそれそれぇ!それを触ってみてくれ」
「うほぉ!」
目の前に片手剣「始まりの剣」が現れ、それに触れると剣を装備したと言うウインドウが現れた。
「ほぉ、これはいいな。早く戦いたいぜ」
「ならば戦ってみようかね。この先にあるギルドに向かってくれ」
マップにナビが現れ、そこに向かった。中世の時代風の木造の建物に入る。カランと音が鳴り、ギルドの案内人だろうか、修道服のようなものを着た女性が近寄ってきた。
「冒険者様、ギルドへようこそ!ここではクエストを受注し、クエストのクリア報酬を受けとることが出来るところです。まずはギルドに登録しましょう」
ギルド登録用紙と書かれた紙を渡され、ペンと消ゴムがポップした。どうやらキーボードで打つのではなく、ちゃんと書くことになっているらしい。雄大は、紙にユーザーネームなど必要事項を記入した。最後に同意しますか?と書かれているところを見つけ、注意事項を読んだ。
注意事項
一、我々ギルドは一切のトラブルに責任を負いません。
二、ギルドにおけるクエストについてはサポートをしますが、限度がありますのでご了承ください。
三、ジョブの変更は認めません。ただし、ジョブのレベルが上がり、上級職を得られた場合は除きます。
四、レベルアップ報酬等についてはレベルアップ時にギルドにお越しいただければ、受けとることができます。ただし、自動的に受け取ることも可能だが申請が必要。
五、クエストの中断は認めない。もし、中断した場合はペナルティとして報酬の半減を1週間(ログイン日数で決まる)するものとする。
六、裏の取引は禁止とする。もしあった場合はペナルティとしてログイン日数で1ヶ月報酬を無しとする。
ポーションを10個配布するので同意したと同時に受け取ってください。
と、書かれている。雄大は全てをしっかり読み、同意した。ギルドの女性にそれを渡すと、
「報酬の受け取りはどうされますか?」
「自動受け取りでお願いします」
「わかりました。変更をしたい場合はまたお越しください」
ギルドの登録完了の印にギルドカードとポーション10個が配布された。
「ギルドカードはクエストの内容を確認することができます。クエストの受注はこの先にある掲示板をご覧ください」
「わかりました。ありがとうございました」
一連の流れを把握したところで、GM、DRAGONの声が聞こえた。
「どうやらうまくいったようだね。じゃあクエストを受けてみようか。クエストをひとつ選んでみてよ。初心者だったら、スライムの討伐かな。あ、ひとつ注意だよ。これはVRゲームではないから痛覚が消されてないから無理は禁物だぜ!」
「わ、わかった。じゃあスライムの討伐を受けようかな。どうすればいい?」
「スライムの討伐の所を触って、ウインドウが開かれるから、OKボタンに触れたら受注完了だよ」
スライム討伐の欄にふれ、本当に受注しますか?と出てきたのでOKボタンに触れた。
「よし、この世界でトッププレイヤーになってやるぜ!」
「この先で剣を買っていくといい。では、チュートリアルはこれで終わりだ。頑張れよ!」
「ああ」
雄大は、この先にある鍛冶屋に向かい、剣を買うことにした。