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雫と僕
盗賊だったものを放置して雫のところに戻ると、青ざめた顔で怯えた表情をしていた。
「どうした?雫」
雫に向けて手を差し出すと怯えたように後ずさられた。うーん、地味に傷つくなあ……
「そ、そーちゃんは平気なの?」
僕が悩んでいると雫にそう問われた。
なんのことだろう?殺しのことかな……よく考えたら人殺しって初めてなんだよなあ……その割にはあまり何も感じないなあ……あれ?僕だいぶイカれてるんじゃないか?とりあえず嘘吐いとくか……
「いや、平気ってわけじゃないよ。ただそうしないと雫が攫われていたかもしれないだろ?」
とりあえずこう言っとくか……
すると雫は少し怯えが薄れたようで、
「そ、っか。うん、そうなんだよね。そーちゃん、私のために頑張ってくれたんだよね。ごめんね?無理させて……」
すると今度は悄げてしまった。
「いいんだよ、雫。お前はなにも悪くないんだから、謝らなくていい。」
そう言って手を差し伸べた。今度は怯えながらも手を握ってくれた。