虐殺
「あの、そこの女ってこいつのことですか?」
僕は雫を指差して言った
「あ?なに言ってんだ、当たり前だろ他に誰がいるってんだ?」
盗賊はニヤニヤしながら僕に言う、しかし僕はそれをきいて
「よかったなあ!雫!胸ないのに女だってわかってもらえたぞ……って痛い!痛いから!殴るなって!」
なぜか雫から涙目で殴られた。
「おい、兄ちゃんよ。いい加減去らないと、殺すぞ?」
お、なんか脅してきた。面白いなあ…殺すだって、だから僕は言ってやった
「じゃあ殺してごらんよ」
それが戦闘開始の…いや、虐殺の合図だった。
最初に声をかけてきたおっさんが斬りかかってきた、
「うん、遅いね」
しかし振るった剣は空を切っただけだった。既に僕はおっさんの後ろに回り獲物である蒼い刀身のナイフを取り出していた。
「はい、1匹」
僕は背後からナイフでおっさんの首を掻き切った。首を失った胴体から紅い噴水のように血飛沫が飛び僕を濡らす。
「さて、次だね。」
残り4匹か…そう思い振り返ると、パンッと乾いた音がした。反射的にナイフを振ると足元に金属が転がった
「ひ、ひぃ……!こいつを防ぐなんてあり得ねえ……!」
あれ?これって銃弾だよね、おかしいな。戦国時代くらいの発展だときいていたんだけどな……
「お、おい!銃弾を切り落とすやつに勝てるわけがねえ!逃げよう!」
「お、落ち着け!1人でダメなら全員で射ちゃいい話だろ!?」
そう言って盗賊共は銃を取り出した。
え?まじで?全員持ってるの?ヤバイなあ……楽しくなってきちゃったよ!
パパパパンッと乾いた音が4つした、4つの鉛玉が僕めがけて飛んでくる。僕はそれを避けるでもなく寧ろ突っ込んでいった。そして、あと数歩でぶつかる…その瞬間、1発目は左手のナイフで起動を逸らし、2発目は右手のナイフで逸らし、3発目は身体を捻って避け、4発目は捻った勢いで右手のナイフを使い切り落とす。そしてその勢いのまま盗賊共の懐へ潜り込む
「は?え?あ?」
動揺して動けずにいる盗賊に、
「0点だね」
そう告げて一気に2匹の喉笛を掻き切る
4発程度で僕を仕留められると思ったのか?まったく、甘いな
「う、うわああああああああ!!!」
耐えられなくなったのか1人の盗賊が逃げ出したので、魔法の練習でもしようと思い。短い詠唱で済む魔法を唱え指を前に突き出し唱える
「シャドウバレット」
僕の指先に直径3cmほどの黒い球体が現れ、すごい速さで飛んでいき、逃げ出した男の心臓部分を貫いた。
いや、すごいね魔法って
「う、あ、なん、なんなんだよ!お前は!」
1人残った盗賊は腰を抜かしているのか悪態を吐くだけで立ち上がれずにいた。
そうだな…いいこと考えた。
僕は彼と同じ目線まで屈むと彼の髪を掴み言った
「僕達町に行きたいんだけどどっちに行ったらつくかな?ほんとのこと教えてくれたら解放してあげるよ〜」
さて、答えてくれるといいんだけど……
「ほ、ほんとか!?教える!教えるから!助けてくれ!」
うわ、あっさり乗ったな〜、まあいいんだけどね?
「どっちに行けばいいの?」
僕は髪から手を離し話聞いてみる
「ひ、東に30分も歩けば着くはずだ!さあ!喋ったんだから助けてくれ!」
なるほど東ね…うん、有益な情報だ。彼のことを解放してあげないとね。
僕は立ち上がって笑いながら言った
「ん?君なにか勘違いしてないかい?解放してあげるとは言ったけれど助けるとは言ってないよ?」
瞬間、盗賊の顔色は青ざめた。
「な!解放してくれるって言ったじゃないか!」
盗賊は唾を飛ばしながら叫ぶ。
うるさいなあ……
「うん、そうだね解放する、と僕は言ったね。」
解放する、とはね
「じゃ、じゃあ!」
「でもね?解放するのは僕からじゃなくてこの世からって意味なんだ。」
そう、初めから生かしておくつもりなんてさらさらなかったんだよ。
盗賊は先ほどと打って変わって真っ赤になって怒鳴った、
「ふざけるな!おかしいだろ!そんなの!」
「おかしいのはどっちかよく考えてくれよ。僕を殺そうとしたんだ、殺される覚悟だって出来てないとね?」
だって、そうだろう?やられたらやり返すのは当然のことじゃないか。
「ごめんなさい!ごめんなさい!許してください!許してください!まだ死にたく……」
「黙ろうか」
僕はナイフで命乞いをしてくる盗賊の首を刈り取った。血飛沫がまた僕を濡らす。ああ、これは全身血まみれなんだろうなあ……