おいでませ異世界
風が頬を撫でる、草の匂いがする。
「ん…ん?」
少し重たい身体を起こすと、幸せそうな顔をして眠っている雫がいた。……やれやれもう少し寝かせておいてやるか、
「むにゃ……そーちゃん、暑いからって全部脱ぐのはダメだよ……」
「おいまて起きろ」
どんな夢見てるんだこいつは……
流石にそんな夢は見せててやれない
数分後…
「もう!なんで起こしたのそーちゃん!せっかくそーちゃんが全裸で笑ながらコサックダンス踊ってたのに!」
「どんなカオスだよ……」
いや、ほんとこいつの脳内はどうなっているんだ。おかしいだろう、なあ、自称女神様よ。
「もう…て、そんなことよりここ異世界なんだよね?」
「ああ、そのはずだけど……」
うーん、見事になにもないなあ……そういえばちゃんと自称女神は能力を与えてくれたんだろうか
「雫、能力の確認をしよう。」
とりあえずはステータスが見たいよな。
やり方がわからないのでとりあえずクロスソートと同じように手を下に振ってみた
「お、出た出た」
見事、ステータスが映し出された半透明の下敷きくらいの大きさのプレートが現れた
「ふむ…記憶にある通りのステータスだな」
スキルも確認してみたがなんの問題もなかった。
「次はインベントリか……」
ステータスの欄の1番下にあるインベントリボタンを押すと、画面いっぱいにアイテムのアイコンが現れた
「えーと、装備装備……ん?そういえば……」
あれ?装備ってどうしたらいいんだ?クロスソートでは装備欄で装備の着脱は行っていたからなあ……そのまま着ればいいんだろうか?試してみるか。
「ん?そーちゃんどうしたの?」
雫が不思議そうにこちらを見てくる。
「いや、なんでもない。雫はステータスになんの問題もなかったか?」
「ん〜、私の方は問題ないよ〜。そーちゃんは?」
「僕の方も問題ないよ。ところで装備ってどうつける?」
「え?普通に着るんじゃないの?」
「だよねえ…」
普通に着るか……
僕はインベントリから黒色のワイシャツとタンクトップ、そして黒のズボンを取り出し、それに着替えた。そして、2振りの蒼刀身のナイフをベルト部分に装着して装備は完了した。
実際に着ることになるとは思わなかったな…
そう思っていると
「そーちゃん!そーちゃん!どう?」
着替え終わった雫が僕に装備を見せに来たようだ。
雫の装備は、白のワイシャツと黒いハーフパンツに白い膝まであるコートを着たものとシンプルな作りの黒い杖だった。
「うん、似合ってるね。」
素直に褒めておく、すると雫は
「うへへ〜、ありがと!」
とてもご機嫌に笑っていた。