白い部屋で2
……そうだ僕達は死んだはずだ、とするとここは死後の世界というやつか。随分と殺風景なんだな、もう少し夢の国みたいな所を想像していたんだけど……
「ねえ、そーちゃん……やっぱり私たち死んじゃったのかな?」
その可能性が高い、というより確実だよなあ…
「たぶんこれは死んで……」
僕が言いかけたその時、
「あ、あのっ!」
少し上ずった女性の声が響いた、声の聞こえた方向を見てみると金髪ロングの綺麗な女性がいた
「えーと、あんた誰?」僕は警戒して女性に尋ねた、
「は、はいっ!私は女神です!」
女性は女神と名乗った
「……なるほどね」
ああ、拗らせちゃったんだなこの人……
「え?なんでそんなに可哀想な人を見る目で私を見るんですか?」
可哀想に、と思いながら自称女神を見ているとそんな風に言われてしまった。
「いや、うん。女神ね、拗らせるのも程々にしないとダメだよ?」
僕は別にこういったものを否定したりはしないよ、個人の楽しみだからね。
「拗らせる……!信じてませんね!?私、本物ですからね!?」
めんどくさいなあ……とりあえず信じてあげるか
「はいはいそれで、自称女神さん?ここはどこか教えてくれる?」
「自称……やっぱり信じてない……。ま、まあいいです!それで、ここはですね……」
説明を要約するとこうだった
ここは死後の世界と現世との境目である。
自分の不手際で僕達を死なせてしまった。
元の世界に返すことはできない。
という信じられないものであった。
「ちょっと待ってよ!帰れないの!?」
涙目になって雫が叫ぶ
「申し訳ありません…そういう決まりになっておりまして……多大なご迷惑を……」
「謝罪とかはいいからさ、これから僕達はどうなるの?まさかとは思うけどそっちの不手際で死んだ人間をあの世に連れて行く、なんてことはないよね?」
僕の言葉に雫が青ざめる。いや、まだそう決まったわけじゃないから、落ち着こうね?
「い、いえ!そんな!連れて行ったりなんかしません!」
まあ、だろうね。予想はついていた
「じゃあどう責任とってくれるわけ?もしかしてここで暮らせとか言わないよね?」
僕の言葉にまた雫が青ざめる。だから落ち着けっての。
「そんなこともありません!あなたがたには申し訳ないですが、別の世界で暮らしていただくことになります。そうですね、あなたがたの言葉で言うところの異世界というやつです。」
なるほど異世界か、テンプレだね。
お、これには雫も食いついたみたいだ
「異世界ってどんなところなの?」
確かにそこは気になるところだ
「はい、あなたがたの住んでいた日本の歴史で言うところの戦国時代あたりですね。」
中世ヨーロッパとかじゃないのか、そこはテンプレから外れるんだな
「もちろんタダで放り込むなんてことはないよな?」
「もちろんです、あなたがたが望む力を一つ与えましょう。」
なるほど、自分で選ぶのかならば答えは決まっている。僕は……
「クロスソートで、トガとして使っていた全てのものを使えるようにしてくれ」
「私は、クロスソートで、シズクとして使っていた全てのものを使えるようにして」
なんだ雫も同じ考えだったのか。僕たちの回答を聞いて女神は、微笑みながら
「はい、わかりました!」
と言って腕を振ったすると金色の粒子が僕達の身体を包み込んだ。そして…
「それでは第2の人生をお楽しみください!」
そんな声とともに僕の意識はまた途切れた……