平穏な家路
一応今回のお話で序章は終わり。
しかし序章の終わりは一章の始まりというわけで…
書き溜めをうまく小分けにして投稿していかなければ…と考えております(オイ)
キーンコーンカーンコーン──。
本日最後の授業が終り、帰りのホームルームも特に何も無く終った。
各々が帰宅準備やクラブ活動の準備をする中、七海も同様に帰り支度をすませ下駄箱に向かう。
「七海、一緒に帰ろうぜ」
「ん、いいよー」
声を掛けてきた幕張と一緒に下校をする。
他愛の無い会話をしながらしばらくの時間が過ぎた頃だった、
「そういや七海、今日もありがとうな助けてくれて。
なんか俺の体質のせいで昔から助けられっぱなしだよな…」
「どうしたの急に?別にいいよ。
そういえばさ、一番最初にアンタが憑かれた時は危なかったよね。
お父さんじゃなきゃアイツは祓えなかったもん」
「そうらしいな、実は俺その時の記憶あんまり無いんだよなー」
「そうなの?」
「おー、まぁすげぇ大変だったみたいだし、忘れてるのは自己防衛の一種かなーなんて思って、
記憶喪失の件についてはもう気にしないようにしてるけどな」
あっけらかんと言って、ハハハと笑ってみせる。
「ふーん」
「何だよその淡白な感じ!ったく、ひでぇなぁ…。
でも、それからやたらと憑かれるようになって、そっちは今も悩みの種ってワケだ」
「ほんと、毎度毎度よくつれてくるよね。弱っちぃのばっかだから楽なんだけど、
最近はたまーにそこそこのヤツも居るから、ちょっとだけ心配」
その言葉を聞いた瞬間の幕張の顔が、なんか凄かった。
「うぉぉぉ、まじかそれ!心配してくれてんのか!
いぃぃやっほぉぉぅ!」
「えええっ!ちょっと…キモいよ…。
まぁそりゃ心配するでしょ、寧々とかに被害及んじゃうかもしれないし」
「ですよねー!そんな気はしてましたーっ!」
ズサーッとヘッドスライディングをかます幕張をよそに、
テクテクと変わらぬスピードで七海は歩く。
「いや分かってたからいいんだけどな…。
つーか、最近この街自体で増えてるんだろ?闇者の出現が…」
制服をパンパンとはたきながらそう言うと、七海は足を止め振り返った。
「あれ?それについてアタシ何か言ったっけ?なんで知ってるの?」
「最近教室で見てると、眠そうにしてる事が多いからな、お前。なんとなくそうなんじゃないかなって」
「うわっ…何それ…ストーカー?」
「うぉぃ!そいつぁひどすぎないですかねぇ!!恩人相手に心配ぐらいしたっていいだろ!」
吼える幕張を横目にフフフと笑って、「まぁそんなところ」と街での異変を肯定したが、
すぐに「関わっちゃだめだよ」とやわらかく拒絶する七海。
その後はグイグイと詮索するわけにもいかず、しぶしぶ引き下がる幕張。
そこからは再び、普段通り他愛のない会話をしつつそれぞれの家を目指した───。
闇者という聞きなれぬ単語が出てきましたね。
いわゆる作者が勝手に作った造語なるものです。
辞書とかで調べても載ってないよ!
闇祓物語の世界において、悪霊・妖怪・魔物といった存在の総称として作った言葉ですとここに書いておきます。
さて序章が終わりました。
ここからが本編ですので、皆様、あえて気楽に待っててやってください。