前世で好きだった小説の悪役として転生しましたが、バッドエンドを回避するために頑張ろうと思います。
前世に好きだった小説の世界の悪役として転生しましたが、バッドエンドを回避するために頑張ろうと思います。2
前作品の続きです。
あれから10年ほどたちまして、私西園寺可憐は高校生になりました。
バッドエンドは逃れられそうか、ですか?
うふふふ・・・。
そんな簡単だったら誰も苦労なんかしていませんよ?
非常に残念なことですが、真也様と婚約者になってしまいましたの。
誰か嘘だと言ってください。
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「おい、可憐。こっちに来い。」
まあ、なんて綺麗な花でしょう。
「おい、可憐!」
あら、こんな所に美味しそうなお菓子が。
「可憐!」
素敵なお空。
「おい!」
そう言って目の前に現れたのは真也様。
できればお会いしたくなかったわ。
「あら、ごきげんよう。真也様。」
そんなことはお首にも出さず、にっこりと微笑む。
「真也様、私には関わらないでくださいと、10年間毎日欠かさず言っておりますが?」
貴方には素敵な女性が現れる筈ですもの。
私は当て馬にはなりたくありませんわ!
貴方達には無いバッドエンドなる物が私にはありますのよ。
誰がそんな分かり切った地獄へと落ちて行くんですか?
誰が望んで社会的に殺されないといけないのよー!?
「とにかく、私に近づかないでください。」
私は、そう言ってその場から去った。
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ああ、疲れた・・・。
何で朝からこんなに疲れないといけないのかしら?
私が通うのは、『私立桜ノ園高等学校』。
小説の舞台の学校です。
そんなにフラグを折りたいなら、転校すればいいと思いますでしょ?
・・・それが出来たら困りませんわ。
実はこの学校、一回入ったら大学卒業か退学かの二択なんですって。
退学は世間体がよろしくないでしょう?
まあ、原作の西園寺可憐は退学になりましたけどね・・・。
アラ ヤダ コワイ
とりあえずは、真也様と転校してくる筈の雪乃さんと関わらなければ大丈夫・・・な筈?
とりあえずの私の目標は
1.目立たない
2.近づかない
3.相手にしない
この三つの‘‘ない’’を守っていれば、平凡な日常をおくれますわ。
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「可憐様、ごきげんよう。」
ぼけーっとしてた私の元にやって来たのは綾小路桜子様。
茶道のお家元の長女で、和風美少女。
私のお友達である。
そういや、小説の中では友達いなかった様な・・・
原作の西園寺可憐は真也様のストーカーだったし、誰も関わりたくないよね・・・
考えるだけで、悲しいわ・・・
「可憐様は随分と朝からお疲れね。また、真也様に追いかけられたのかしら?」
こてんっ、と首を傾げて言う。
「・・・ご明察ですわ。」
桜子様はこういったことにとても敏感だ。
「真也様も毎日本当に飽きませんわね。粘着質な男は嫌われますわよ。」
ボソッと桜子様が言う。
「何か言いまして?」
「いいえ。」
何て言ったんだろう。
まあ、いいですわ。
「そういや、可憐様聞きまして?」
「何をですの?」
まさか・・・?
「私達のクラスに編入生が来るのですって。」
嫌な予感ほど当たるものですわね・・・。
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「始めまして。私は蓮見雪乃です。家の事情で編入して来ました。どうぞよろしくお願いします。」
ついにやって来てしまった、私を社会的に抹殺する悪魔・・・。
触らぬ神に祟りなし!
無視していきましょう。
「では、蓮見様は西園寺様の隣に座ってくださいな。」
え?
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運命って怖いわ・・・。
関わりたくない人ほど寄って来ますわ・・・。
「可憐さん、一緒に帰りませんか?」
まさか、雪乃さんから話しかけてくるとは思いませんでしたわ。
・・・まあ、即お断りしましたが。
でも、おかしいですわ。
どうして、断ったはずの雪乃さんと会いたくもない真也様に挟まれているのかしら?
二人でいちゃつくなら、別の所でお願いします。
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「真也様、いつまでついてくるんですの?いずれストーカーで捕まりますわよ?」
私の後ろを歩いていた真也様に言う。
「俺は・・・。」
「こんな所で油を売ってる暇があるなら、雪乃さんとデートの一つでもすればいいのではないですか?」
貴方と関わって、バッドエンドになることだけは避けたいのです。
「何でそこで雪乃の名前が・・・。」
名前で呼ぶんですのね。
やっぱりそういう仲なんじゃありませんか。
「それではごきげんよう。」
私はとびっきりの笑顔でその場を去ろう・・・とした。
「なんですの?早く雪乃さんの所に行った方がよろしいんじゃありませんか?」
私はどうやら真也様に手を掴まれてしまったらしい。
「俺が好きなのは・・・可憐だ。」
はあ?
「今何と?」
「だから、俺が好きなのはお前だっていってるんだよっ!」
この人は何を言ってますの?
あくまで、この人は雪乃さんとくっつく人で、私は悪役で・・・。
全くもってシナリオと違う!?
一体どういう事?
私の頭の中をグルグルと真也様の言葉が渦巻く。
「ちょーっと待ったー!」
向こうの方から少女の声がした。
その方向を見ると、
「雪乃さん?どうしてここに・・・」
私が言うと雪乃さんは真也様を睨みつける。
あれ?
「真也様。何を抜け駆けしてるんですか?真也様が言うなら私も言いますっ!」
何か話があらぬ方向に・・・
「可憐さん!私も貴女の事が好きです!」
・・・・・・・・・はあ!?
こんな展開知りませんわっ!
ありがとうございました。