7話 冒険者生活三日目の疑問
「宿で朝を迎えるのにも慣れてきたな、スケさん下に行こうか」
慣れたといっても宿で朝を迎えたのは二回目だがそんなことは気にせずに部屋を出て階段を下りていく
「おはよう、女将さん、朝食をお願いします」
「はいよ、これ食べて今日も頑張って来な」
ここでの朝食は、大きな寸胴鍋から器にスープを注いで、硬い質の悪いパンが二個という物だ、特に美味しいということは無いがスープに浸して柔らかくして食べる
朝食を終えて女将さんに「ごちそう様でした、また夜に帰ってきます」と伝えて宿を後にした
冒険者ギルドで今日は鹿肉の依頼を受けて町を出た
「それにしても実際のギルドはイメージと違うなぁ、荒くれ者で新人には厳しい世界だと思ったけど皆ギルドで騒いでないし、俺も丁寧な対応で行こう、な、スケさん」
ジェスは気づいていない皆スケさんをびびって騒がないのである、一般的にスケルトンはあまり強くないが鎧を着ているスケルトンはスケルトンナイトやスケルトンジェネラルといった上位種で魔物使いは最低でもその魔物より強くないと使役出来ないと言われている
つまりスケルトンの上位種を連れていてジェスがそのスケルトンより強いと思われているのだ、実際のジェスはカッパーカードランクの下位並の実力はあるがスケさんは更に上で
スケさん自体はまだ通常のスケルトンであるが傭兵の経験が骨にもあるのか生まれてすぐでもそれなりに強くそしてジェスの能力により格段に強くなり、骨吸収での成長率もアップしているので冒険者の強さで表すと今現在でシルバー一歩手前食らいの強さはある
それだけ強いと他の冒険者が理解しているかわからないが。スケさんを連れているジェスに絡むなんて自殺したい人間としか思えないという共通見解が有り、皆はジェスが来るとギルド内が静かになる
ジェスはそんなことを知らないので冒険者は荒くれ者という認識を改めて、冷静で大人な人の集まりに変わっていった
森を歩いていると
「スケさん」
スケさんが獲物を見つけて走り出すので俺もついていき着いた頃には狼の半数は死んでいた
俺もスケさんに負けじと参加して二匹槍で突いて殺した、俺が二頭倒す間に5頭は倒していた、辿り着く前に転がっていた死体も合わせるとスケさんだけで11頭も倒していた
スケさんはスゴイが言わなきゃいけないことがあった
「スケさん今回の獲物は鹿だよ、でもお金になるからいいんだけどね、最初に依頼を終わらそう鹿の血の匂いの方が獣がもっと襲ってくるよ」
最後にそう言うと落ち込んだスケさんはカカっと歯を鳴らして、喜んでいるように見えた、もっと狩りたいのだろう、意外とスケさんは戦闘狂かもしれない
「スケさん骨いつものようにどうぞ」
と言って俺は解体を始める、スケさんは狼の骨を吸収してなんかさっきより少し骨太になったようにも見える、少しスケさんが羨ましかった骨を吸収することで強くなることが目に見えてわかるのだから、でもだからこそスケさんを大事にしようと思ったスケさんが居るから俺もスケさんの強さを目指して頑張れる、身近で遠い目標だから
「俺が頑張るほど遠ざかるのがわかるんだからなんて遠い目標なんだろう」
思わずスケさんには聞こえない声でつぶやいてしまった
そんなこともあったが順調に森での狩りを終えた
鹿の血をばらまいていると熊が3頭も来た時は肝を冷やしたがスケさんが難なく倒していた
スケさんは熊の毛皮で肉をくるみそれを二つ肩に担いで持っている、俺も一個担いで歩いて居た
町に入るときに門番の人に少し驚かれたが、昨日も熊は狩っているので大丈夫だろうと思っていたが昨日は袋の中に入れていたが今日は熊の毛皮がむき出しだったので驚かれたらしい
門番の人に「お騒がせしました」と謝りながら町の中に入っていった
そのままギルドに行き、依頼の鹿肉を渡して他の依頼も確認してもらう
鹿の肉の依頼1頭分100b×2の2c
熊の討伐1頭10c×3の30c
狼の討伐4頭300c×5の15c
これが今日の依頼の分だった10件の依頼を終わらせて昨日と合わせて25回アイアンになってから二日でこれだけ行けばいいほうだろう
そのまま買取カウンターに行って毛皮と肉を売ることにした
値段は昨日と同じで
熊の毛皮は1500bの肉は500bで今日はそれが3つで45cで毛皮が15cで肉が売れた
狼は1匹100bの22頭で2200bの肉は30bで売れた
鹿は毛皮は一頭で200bの2頭で4c
こう稼げると思わず笑みがこぼれてくる
そしてそんな俺に疑問を持ったのだろう、いつもは静かにしている先輩冒険者の一人が俺に声を掛けた
「お前、アイアンになって日が浅いのにどうしてそんなに稼げるんだ?」
最初は稼ぎすぎだっていういちゃもんかと思ったが顔を見ると純粋に疑問に思っているような顔をしていたので答えることにした
「えっとですね、俺の相棒のスケルトンのスケさんがですね、気配の察知が早いんですよ、それで獣が近づくとわかるんですよ、それと獣を探すのが大変なんで鹿を仕留めたあとの血抜きすると気に血をばら蒔いて、おびき寄せてます、狼と熊がよく来てくれますよ」
それを聞いて、獣の怖さを知ってる冒険者は怖いことをしてるって顔で俺を見て、あまり知らない人は良い事を聞いたとばかりに喜んでいる、が俺は気にしないで
「これで失礼しますね」とギルドを後にした
俺は武器屋に顔を出していた
三日後と言われたが待ちきれずに足がそっちにいってしまった
「オヤジさんどうだい?」
と声を掛けたのが俺だと気づくと
「三日と言ったろうが三日も待てんのか」と言われてしまった
「待てなかったです」と軽く頭を下げながら苦笑いで応えた
「鎧はまだだが剣の修理は終わったぞ、この剣はなんじゃ全然整備されてなかったぞ錆び付いていたしだが錆を落としたら剣はまだ生きていたんで修理は出来たがな」
「スケさんが死ぬ前に使ってたけんだと思うので俺にはよくわからないんです」
俺がそう言うとオヤジさんは「じゃあ仕方ないな」と何も言えなくなってしまった、スケさんに愛用の剣がが戻ったしかも切れ味も戻って
「スケさんよかったなその剣まだ使えるってさ」
そう言ってやるとスケさんはまたカカッと歯を鳴らした
「お前さんの棒も今一本終わってな、実は出来を見てもらいたかったからちょうどよかった」
と言われ俺は出来上がった棒を受け取る、棒を受け取った俺は思ってたより軽いことと持ちやすく加工されていることに喜んだ
「いいですねこれ金属なのに思ってたより軽いし持ちやすいこれなら魔物でも思いっきり殴れそうです」
「そうかそうか、結構悩んだんだぞ、唯の棒なんて作ることはないからな、同じのをもう一本作ってやるが今度はちゃんと二日後に来い、鎧が出来上がらないんでな」
「分かりましたよろしくお願いします」
俺とスケさんは武器を新たに、スケさんは修理した剣だけど、意気揚々と宿に帰った
中に入るといつもより宿の食堂が騒がしかった
「今日は宿が盛り上がってるね」
と女将さんに言うと
「あんたの話題だよ、二日連続熊を倒したんだってね」
「そんなことで騒ぐんですか?」とあまりに無頓着な感じで聞くと
「そりゃアイアンになり立ての奴が熊と戦ったなんてのは大抵そいつが死んだあとになって出る話題だ、生きてるだけで話題になるのにそれが二日連続で、しかも狩り方が正気の沙汰じゃないってんだから話題にもなるってもんよ」
と酔っ払いの一人が答えてくれる、皆で「普通は獣が寄り付かないように血を処理するんだが」とか「獣を罠にはめるために罠の所に肉を置くことはあるが」とか「獣を呼ぶためだけに血を撒くなんて初めて聞いた」と皆で騒いでいた
俺はそうそうに食事を終わらして7b払って階段を上り部屋に戻った
支出
宿の夕食代 7b
収入
依頼報酬
鹿の肉の依頼で2c
熊の討伐依頼で30c
狼の討伐依頼で15c
買取
熊の毛皮 45c
熊の肉 15c
狼の毛皮 22c
狼の肉 30b
鹿の毛皮 4c
合計 133c23b
108c66b+133c23b
全財産は241c89bになった
依頼も50回まであと半分の25回になった、金勘定が日課になってしまった、少し重くなったので200cは明日当たり両替して2sにしたほうがいいかな、でもどこで両替してくれるんだろうか、両替手数料とかあるかもしれないな、そんなことを考えて両替することを考えるのをやめて寝ることにした
読んでいただきありがとうございます