5話 初依頼は大変?
俺は畑仕事の手伝いの依頼を受けて
今依頼主の農家の前に来ていた
「すみませーん」
家というか畑で仕事していたので声を掛けた
「来たか、あそこの開墾をしてくれ、頼んだぞ」
言われたところはかなりデカイ石や切り株があった、仕事としては問題ないがこれで10bでは誰も依頼を受けないはずだ安すぎる
俺は教会で畑作業、特に開墾が得意だから問題なくこなした
「おじさん、これでいいかい?」
俺は敢えて畑として使えるような開墾はせず、デカイ石や切り株等を開墾するスペースの外に積んで置いた、
「開墾出来ておらんじゃないか」
ちょっと怒り気味に言ってくるので
「横のこれ見てそれを言うんですか、これだけの石や切り株除去するのも大変なんですよ、それとこの後は子供でも開墾が出来るので近所の孤児院とかに野菜を提供する約束をして開墾してもらうとかすれば、毎年の人出になると思いますよ」
「それじゃ依頼達成には出来ないな」
「致し方ないのでそれでも構いませんよ俺は元々孤児でしてね、冒険者には石や切り株の除去を頼んで孤児に開墾を頼めば、確実に冒険者も依頼を受けに来てくれますよ、開墾するなら冒険者じゃなく農家をすると思うので、これはおじさんの損をしない提案ですよ」
「う~ん、それもそうだな、冒険者はプライドが高くて困る今まで受けた奴は農家経験者くらいだったからな、しかも年に一回位しか依頼を受けに来ない、常に出しておるのに」
農家のおじさんが考え出したので俺は開墾を始めた
「まあ、俺の依頼は開墾ですからね、ちゃんと開墾はさせてもらいますよ、さっきのは冒険者がやりそうな範囲を伝えたかっただけなので」
それから1時間ほどで開墾を終わらしてまた声を掛ける
「これで依頼達成でいいですか?」
「ああ、助かったさっきの助言は本当にできるのかい」
「依頼内容を畑で力仕事とかにして、謳い文句に「アイアンは街の外で仕事になるからブロンズの時に街の中でまず体を作れ」みたいなことを書いておくといいかもしれません
ただ絶対来るとは言えませんが受けてくれる人はいると思いますよ」
「少し冒険者を挑発してるのか、大胆だな」
「畑仕事の大変さは知っていますし、町の食料の供給源ですからもっと畑を大きくして欲しいので提案しました、あと孤児達はいつも食料不足だと思うので、畑の手伝いは仕事も覚えるし、食べ物もらえるしで金じゃなく野菜で来てくれると思いますよ」
「お前さんは、孤児から農家を増やすつもりか」
「そうですね、俺が孤児だったからですかね、孤児を助けたいんですよ」
依頼完了の印をもらい、俺は初依頼を終わらせて冒険者ギルドに向かった
冒険者ギルドに着き次の依頼を持ってカウンターに行った
「すみません、この依頼終わらせました、あとこっちの依頼を受けます」
「はい畑仕事の手伝いの完了受理しました、酒の配達の依頼確認しました、受けられますがんばってください」
「ありがとうございます、行ってきます」
そのまま冒険者ギルドを後にした
酒蔵に行くと、酒樽が並べてあった
「依頼受けに来ました」
「おう、そこの樽20個をアーシアって宿屋に持って行ってくれ、場所は冒険者ギルドのあった道にあるからすぐ分かるぞ」
「分かりました、アーシアの宿屋ですね」
背中に樽を二個背負えるようになっている物を借りて手で二個の樽を持って、スケさんには畑仕事のとき実は森で警戒してもらっていたが、街中で変なのに絡まれないように今回は護衛を頼んでいる
アーシアの宿屋に着き
「お届けにあがりました」と声を掛けた
「はいはい、ご苦労さま、後16樽だのんだよ」
「はい、持ってきます」
その後更に4往復して20樽運び終えた時に聞いてみた
「すみません、こちらの宿空きはありますか?」
「部屋は空いてるよ、20bだよ」
「安いですね、ありがとうございます」
俺は宿は30b以下が無いと聞いていたのでびっくりしていた
「ウチ冒険者ギルドの近くでね、酒が飛ぶように売れるのさ荒くれ者は酒を飲みたがってね、代わりに宿を安く提供してるのさ」
「そんな安い宿への配達なんて運がいい」
自分で言って違和感を覚えた
「運がいい?そうか、ギルドは見習いにこの仕事をさせるためにあの金額でこの依頼出しているんですね」
「あんた気づいたのかい、大抵の見習いはここへの配達の意味を理解しないものだけどね」
「ギルドが少し上乗せしてるんですね、依頼時間の割に身入りがいいと思いました、あまり話していると、依頼料出ないかもしれないので失礼します」
と俺はソソクサと酒蔵に戻り依頼完了したので印をもらい冒険者ギルドに戻った
次の依頼は金になるのは害虫駆除だけど、害虫駆除はな~今は25bあるので宿には泊まれる食事は出ないけど、金より今日中に終わらせないと明日からもう少し稼ぎたいし討伐しないとスケさんに骨あげられないからなぁ、スケさんに骨沢山上げて強くしてあげたいし
「よし、これだ」
俺が選んだのはギルドの雑用、3時間ギルドの為に働けば終わりの依頼で報酬は10b、3時間働いて定食一食分だがこれなら今日中に終わらせられるのでカウンターに行き
「この依頼お願いします」
「はい、今日既に二回連続で依頼を完了させているので、この依頼を完了させたら晴れてアイアンカードにランクアップできますね、この依頼前に成功させた方が9回以上前なので意外と難関ですよ、頑張ってくださいね」
すごい笑顔でギルドの仕事なめんなよって言われているような気がした、でも俺は司祭様の雑用やシスターたちの雑用で鍛えているので俺こそ舐めるなよって気持ちをこめて
「はい、頑張らせていただきます」
とその時は笑顔で応えたが今は少し後悔している、買取りカウンターの裏で品物を間違いなく並べてその後は必要資料探しやお茶出しなど、様々な雑用をした
「大丈夫ですか?任務失敗にしますか?
俺が疲れてるのを見て任務失敗に追い込む気か発破かけてるつもりなのかどっちかわからないな
「まだまだ大丈夫です」
疲れを隠しては居ないが元気に答えてみせた
でも、雑用の作業で色々わかった、買取りカウンターや依頼完了で出る品物を資料で調べたりすることや実物を見る機会を得れる、貴重な体験だ、漸くこの依頼を理解した俺は、夕方の忙しい時間帯で残り1時間だったがむしろ時間が短いと思いながら俺がそのうち受けるであろう依頼の証明部位や薬草等を頭に叩き込んだ
コリギスという軟膏になる薬草だ、薬草の名前もコリギスだが火傷、切り傷、虫刺されにも効くそれなりに万能な薬草らしい
ササギスという毒草もあるらしいコリギスの倍くらいの葉っぱでコリギスと同じ形をしている知っていれば間違えようが無いが知らない人が見たら間違えそうだ、今日ここで見れたことはいい経験になった、ササギスは煎じて薬缶一杯に煎じた一枚だけを入れる位毒素を薄めれば胃腸薬になる、薄い毒素が胃腸を刺激してくれるらしいが効能は定かじゃない民間療法らしい
逆に濃縮することで毒矢に使えるらしい、しかも皮も肉を悪くしないそうだ、優れものだった
獣は狩っていたから皮の剥ぎ方は知っていたが討伐部位や薬草などは知らなかったので本当に勉強になった
「依頼完了ね、どう?大変だったでしょ、よく投げ出さなかったわね」
「いい勉強になりました、3回連続で依頼終わりましたのでアイアンカードになりますよね」
敢えて勉強した内容は話さなくていいだろうと思いそのままアイアンカードにしてもらった
「はい、これがアイアンカードよ無くさないでね、それにしても久しぶりに見たわ一日でブロンズからアイアンにランクアップする子、しかも一番大変な畑仕事とギルドの仕事をして完了する子なんて本当に久々よ」
「ありがとうございます、畑はいい力仕事になりましたし、酒場への配達のおかげで良い宿を見つけられましたし、ギルドの仕事も面白かったです、アイアンカードになったので外でこの経験を活かしたいですね」
滅多に居ないのか、一日でも早くアイアンにランクアップしたいけどな、
「あまり急ぎすぎない方がいいわよ、アイアンで焦って上目指す人は大抵カッパーになる前に引退してるから、ここ10年で一番早かったのが2年前に居た5人組で同じく登録したその日にアイアンになって1週間でカッパーになってたわね、あの5人組はすごかったわ、今もあの調子なら普通はなれないけどシルバーになってるかもしれないわね、ちなみにアイアンからカッパーになるまで何年もかかる人も居れば一ヶ月くらいの人も居るわ、一週間なんてのは気にしないほうがいいわ」
気にしないわけがない、明らかに俺を見捨てた5人だとわかる、ちょうど二年前だしな、俺も1週間を目指すかそれとも一ヶ月を目指すべきか、まずは明日依頼を見てからだな
「ご忠告ありがとうございます、自分のペースで頑張りたいと思います、失礼します」
そう言って宿に帰ることにした
宿で飯を食べて7b払って部屋の鍵をもらい休むことにした
今日の稼ぎは
収入
買取
ギーガルの毛皮30c
ギーガルの肉 12c
ガーガルの毛皮15c
ガーガルの肉 4c
狼の毛皮 7c
狼の肉 20b
依頼報酬
畑仕事手伝い 10b
酒の配達 15b
ギルドの手伝い10b
支出
宿代 -20b
夕食代 -7b
合計 68c28b
村から出る準備で持ってた金は全部使ったのでこれが全財産だ
冒険者生活はまだまだ始まったばかり、金もない実力も無い
でも俺の仲間のスケさんはかなり強い
ランクアップのためにもスケさんにはいい装備が欲しいな
読んでいただきありがとうございます