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第六話 今日のところは

さてと……

気を取り直して、少し大きな声を上げてみる。

「これで、君達のパワーの元は頂いた!」

2つのクリスタルを見せ付けると、亜希子は私を睨み付けながら言う。

「私達を、どうするつもり?!」

そんな亜希子に、私はなだめるような微笑みを浮かべて答えた。

「まぁ、そう焦るな。別に、君達をどうこうしようと言う気は無い。まずは話をしようじゃないか」

「話ですって?」

何か言いたげに激しく疑った表情で私を睨みつけているが、それを放置するように続けてみる。

「そうだ。では、さっそく提案だ。我々の組織は、世界征服計画を中止する。無駄な戦いは、今日を限りに辞めようではないか」

その言葉に、目をパチクリとした。

「はぁ? バッカじゃないの? 誰がそんな話を信じるのよ!」

そんな答えに、おもわず笑ってしまった。

「バカとは言ってくれるな~。だが現状で、君が私に勝てる術は無いんじゃないか?」

「それは……」

言葉に詰まる亜希子に続ける。

「良く考えてごらん? 私からすれば、君達をやっつけるのにコレほど絶好な機会は他に無いんだよ? でも私は、君達に危害を加えて無いだろ?」

その言葉に黙って頷いている。

「だろ? だから私達が戦う必要なんて無いと言っているんだよ。さぁ、今日のところはおとなしく帰ってくれたまえ。お友達は隣の部屋に居るからな。ささっ、出口はあちらだ」

「あら、そう……って素直に帰れるわけないでしょ!」

ムキになる亜希子に、私は首を傾げながら問いかけた。

「ん? なんで?」

すると、また鋭い視線を投げてくる。

「まずは、そのクリスタルを返しなさいよ!」

私は手元を確認した。

「ん? この変身グッズの事か?」

「変身グッズじゃないわよ! グリーディアライドクリスタルよ!」

「グリ? また面倒な名前だな~。まぁ何でも良いが、コレを返したら速攻で変身して私を攻撃して来るつもりなんじゃないのか?」

「うっ……」

言葉に詰まっている亜希子に続ける。

「そんな状況で、コレを返せる訳が無いだろう?」

「だからって、このままじゃ帰れないわ!」

私は、ふと腕時計を確認しながら言った。

「そうか? でも、ボチボチと塾の時間が近づいていると思うんだが?」

「え? マジで! ヤバ……」

「まぁ続きは明日だ。これは大事に預かっておくから安心したまえ」

「じゃ、また明日……って無理~! 帰れないわよ!」

両手を握って上下に振りながら訴えてくる亜希子に、私は呆れた笑みを浮かべる。

「まったく頑固だな~。ならばコレを返したら、私の言葉を信用してくれるのか?」

すると、しばらくの間が空いた。


「し……信じるわよ!」

「こらこら、今の微妙な間は何だよ……ちなみにコレを返すとなれば、私からすれば相当のリスクを伴うのは理解できるよな?」

それに亜希子が神妙に頷きながら答える。

「えぇ、それは解るわ。攻撃は……しないわよ。私は美少女戦士、約束は守るわ!」

「うわっ! 自分で美少女とか言っちゃってるよ、この子……」

「なによっ! ほっといてよっ!」

何やら、メッチャ恥ずかしそうにしている。

「まぁ、それはイイとしてだ……約束を守ってくれるのならば、私も君を信用してコレを返してあげよう。お互い信頼を裏切るような行為は避けようじゃないか。それで良いかな?」

その言葉に、真面目な表情で頷いた。


私は笑みを浮かべながら、亜希子に歩み寄って二つのクリスタルを差し出す。

するとそれを黙って受け取ったので、私はポケットから鍵を取り出して続ける。

「あとコレが手錠の鍵、外してあげてね」

それも素直に受け取ると、しばらくの間を置いて私を睨みつけるように見た。

「それじゃ、明日また来るからね! 首を長くして待ってなさいよ!」

「は~い。勉強、頑張ってね~」

私は手を振って、走り出す亜希子を見送った。


今、私はマジックミラー越しに手錠を外すのを見届けている。

その光景に笑みを浮かべながら部屋の扉から顔を出すように右の方を見ていると、二人は威勢良く隣の部屋から出てきて倉庫の出口へ向かって走って行った。

まぁ塾の時間が迫ってるからな~、きっと遅刻したら怒られるんだろうな~……


その時、廃材の影から出て来たエビキラーは走って行く二人を横目に見ながら不安そうに聞いてくる。

「あの……これで宜しかったので?」

「あぁ、問題は無いさ。それに、これで二人が我々を攻撃する理由が無くなっただろ? 明日も、このまま和平交渉を進めるだけさ」

「はぁ……」

何か納得がいっていないようだが、私はエビキラーに質問してみる。

「ところで一つ聞きたいんだが、君達の仲間で勝手に世界征服計画を進めようとしそうな反乱分子は居るか?」

すると神妙な表情で答えた。

「えぇ……少なからず……」

私は、それに頷きながら言った。

「では、まずはソイツ等を何とかしよう。あの二人に裏切られたと思われると、非常に厄介だからな」



















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