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第四話 作戦開始

そして次の日……


私はエビキラーが用意してくれた、古い倉庫の一室で待っていた。

さすがに使われていない倉庫だけあって、天井に蜘蛛の巣とかが一杯ある。

そしてコレと言って何も置いていないので、異様なくらいに殺風景だ。

微妙に広い空間なだけに、待っているだけでも退屈してしまう。


まぁ、いずれにしても今回の作戦はエビキラーの行動に掛かっている。

とにかく私が言った通りに動いてくれれば、上手く誘い出せるはずだ。


ヒロインは二人。

資料でシッカリと確認した。

写真も沢山あったので、すでに見間違える事なんてありえないくらいに覚えてしまった。

一人は気の強そうなタイプ。肩あたりで揃えた茶髪で、大きな目が印象的な戸賀亜希子トガ・アキコ

もう一人は真面目そうな感じで、ツインテールが印象的な可愛らしい雰囲気の井倉佐希子イクラ・サキコ

どちらも中学生なのだが、何故か二人とも妙に大人びた雰囲気が漂っている。

いつも命がけで戦っているからだろうか?


まず偽情報で誘うなら、真面目そうなツインテールの井倉佐希子からだ。

一手目として、彼女の家にある郵便受けに手紙を投函しておく。

それを素直に読んでくれれば、有無も言わさず慌ててココに向かって来るはずだ。

いや……

実は、この作戦……確かに隙はある。いや、普通に考えれば超隙だらけだ。

何を隠そう、もしお互いに携帯で連絡を取られてしまった時点でアッサリ終了なのだ。

しかし資料によれば、佐希子は極めて真っ直ぐな性格。

と言うより……疑う事を知らないと言った方が的確かもしれない。

今回は、その素直な性格を利用させてもらうのが目的だ。

この資料の情報通りならば、確実に成功すると言う答えが導き出せる。


いずれにしてもこれで上手く行かなければ、基本的に詐欺的な作戦は不可能と言う事でもある。

実際の所は……私も然程、期待していないのが本音だったりするのだが……

何しろ今回の場合は、仕掛けに投じる時間が少な過ぎるのが大問題なのだ。

万が一にでもこれで上手く行ったならば、それこそ見っけモンと言った所である。

実のところ、どれだけエビキラーの資料が当てになるのか私にはわからない。

だからと言って、それを小マメにチェックしている暇なんて無い。

つまりその真価を見出すには、もし失敗としてもやってみるだけの価値は十分にある。

ちょっとエビキラーには悪いが、この資料のテストも兼ねているのが実情なのだ。


まぁ普通に考えればそもそも無理な作戦だとは思うが、もし上手く行ったとして考えてみよう。

まんまとやって来た井倉佐希子と私が話している間に、もう一人の戸賀亜希子に携帯メールを送る。

それを見れば、亜希子もココへ向かってくるのは確実。

そのまま別の部屋へ誘導できたのならば、もう完璧だ。

そこまで行けたとするならある意味どんだけアホなんだと言う突っ込みもあるが、どう転がるのかチョット楽しみでもあったりするのだ。


あとはイレギュラーが発生しない事を祈るだけである。

さて……時間的には、そろそろ一人目が来るはずなんだが……



やがて部屋の扉が開くと、そこには妙に派手な衣装を着た女の子が居た。

これは、井倉佐希子の変身した姿だろう。

いや~、それにしても驚いたね~……本当に来ちゃったよ……


「はじめまして」

私が笑顔で挨拶すると、佐希子は鋭い目付きで言った。

「亜希子は、どこっ!」

まだ来てませんが……とは言えないので、それに頷いて答える。

「まぁ、今すぐ殺したりはしないよ。それは安心してくれたまえ。だが、まずは変身を解いてくれないかな? 話はそれからだ」

「私を、どうするつもりなの?」

不安な表情を見せる佐希子に笑みを浮かべてみる。

「いや、何もしないさ。でも……その椅子には座ってもらうかな?」

すると、また鋭い視線を私に送ってきた。

「正々堂々と、戦いなさいよ!」

「いやいや、お友達の亜希子ちゃんがどうなっても良いなら戦ってもイイけど?」

私の言葉に悔しそうな表情を見せる。

「くっ……わかったわ。変身を解くわよ……」

佐希子がポーズを取ると、眩しい光が溢れる。

あまりに眩しいので視線をそらした。

やがて光が収まったので腕越しに佐希子を確認してみると、すでに普通の女の子に戻っていた。

そして、その手にはキラキラ光る物体がある。

情報では、あれが変身する為の物であるはずだ。

「それを渡してもらおうかな?」

「なっ! そんな事……」

目を丸くして驚く佐希子に、私は続ける。

「あれ? 亜希子ちゃんを見捨てちゃうの?」

「そ……そんな……わかったわ」

不思議なくらい素直に、クリスタル手渡してきた。

私は、それと交換するように手錠を渡す。

「さてと……では、これを後ろ手に付けてもらえるかな?」

「こんな事して、いったい何をしようと言うの!」

激しく不安そうな視線で見てくるので、私は笑みを浮かべて答える。

「いや、何もしないから安心してね」

「出来るわけ無いじゃない!」

こちらを睨みつけてくるので、私は大きく溜め息を付きながら言った。

「そうか~……でもね~、私には切り札があるんだよね~? できれば、素直に言う事を聞いて欲しいんだけどな~?」

「くっ……わかったわ」

そのまま佐希子は、悔しそうにしながらも素直に自分から後ろ手に手錠をはめた。

さて、これで第一段階終了だ。

「それじゃ、そのままそこに座って待っててね」

私が部屋を出て行こうとすると、佐希子は叫ぶ。

「どこへ行こうって言うのよ!」

「いや、私も色々と用事があるんだよ。大人しく待っててくれないと困る事になるのは君だよ?」

「くっ……」

佐希子はそのまま黙って下を向いてしまった。









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