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第三話 エビキラー現る

首領に案内されるまま隣の部屋に入ってみると、はいっ! やっぱり居ました、エビ……

そして首領が、そこに手の平を差し向けるようにしながら私に言った。

「こちらがエビキラーです」

いや、その説明要らないからっ!

まぁ、イイか……

ひとまず話しかけてみる。

「あの資料を調べたのは、君だと聞いたんだけど?」

私の問いに、エビキラーはこちらを向いて語りかけてきた。

「シャー……シャー」

「いや、言葉になってないし! せめて人型になってくれないか?」

するとエビキラーは丸まるようなポーズを取る。

何やら微妙に眩しげな光が辺りを包んだので、それに少し目をそむけた。

やがてその光が弾けると、そこにはOLのようなグレー系の地味なスーツを着た真面目そうな女性が現れていた。

エビって女だったんだ……いや、この場合メス?


エビキラーは軽く息を付くと、私に向き直った。

「これは失礼致しました、つい何時ものクセで……」

「どんなクセだよ! それより、隣の部屋にある資料の事なんだけど」

私がその方向を指差すと、エビキラーは頷く。

「はい、調査は全て私が担当しております」

「ほう、それは凄いね。色々と話を聞かせて欲しいんだけど、イイかな?」

「はい、なんなりと」

そのまま部屋を出て行くエビキラーに付いて行くと、さっきの部屋に戻るつもりらしい。

その時、首領が何かを思いだしたように言った。

「あっ! では私はこれにて失礼致しますが、後は宜しくお願い致します」

私が素直に頷くと、首領は紳士的な会釈を交わしてから反対方向へ歩いて行った。



またさっきの部屋の戻ると、エビキラーは数冊のファイルを棚から取り出して長いテーブルの上に置いた。

そして壁際にあった折り畳みのパイプ椅子をガシャガシャ言わせながら2つ広げて置く。

「では、どうぞ」

その椅子に促されたので、私は素直に座った。



ファイルを広げながら淡々と語るエビキラーの話を聞いていると、ヒロインの特徴や攻撃技など情報が色々と入り乱れていて微妙にまとまりが感じられない。

しかし私は戦うつもりなど毛頭無いので、その辺りはさほど重要ではない。

試しに聞いてみた。

「ところで、ヒロイン達の次の行動予測なんて付いていたりするのかい?」

それにエビキラーは神妙な表情で頷いた。



エビキラーが掴んできた情報によれば、どうやら二人のヒロインは近いうちに最終決戦を挑みに来る可能性が高いと言う。

それは非常にマズイ……

もしここで攻め込まれたりしたら、私まで巻き添えを食らってしまうではないか!

他の組織の動きも気になるところだが、まずはそちらが優先事項だ。


まぁここは『私は、女の子を相手に戦いたくは無い!』なんて偉そうに言ってみたい所ではあるのだが、実際の所は全く勝つ自信が無いだけだったりする……

なんてったって、実戦経験ゼロっすからねっ!

自信の無さは、半端じゃないっすよ!

命は大切にしよう……

ひとまずは、あまりこの話題には触れないようにするのが得策だ。


しかし計画を立てると言っても、すでにそれほど時間を掛けていられないだろう。

では、この際なるべくシンプルな計画にした方が良い。

私は、ヒロインのファイルを捲りながら考えを巡らせてみる。

シンプルかつ効果的な方法ね~……

う~ん……やはり、ここはアレで行くしかないか……


基本的には二人のヒロインに、それぞれ偽の情報を与えて誘き寄せるのが妥当だ。

そして二人を、何とかして引き離す。

そこだけは確実に押さえるべきだろう。

まず、全ての話はそれからだ。

まぁ簡単に言えば二人を一緒に相手なんて絶対したく無いと言うのが本音なのだが、そこは黙っていても問題無いだろう……

私はエビキラーに言った。

「ちょっと用意して欲しい場所があるんだが、イイかな?」



















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