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ヒスティマ Ⅲ  作者: 長谷川 レン
第一章 何気ない日常
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ダークマ○○



「とりあえずリク君。着替えに行きましょう?」

「そうですね」


 ボクは三人を置いて、ソウナと二階に上がる。上がったところでボクは右に、ソウナは左に曲がる。

 ボクの部屋は一番隅にあるのでわかりやすい。扉の前に名札もついている。

 中に入ると、見慣れた自分の部屋。大きな物を言えばベッド、クローゼット、タンス、勉強机と本棚があるだけのシンプルな部屋だ。

 とりあえずクローゼットから服を取り出してタンスからズボンを取りだした。

 それから扉の鍵をかけて、カーテンを閉める。


 なぜか? 覗いてくる人がたまに居るのだ。

 ボクのを見てどうするのだろうかと思うが、今は指輪を付けているので女になってるのだ。ソウナから絶対にカーテンも閉めろと言われている。

 それから服をすべて脱いでから男物の服を着ていく。胸が圧迫される感覚が少なからずくる。

 それを感じるとボクは思い出したように指輪を外した。

 前も言ったかもしれないが、この指輪は性別が転換される魔法がかけられており、ボクが女になる事になった原因だ。これが無ければボクは女になる事など無かったのだが……。


(まぁ、いまさらだよね……)


 もうそのことは諦めた。正直、そんなことよりも今は女になる事に抵抗が無くなってきた事に怖くなってきた。

 桜花魔法学校には女で行かなければいけないので仕方ないと言えば仕方ないのだが……真陽の提案も断ってしまったし……。

 コンコン……と控えめなノックがすると、先ほど別れたソウナの声がした。


「もう着替え終わったかしら?」

「はい。ちょっと待ってください」


 脱いだ制服はハンガーにかけておいて自分はカーテンを開けて扉のカギを開ける。そして扉を開けるとソウナの顔が見れた。

 服は制服から着替えてラフな格好になっている。

 二人で階段を下りてリビングに入ると、テーブルには統一性のまったくない品の数々。すべて夕食のごはんなのだが……。


「あの……どうして刺身とからあげと天ぷらがあるんですか?」

「ん~。気分ね♪」


 にぱっと笑顔にして元気よく答えてくれる母さん。その姿は誰がどう見ても小学生そのものだ。


「いくらなんでもレパートリーが多すぎね……」

「私まで……いいのか? リク先輩」

「大丈夫です。どうせ全部は食べられないでしょうから……」


 まずこの量を四人では無理だ。カレンには食べてもらった方がこちらとしても嬉しい。

 次にボクは一つの品に目を止めて訊いてみる。何やら見慣れない食材を使っているような気がするのだが……。


「あの……これ、なんですか?」

「あぁ、それ? ヒスティマで採れるシオダケを使ったスパゲッティよ♪」

「シオダケ? 確かあれは塩分が多すぎて食べられないって聞いた事があるのだけど……」

「そういえばそうだな。海で採れるらしいが」


 ソウナの呟き頷くカレン。ボクは目を母さんに向ける。


「大丈夫よ♪ 塩分の抜き方を知ってるし、私の故郷でもよく食べてたわ♪」


 母さんの故郷というところは一体どんな所なのだろうかと思いながらボクは最もツッコまなければいけない物に目を向けた。


「……この黒い物体は……」


 物体というよりもふりかけのようになっているが、黒い靄が出ているような気がする……。

 しかもそれが目に見えてわかるのだからどうしても訊いておかなければいけなかった。

 すると母さんは「あぁ、それね♪」と口にした後、面白がるように言った。


「ダークマ――」

「それ以上はいいです!! ってか食べれるんですか!?」

「ん~。食べられないことは無いかなぁ♪」

「それって何かあるんじゃないんですか!?」

「ちょこぉっと黒い斑点が――」

「危ないじゃないですか!! どうしてそんな物出すんですか!?」

「ふりかけにして食べると口の中がはじけて美味しいのよ~♪」

「はじけて!? それってそのまんまはじけるんじゃないんですか!?」

「まぁその後に食べる物は大体味がしないのよね~♪」

「それって舌の細胞が死んでいるっていうことですよね!?」

「そうとも言うわね~♪」

「『そうとも言うわね~♪』じゃないですよ!!」


 ボクが母さんの台詞を言いながら怒る。

 すると、すでにテーブルについているソウナとユウ、カレンが顔を合わせて話していた。


「今のリク君のモノマネ、すごく似てたわ……」

「そりゃあ、お兄ちゃんだもん」

「親子……ということだな」


 その考えはどうもおかしいと思うのだが……。

 軽く母さんのモノマネをしただけなのに本当に似ていたのだろうか……?

 二つの疑問が一度に浮かんできたがとりあえず無視をした。


「とにかく、これは処分してください。食べちゃいけない物ですから」

「ぶ~」


 頬を膨らませながら楽しそうにする母さんに怒る気力も無くなってくる。母さんはやっとの事で素直に黒い物体を(危険物の)ゴミ箱に捨てると、イスに座った。ボクもそれにならってイスに座り、手を合わせる。


「それじゃあ、いただきます♪」

「「「「いただきます」」」」


 やっと食べれる……。そう思いながらボクは恐る恐る母さんの故郷の料理だというシオダケのスパゲッティから食べ始めたのだった。

 ほどよい塩加減でとても食べやすいものであった。



何処から取って来たの!?


カナ「何を?」


黒い物体だよ!!


カナ「ちょこぉっとコネを使えば簡単よ♪」




誤字、脱字、修正点があれば指摘を。

感想や質問も待ってます。

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