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ヒスティマ Ⅲ  作者: 長谷川 レン
第五章 魔石争奪戦
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卒業生次席



「今やっと動き始めたかぁ」

「まぁいいんじゃないかしら♪ 別に人の行動についてまで厳しくしては無いでしょう?」


 確かに、どう動いても魔石争奪戦には関係ない。むしろ敵の数が減れば好都合だろう。


「……あの問題児。【情報師】のアキは今回の趣旨、絶対にわかってるねぇ。頭の回転の速さと察しがいい事は評価に値するねぇ」

「あ、この子可愛い♪ ロピアルズに招待しようかしら?」


 可愛いかどうかで決めるのはどうかと思う。やはりカナの頭の中身はよくわからない。扱い方はなんとなくわかるが。


「それより真陽ちゃん♪ 正門に置いてある荷物、何かわかる?」

「正門?」


 カナに言われて、私は自分の小モニターを正門の方に向けた。すると門の外に黒いカバンが置かれてあった。


「なんだぃ、あれは……」


 自分が置いた覚えは無い。だからと言って他の先生があのカバンを置いた? それなら自分の所に連絡が来るはずだ。


「……調べてみた方がいいねぇ」

「なら、私が行くわ♪ ここでジッとしてるのも嫌だもの♪」


 そう言ってカナが立ち上がる。


「頼むよぉ。くれぐれも気をつけてねぇ」


 気をつけなくてもカナならば大丈夫だと思われるが。


「そうね。ティマちゃん。クロちゃん。行くわよ♪」


 そう言うと、カナが〈テレポート・空〉を使って移動した。すると目の前にある小モニターにカナの姿が映る。カメラが見えているのか、こちらに手を振っている。


『……これ、何かしら……。悪魔の力を感じる……』


 頭の中に声が聞こえる。〈テレパシー〉だろう。カナなら簡単に使える魔法だ。


「!? あく――ッ」


 つい悪魔の事を言いそうになり、私は口を紡ぐ。声が大きかったので知らない生徒にまで訊かれそうだった。

 ルーガにも教えた方がいいか……。


「ロピアルズの方にはどうするんだぃ?」


 小声でそう言うと、真剣に考えているカナがこちらの見て……。


『教えないわ♪』

「教えないのかぃ!」


 つい大声になってしまったので数名の生徒がこちらを向いている。


「あぁ、気にしなくてもいいよぉ。モニターを見てなぁ」


 そう言って、何とかこちらを見ずにモニターをまた見始めた生徒達。そういえば先ほどまではリクが寝ていたのでカナが操作した大モニターを凝視していた。カメラまで取り出していた人もあった。


『もう♪ 大きな声出しちゃって♪』

「カナちゃんが言わせるんだよぉ!?」


 まぁそれはいいとして。


「大丈夫なのかぃ?」

『ええ♪ もう消しちゃったわ♪ 異次元ポ○ットの中に入れて中で開けてみたところ出てきたのは低級悪魔♪ 簡単ね♪』


 指でプチッと潰すようにジャスチャーするカナ。

 確かに低級悪魔程度だったらカナには敵にすらならないだろう。

 それにしても、どうしてそんな物が……。


「何か、ありそうだねぇ」


 ここの視聴覚室には敗れた生徒達と卒業生だけでなく、来賓の方々もいる。

 私は、その来賓の方へと視線をやった。

 この中に、もしあのカバンを置いた人がいるならば……。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



「これで五十個目っと」


 校舎内で、今倒したチームから魔石を奪う。すると、敗れたチームが転送されていき、目の前から消えていく。

 パネルを確認すると、緑色の点滅までもう少しだ。三十分ごとにみているがまったく移動していない。


「ここだな」


 扉の上に表示されている教室の名前は第六闘技場。


「少しは楽しませてくれンだろうな」


 そう呟きながら俺は思いっきり扉を開けた。

 中には何もない開けた部屋。一見すると闘技場というよりも訓練場だ。

 その中で、今開けた扉と丁度正反対の所に一人、うずくまっている人がいた。真陽の紹介の中であった暗い奴だ。顔がほとんど前髪で隠れているので見えない。


「……ひ、人が来た……。な、なんか怖そうだよ……」


 ブツブツとつぶやいているので何を話しているかさっぱりだが……。


「暗い奴だな……お前。名前なんつったっけ?」

「あ、暗……。【暗黙】の……ヤミ……」


 声が超訊き取り辛いが何とかい超えた。白夜よりも声小さいんじゃないか?

 そう考えているとヤミが足を震わせながら立ち上がる。

 全体を見てみると病的に白い肌に頭に巻かれた包帯。前髪は目下よりも伸びていて、顔は口しか見えない。髪はぼさぼさにセミロングに伸びていた。服はこれまた暗さを強調しているように漆黒のワンピースを来ていた。


「ってか女だったのかよ……」

「ご、ごめんなさい……。す、すみません……。ゆ、許して……」


 震えながら頭を何度も下げるヤミ。

 別に怒ったつもりは無いのだが……。


「あぁ。なんかめんどくさい奴だな」

「ご、ごめんなさい……。わ、私めんどくさいですよね……。す、すみません……」


 声が震えている。ここまでされているとこっちが悪い見たく見える。まだ何もしていないのに。


「あぁ、んじゃぁさ。魔石渡してくんねぇか? お前、ここに居ても嫌なだけじゃないのか?」


 魔石なんかよりも、ヤミがここに居る方が心配だった。


「で、でも……。ま、真陽先生が……。わ、渡しちゃダメだって……。ご、ごめんなさい……」


 はぁ、とため息つきながら頭をかく。


「一体どうしろつぅンだよ……」


 こちらも別にここまで魔石が集まれば後はゆっくり集めればいいのだが……このままヤミも捨て置く事も出来ない。


「あ、あの……。た、戦ってなら……。う、奪うならそれで……。ご、ごめんなさい……。わ、私なんかがこんな事言っちゃダメですよね……」


 気弱も気弱。どこまで謝ればいいんだか……。


「ンなこと言っても、お前戦えんのか?」

「だ、大丈夫です……。わ、私なんかが今日来た卒業生(・・・)次席(・・)なんです……。す、すみません……」


 なに?

 ヤミの言葉を聞いて、俺は目を細めた。


「お前今。卒業生次席っつったか?」

「ご、ごめんなさい……。い、言いました……。す、すみま――」

「いや。まったく見えねぇ」

「そ、そんな……。ま、真顔で言わなくても……。ご、ごめんなさい……。わ、私なんかがこんなこと言っちゃいけませんよね……。す、すみません……」


 謝るごとに頭を下げるヤミが卒業生次席には到底見えない。


(まさか能ある鷹は爪を隠すというやつか? にしてもこいつは本当にこんな性格っぽいし……)


 どう考えてもヤミが次席とは思えない。戦ってみればわかるかと思うがこんな性格の奴とまともに戦えるとは思えない。むしろヤミがびくびくしてすぐに終わりそうだ。


「はぁ。お前、ホントに大丈夫かよ」

「は、はい……。い、いえ、ごめんなさい……」


 そう言いながらヤミは手に武器を顕現する。顕現されたのはスナイパーライフル。ボルトアクション式のだ。

 だがボルトアクション式は普通こんな近くで使う物じゃない。反動も大きいから立って使うこともできないはず。

 それに加えてヤミの性格と体格。

 ……撃ったらヤミの体が吹き飛ぶんじゃないか?


「お前それ使えんのか?」

「つ、使えます……。す、すみません……」


 使えるとは到底思えない。


「まぁいい。寸止めでやってやるよ。〈雷迅〉」

「す、寸止めで止めてくれるんですか……? す、すみません……」


 ホントにやれんのか……?

 疑問が確信になりそうになってきた……。


誤字、脱字、修正点があれば指摘を。

感想や質問も待ってます。

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