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ヒスティマ Ⅲ  作者: 長谷川 レン
第五章 魔石争奪戦
45/77

注意。危険物です。大量生産しないでください。

最後視点が竜田になります。それまではリクです。



「よし! 順調、順調! ……疲れた?」


 アキが喜んでいるとボク達を見てそんなことを聞いてきた。


「ボクは大丈夫ですよ?」


 ボクはそう言ったのだが、他の人は歩きづめだったり、戦闘で疲れていたようだ。そこまで長い距離を歩いていないし、三回しか戦っていないし。


「二学年主席も倒したし、少し休もっか」


 アキがそう言って、グレンを倒した場所から移動する。しばらく歩いていると、木々によって視界が悪くなっている森で足を止めた。


「ここら辺にしよっか。ソウナさん。探知結界を張っておいてくれないかな?」

「わかったわ」


 ソウナは半径100mの結界を張る。

 するとアキはハナに指示を出した。


「結界よりも外から見えないように私達の回りに茂みを作って」

「わかったのね! 〈爆草〉!」


 ハナが茂みを作り、ただでさえ視界の悪い森が更に視界が悪くなった。これで周りからはボク達が見えなくなる。

 探知結界を使っているのでこちらからは入ってくればわかるが、相手からは完全にわからなくなる。


「ちなみにこの草はほんの少しでも火に触れると大爆発するのね!」


 ……と思っていたのに、どうやら入ってきた相手にとっても、ボク等にとっても危ない物だったようだ……。


「味方には効かないので大丈夫なのね!」

「えっと……。その時、相手は死にませんよね?」

「……………………大丈夫なのね!」

「その間はなんなんですか!?」

「大丈夫なのね?」

「疑問形!?」

「大丈夫なのね!?」

「ハナさんが聞き返してどうするんですか!?」

「大丈夫なのね!」

「今さらちゃんと言っても遅いですよ!?」


 今さら言われても全く信用にならない。一応始まる前に死なないように真陽がかけていたから大丈夫だとは思われるが……。

 根拠は、神様とか悪魔とかと契約している人以外で真陽の魔法を破れる人はいないと思うから。


「それじゃあ、休憩を使って三学年主席とかの話しをするね?」


 アキがその場に座る。ボク達もその場へ座り、アキの話を聞く事にした。


「まず、三学年主席の名前は【装具】のルイン。ルイン・ボルト。装備(イクウェンメント)で、桜花魔法学校で初の人なんだ。ここまではリクちゃんとソウナさん以外は知ってるよね?」

「うん~」「当たり前ですわ」「……知らない方がすごい」「イクウェンメントで学年主席はすごいのね!」


 等々。アキはそれぞれ四人から同意を得られた。

 ボクとソウナはたがいに見合い、ハテナを浮かべて首を傾げるだけだった。


「その人はねリクちゃん。ソウナさん。桜花魔法学校で初。装備型なのに学年主席になった人なんだよ。顕現する武器は双剣なんだけど、どちらも逆手に持ってるの。そして顕現する武器とは別に暗具も持ってるから懐に入る事も出来ないの」


 武器を逆手に持つ双剣使い。そのうえ暗具も使っているとなると、隙があまり出ないだろう。そしてそれをすべて使いこなせるその人もとてもすごい事だ。特に暗具を使いこなせるとなると、体中に暗器を仕込んでいるという事だから、動きが不自然になりそうだ。ボクは到底できそうにない。


「まぁでも、一番注意が必要なのはその人だとして……。ルイン先輩のチームは前衛三人の後衛四人で……」

「誰か来たわ」


 ソウナがアキの言葉を切ってそう言った。


「何人?」

「一人よ」


 小声でそうやり取りをすると、アキは自分が持ってるパネルを見る。


「これは二十分前以上の物だけど……一番近くに居る一人は……緑だね」


 アキが緑色の点滅をタッチする。すると、拡大された名前は大久保(けい)と表示された。


「確か二つ名は【計略の策士】だったような気がする……。二つ名からして、罠師っぽい。でも、戦えなければ今頃視聴覚室だよね……」


 アキがそう呟くと、ハナへと視線を向けた。


「ハナ。そいつがハナの作った茂みに入ってきたらマナに指示」

「わかったのね」


 そして、じっと待つ事数十秒……。


「入ったのね。頼むのね」

「ファイヤーバード。お願い」


 マナが近くに寄せていたファイヤーバードをハナの作った茂みへと突撃させた。

 すると、大きな爆撃音を轟かせながら連鎖して爆発する茂み。完全な爆弾だ。そんな物に囲まれていたと思うと、複雑な気持ちだ。


「うわぁ……」

「ちなみにこの草はね? 魔力をまったくと言っていいほど使わないからいくらでも使えるのね!」


 ハナが胸を張らなくていい所で胸を張った。もう二度と使わないでほしいと少しでも思ってしまった。

 そして、大久保先輩は生きているだろうかと心配になる。


「お。気絶してる! 気絶してる! 三個の魔石はっけ~ん。も~おけ」


 どうやら生きてはいるようだ。ボクはホッと息を吐いた。


「さっきの爆発でばれちゃったと思うし、湖のほとりへと向かいますか」


 アキがそう言うので、ボク達は頷いてからアキの後をついて行った。

 ここからだと湖まで二十分ぐらいはかかりそうだ。

 ボク達が初めに転送された場所は校舎からかなり離れた場所だったし、仕方ないだろう。

 そうしていると、アキが歩きながらパネルを見始めた。


「もう一時間だね。……近くに数チームいる。走ろっか」


 アキがそう言ってパネルを閉まってから走り始めた。ボク達もそれの後を追う。今戦うことは意味のない事だと言うことだろう。


「他のチームが潰し合ってくれれば楽だし」


 何やら不穏な言葉が聞こえてきたがそれも仕方ない事かも知れない。アキの予想ではこれはバトルロワイヤルだと言うことなのだから。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



「おい。何時に始めるんだよ。とりあえず所定位置についたが指示されてねぇぞ?」


 携帯を使って向こうの男に話しかける。


『開始時間は夜の九時だ。その時にやれ。いくら【自由な白銀】でも距離を超越したりはできないだろ。終わるまで声も届かないように宇宙よりも広い距離をとれ』

「マジか!? かなりきついじゃねぇか!」


 宇宙よりも広い距離を維持しろなんて言われても、正直言ってきつすぎる。そんなことをしないとあの英名を塞いで置けないだなんて……。


「ったく。仕方ねぇ。ってか俺は戦わなくていいのかよ」


 いつもなら距離で閉じ込めた後、俺も戦いに参加していた。なのに今回は監禁するだけに徹底しろだって?


『お前。これまでの失敗の数々。忘れたわけじゃないだろ?』

「は? 俺は別に失敗なんて……」


 俺がそこまで言うと、携帯の向こう側から声が聞こえた。


『お前。二度も悪魔の力を使って聖地様に負けてるじゃないか。失敗以外に何がある。今一番信用が無いのはお前だ。漆原竜田。自覚しろ』


 プツッ。ツー。ツーっと電話の切れる音がする。

 ダンッと俺は壁をぶったたく。今俺の表情を他の人が見たら『鬼』と例えるだろう。それくらいに俺の頭に血が上っていた。


「何が……負けただ。認めねぇ。認めねぇぞ俺は……」


 手を力強く握りしめ、危うく携帯を壊しそうになるも、何とか力を抜いて携帯をポケットへと入れた。


「一回目は少し油断しただけだ……。二回目はあいつがそうさせたんだ!」


 もう一度壁を殴る。今度は壁にひびが入り、壊しそうになる。

 壊れても別に問題ない。それはここが自分の家だからだ。元々俺はライコウの住人。だから自分の家がある。

 そして、所定位置についたとは、ここから桜花魔法学校までの通り道を確保した事を意味していた。


「……チッ。気に食わねぇ」


 口調がかなり荒くなる。いつもはすかした様な口調だと自分でもわかっているが、今日は口調が悪い。悪すぎる。さっきの男が言った事に俺は苛立ちを押さえきれなかった。


「まぁいい。今回は大人しくしててやるさ」


 これ以上信用がた落ちして死にたくないからな。


誤字、脱字、修正点があれば指摘を。

感想や質問も待ってます。

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