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ヒスティマ Ⅲ  作者: 長谷川 レン
第三章 世界の変異
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選手交代



「さて……やるか」


 拳を二、三度握る。雷が呼応するようにバチバチと静かに鳴る。

 レナもウィンディーネを喚んでおり、いつでも魔法を発動できる状態になっている。

 ところどころの瓦礫が邪魔だが、まぁ何とかなるだろう。

 むしろ、ある事を思いついたのでレナに耳打ちする。


「え? でも、それだとリクさんを巻き添えに……」

「その前に運べばいいだろ?」

「その間、竜田が我慢しているとは思いませんが……」


 そう言いつつ、目だけを竜田に向けると……。


「ん? 作戦終わったか?」


 意外と律儀に待っている。


「わりぃな。もうちっと待ってくれ」

「ハッ。俺じゃなかったからとっくに攻撃されてるっての。数分ぐらいなら待ってやるから早くしろよ」


 あくびをして丁度いい瓦礫に腰掛ける竜田。完全に時間稼ぎしていると考える。それでなければ竜田は不意打ちとかが嫌いで、対等が好きな性格だろう。

 俺は、様子からして攻撃してこない事を確認すると、リクの首と膝の後ろを持って、なるべく無害そうな場所へと連れていき、リクを降ろした。


「聞こえてるな? 神様。リクの方へと来た斬撃は全部守れよ」


 答えない神具に踵を返し、俺はレナとともに竜田の前に立つ。

 それを見た竜田が終わったと思ったのか、剣を肩からおろし、道路に降りてきた。


「もういいんだな?」

「あぁ。もう……いいぞ! 〈雷迅〉!」


 速度アップの魔法を唱え、俺は瓦礫の落ちている岩をジグザグに走って避け、俺は拳を振るった。


「おらぁ!」

「見え見えだよ!」


 ガキィンッ! と金属同士がぶつかったような衝撃音が響くと続けざまに攻撃する。

 竜田はその俺の拳を軽々と防ぐと、体当たりするようにして剣を振るった。俺は剣を防いで思いっきりその顔を地面にたたきつけてやろうかと思い、拳を思いっきり振り下げたが体を回転させて紙一重で避けられ、横からの回し蹴りが俺の肩をとらえる。

 雷で覆われている場所なのでそこまで痛みが無いのでバランスをすぐに直して竜田に拳を叩きつけた。

 竜田は俺を拳を目で見開きながらくらう。だが、拳が当たる寸前に振るわれる拳と反対方向に跳びのいたので威力は軽減された事に舌打ちをする。


「あっぶな。お前、あの回し蹴りを耐えんのかよ……」

「は? あんなの、何とでもねぇだろ」


 態勢を無理やり直しただけだ。


「お前と接近戦はしたくないな……〈浸透真〉」


 竜田の放出される魔力が上がった。おそらく魔法だが、俺はその魔法を知らない。リクの時にも使っていただろうが、俺が駆け付けた時にはすでに黒い魔法に覆い尽くされていた時だったからだ。この周りの様子を見る限り派手に殺りあったのだろうかと推測するが、リクがこんな傷をつけるとは思えない。だからこの建物の残骸は竜田がやったのだろう。

 すると、竜田がおもむろに剣を引く。

 あんな場所で振る気だろうか? 絶対に届かないではないか。

 そんなことを考えていると、竜田が剣を振り始め――。


「仙ちゃん!! そいつは距離を関係なく斬れますわ!!」

「は!?」


 レナの言葉を聞いた俺はすぐさま体を捻った。

 すると何かが通った感触を覚え、その後ろの建物がいとも簡単に斬れた。


「なッ……」


 その様子に驚く俺を見て、竜田が不敵に笑った。


「距離を関係なしに斬る魔法は初めてか? だけどこんな事で驚いてちゃ――」


 俺は竜田の言葉を最後まで聞かずに即効で距離を詰めて拳を叩きこんだ。


「おい待て! そこは話を聞けよ!」

「うるせぇ! 驚きはしたが俺は他にも見た事あんだよ!」


 大体がリクの魔法だが。と言う言葉が後につくが最後まで言わなかった。

 俺は、今度はなるべく距離が開かないように連続に拳を叩きつけるが、その拳に軽々と追いついてくる竜田は余程の技量の持ち主だ。

 そこまでは均衡していたが、徐々に俺に傾いてきた。


「チッ。やっぱり近距離は……〈浸透真〉」


 先ほどと同じ魔法と使ったと思うと、いつの間にか俺の目の前から竜田が消えていた。

 そして、背後に気配を感じると、すぐに身を伏せて手を地面について蹴りあげた。


「がッ」


 竜田の短い悲鳴。丁度、顎に当たったのか、俺が振り向いたときには竜田が少しよろけていた。


「おら、早く来いよ」


 今度は俺が不敵に笑い、挑発する。

 だが、竜田はそれに乗らずにまた姿が消えた。

 あれは距離を変える何らかの魔法だろう。ならば消えたのではなくどこかにいるはず……。

 辺りを見渡してみるが居る気配が無い。


「逃げたか? ンな訳ねぇよな」


 俺は竜田を探すべく、瓦礫の裏などを見始める。

 そしてある瓦礫に差し掛かった時だった。

 いきなり瓦礫が斬れ始めたので俺は素早く上体を逸らして避けると、竜田が真上にいた。


「チッ。本当は空に居やがったか……」

「ふん。そういうことだガキがぁ!」


 物凄い勢いで落ちた竜田はその勢いを利用して剣を振り下してきた。

 俺は両腕をいつもより多くの雷で覆い、その剣を受け止めた。

 だが、地面がいとも簡単に壊れ、俺は態勢を崩して地面にたたきつけられた。


「がっは……ッ」

「もう一発行くか?」


 また振り上げておろした剣を俺は横に転がって避けて地面に片腕を叩きつけて跳ねてから地面に脚をつける。


「へぇ。そうやって避けんのか」


 振り下した剣を地面から引き抜く竜田。その顔は未だに余裕そうだ。

 あんな化け物にリクは真正面から戦ってんのか……。

 俺はレナに目線だけをやると、先ほどから準備していたレナがコクリと頷いた。


「行きますわ! 〈シー・ブラスト〉!」


 レナのウィンディーネが手を地面に向けると、大量の水を呼び出した。


「あ? 水? ……ってかしょっぱいな」


 少し水を舐めた竜田がそういう。

 それもそうだ。レナが呼び出したのは海水。普通の生徒ならば流されそうなほどの魔法だが、竜田は平然と立っていた。

 平然と立っていられるならばこの魔法でのダメージは無いだろう。


「こんなもんを出すくらいならお得意様の水の槍でも出したらどうだ?」


 竜田がそう言うが、確かにそちらの方がダメージは高いだろう。だが、俺が狙ってるのはそれじゃない。

 俺は残っている魔力の二割ほどを俺の右手に溜める。


「仙ちゃん! 大丈夫ですわ!」


 丁度レナが位置についたようだ。そう。瓦礫の上に。




 ――丁度海水がつかないような所に。




「海水って電気通しやすいんだよな!!」

「は? てめ、まさか――」

「〈雷剛拳〉!」


 俺は、拳を足元に広がった海水へと叩きつけた。


誤字、脱字、修正点があれば指摘を。

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