表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒスティマ Ⅲ  作者: 長谷川 レン
第三章 世界の変異
20/77

ハナの魔法



 ボク達は、チームを決めると、それぞれの人のポジションをアキがリーダーとなり決めた。

 なぜアキがリーダーなのかは、本人がやりたがっていたし別にいいだろう。

 ちなみに、戦い方は白夜とボクが前衛で敵をくい止め、マナとレナが後方から魔法で攻撃。ソウナが疲労した前衛の回復やグループ全員の補助魔法をする。そして、リーダーであるアキは敵の行動の邪魔をする状態異常の魔法が得意だという事で、ボク達の支援をしてもらう事になった。

 最後にハナだが……。正直、ボクはハナの魔法がどんなものかを知らなかった。

 アキはハナを戦闘には参加させないと言っていた。その代わり、トラップを作るのに専念してほしいとのことだった。


「ハナさんってトラップ魔法が得意だったんですね」

「そうなのね。でも真陽先生の結界の中じゃないと使えないのが残念なのね……。はぁ。どうしてトラップ魔法が使えなくなっちゃったのね……」


 ハナが残念だと肩を落とした。

 でも、それを思っているのはハナだけでは無いのだろう。

 極端な発想だが、トラップ魔法だけを使う人にとっては絶望ものだろう。


「じゃあ、ハナさんってあまり戦えないんですか……」

「そ、そんなことは無いのね! ただ、私の得意な属性はトラップ魔法が一番使いやすいからなのね!」


 ハナがそう言うので、ボクはどういう魔法なのかを訊いてみる事にした。


「ハナさんの得意な属性って?」


 すると、ハナは決まっているのね! とでも言いたそうな顔で得意げにする。





「私の得意な属性は華属性なのね! 名前がハナなだけに、なのね!」




「「「「…………」」」」





 ひゅぅぅぅぅぅぅ…………。






 一陣の風が吹いた。







 その沈黙はどれだけ続いただろう。

 初めに沈黙を破ったのはマナだった。


「確か、華属性はトラップ魔法がとっても使いやすいんだよ~。他には、花を育てたりとかする時はこの属性を覚えていると花の声を聞いたりできて育てやすいんだって~」


 しかも、先ほどのハナのを完全に無視してだった。


「そうね。でも、華属性って土属性の変異魔法よね?」


 マナに続いてソウナがハナを無視した。


「そうなのね……。華属性は土系統の属性なのね……。でも、土属性とかと違って強度は無かったり火系統と氷系統の属性には弱いのね……。その代わりトラップ魔法は気づく事がほとんど出来なかったり、土系統の中で華属性だけは風系統に弱くないのね……。そして、水系統は吸収する事が出来て、一時的に華属性を強化する事が出来るのね……」


 ハナは落ち込みながらも、長々と説明してくれた事でボクは華属性の事が良くわかった。

 ボクは水系統も火系統も使わないが、氷系統だけは使うから、とても貴重な情報となった。これで華属性を持つ敵と会ってもそれなりに対処できそうだ。


「よし! それじゃあ敵と戦うために連繋の練習をしよ!」


 アキが張り切ってそう言うが……。


「あの。敵がいないのにどうやって練習するんですか?」


 連繋練習をしようとしても敵か何かいなければ、やりずらい。

 イメージでやろうにも、全員が同じイメージをする筈が無いのだ。

 するとその質問が初めから来るとわかってたようで、アキが白夜を見た。


「白夜ちゃん! いつものお願い!」

「……〈シャドー〉」


 白夜がアキの指示を聞くと、早々に〈シャドー〉を発動。そして周りに黒い影、白夜の使う〈シャドー〉が現れた。

 そして、ボクはようやく敵役は誰がやるのか、と言う事がわかった。

 影を敵役として連繋の練習をするのだろう。

 だけど、〈シャドー〉をそのように使ってもいいのだろうかと考えるが、いまさらだろう。

 最近では白夜は〈シャドー〉の事を、下僕と呼んで居てとてもかわいそうだと考える。


「それじゃあ、始めましょうか!」


 アキの合図により、ボク達は連携の練習を始めた……。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



 午後初めの授業が終わった。

 〈シャドー〉相手の練習は、実を言うととってもいい練習だと思う。

 ボク達は、一回集合場所へと集まり、それからまた各自いた場所へとも戻りにいく。

 まだ完全に魔力コントロールを習得していないのだ。

 その日最後の授業は、それぞれの魔法練習へと戻って行った。

 ボクも、頭の中で教えてくれるルナの指示を聞きながら、空白魔法の練習を始めた。

 こうして、その日の学校は終了し、学校が終わって、家へとソウナ、マナ、レナと帰って行く途中。


「はぁ……」


 ため息が漏れる。

 午後の授業が終わってからずっとこの調子だ。


「どうかしたんですの? リクさん」


 レナがボクを心配しながらボクを見てくる。レナの向こう側ではソウナとマナが楽しく会話している。


「ううん。ただ、魔力コントロールがあいかわらずダメだなぁって」


 空白魔法がいまだに成功した事が無い。

 この調子で残り五日ぐらいで覚える事が出来るだろうか……。

 とっても厳しい物だと思われる。


「魔力操作……ですの? そういえば、今日のリクさんは先ほど言っていたように調子が悪いですわ。何かあったんですの?」

「えっと、それが……」


 そして口にしかけてから、ボクは心の奥にしまった。それは、まだレナは空白魔法を知らないからだ。


「何か、言えない事ですの?」

「えっと……すみません……」


 ボクがそう謝ると、レナは首を振った。


「大丈夫ですわ。誰しも言える事と言えない事がありますわ。それと同じですの」


 レナがそう言ってくれたのでボクはちょっと嬉しくなる。

 でも、魔石争奪戦でチームとなる以上、知っていてくれる方がいいのだろうか……。

 いや、ダメだ。普段は、空白魔法はなるべく切り札に取っておきたい。

 魔石争奪戦では、空白魔法が使えなければ身体強化魔法だけで戦うつもりだ。

 それができなくても、チーム戦なのでそこまで押されることは無いだろう。相手は生徒なのだ。油断せずに丁寧に戦えば必ず勝てるはずだと考えて。


誤字、脱字、修正点があれば指摘を。

感想や質問も待ってます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ