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ヒスティマ Ⅲ  作者: 長谷川 レン
第二章 ルクセル家
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ルクセルの家

これからは更新がこのくらいの時間帯になりそうです……。



「まぁ。そんな魔法が……。神様といい、未知の魔法といい、リクさんの周りではたくさんの例外がありますわね」

「そうです……か?」

「えぇ。リクさんはトラブルを取り寄せる力でもあるのでしょうか?」


 まるでボクがトラブルを呼んでいるとでも言いたそうなレナ。

 ボクだって好きでトラブルを呼んでいるわけではない……。

 ただ、一番の身近なトラブルが母なのだ。そこをどうにかしない限りトラブルを取り寄せなくすることなんて無駄だろう……。母自身がトラブルメーカーなのだから。


「……リクさん。わたくし、そんなリクさんに少々聞きたい事が……」


 空気が入れ換わり、なにやら真剣な表情になったレナがボクに訊いてくる。


「訊きたい事?」


 何だろう? ……って一つしかないか。ボクが教える事が出来ることなんて。


「神様……の事ですわ」


 ほらやっぱり。でも、レナは神様で何か悩んでいるのだろうか?

 家の家宝とかに神具があるのだろうか?


「海の神様……とは御存じでしょうか?」

「海の神様と言うと……一番有名なので〝ネプチューン〟でしょうか?」


 というか、他はあんまり知らない。


「〝ネプチューン〟……ですか……」


 レナは神関係には疎いのか、〝ネプチューン〟を知らないようだ。

 海の神様と言えば真っ先に思いつくのがこれだろう。だが、もう一つの神様もいる事を忘れない。こちらを先に思いつく人がいるかもしれない。


「もう一つは〝ポセイドン〟でしょうか? どちらもほぼ同じでしょうけど」

「〝ポセイドン〟? 海の神様と言ってもいろいろといるのですわね……」


 少し肩を落とすレナ。

 確かこの二人以外にもいたような気がしたのだが……またどこかで学ばないといけないかもしれない。


「それにしても、いきなりどうしたんですか? 海の神様なんて……」

「そうですわね……。会った……と言えば信用して……くれますわね」


 言っている途中でレナはジト目になった。

 その理由はまずは放っておいて、ボクはレナの会ったという言葉に反応した。


「会ったんですか!? それってつまり契約できる状きょ――」


 とまで言った時、ある事を思い出した。

 マナの場合は少し特殊で、ソウナの場合は……まぁ例外だったとして、ボクの場合は神様と直接戦っている。

 そして、レナの場合がもし生死にかかわるような事だったら……。


「えっと、海の神様とはどんな話を?」

「そこまでは……」


 困ったような顔をするレナ。


「どこで会ったんですか?」

「夢の中ですわ」

「夢の中?」


 それは本当なのだろうか?

 夢の中で会うだなんて……。


「ですから、その神様と話した事も曖昧ですわ」

「そうですか……。それじゃあ、どの神様かはまだわからないですね……」

「それでも、リクさんが教えてくれたことは助かりますわ。それでは、わたくしはここで失礼いたしますわ」


 会釈をし、荷物を重たそうにして持って歩いて行くレナの姿を見て――パシッ。


「え……」


 ボクが荷物を持った事で、レナが少し目を丸くする。


「家はどこですか? ボクが持って行きます」


 軽々と持ち上げるようにしてボクはレナの一歩先に出て振り返った。


「そ、そんな……大丈夫ですわ! わたくしは別に持てますから!」


 そう言って取り返そうとするレナの手を軽く避ける。


「ボクがレナさんの家に興味があるから行くだけですよ。もしかして、お邪魔ですか?」

「そんなことは無いですわ! それより、リクさんも荷物をお持ちですし!」

「あぁ。別に重くないですし、買った物なんてほとんどユウのお菓子ですから大丈夫ですよ」


 何とか取り返そうとしていたレナは、とうとう諦めたのか、肩で息をしながら取り返そうとしなくなった。


「……リクさんも男なのですわね……。女の人より可愛いのですのに……」

「? 何か言いましたか?」

「い、いえ! 何でもないですわ!」


 レナは少し赤く染めた頬を見させないためにと脚の歩を早くさせてボクよりも先に歩く。

 レナには大丈夫だと言ったが、レナの荷物は存外重く、長い道のりだったら大変だと思いながらボクはレナの後を付き添うようについて行った。


 約十分ぐらい歩くと、目の前に見えたのは巨大な門。

 正直、数秒ぐらい口がふさがらなかった。


「お、大きいですね……」


 マナの時もこれぐらいあったとは思うのだが、それでもマナの家はまだ入り慣れた物があって、レナの所は違う。

 少し緊張する。


「来ましたわ」


 何が来たのかと思って門の奥を見てみると、そこには何やら黒い物が動いていた。

 まだかなり遠いからわからないのだが、それが除所に大きくなってきて、なんなのかがやっとわかった。

 車だ。しかも高級車のような。


「あれは?」

「ここから家までは少々時間がかかるので車で移動するのですわ」


 さすがお金持ち。マナと同じ様な……。

 高級車のような車が止まる。運転席から出てきた執事がまずはトランクを開けてレナとボクの荷物を入れる。執事はそれから、車のドアを開けてレナとボクを座らせると、ドアを閉めてから運転席に移動して車のアクセルを踏んだ。


「ここから車で……」

「五分ほどですわ」

(結構長いんですね……。マナちゃんの家よりも長いですよ……)


 心でそう思うが声に出して言えなかった。

 おそらく、篠桜家よりもルクセル家の方が広いのだろう。

 途中途中、噴水や彫刻など、いろいろな物があったが、やはり一番多かったのは水を使った何かであった。


「レナさんの家族ってみなさん水系統が得意なんですか?」

「えぇ。そうですわ。お母様もお父様も水系統が得意ですわ」


 だから水を使った物が多いのか……。

 それから、本当に五分ぐらいたってから家の玄関へと着いた。

 家はそれは大きく、十分迷えそうなぐらいの大きさだ。


「すごいですね……」

「ありがとうございますわ。少し大きくて、困りますが……。あんまり迷子になるようでしたら召使いに言っていただければ大丈夫ですわ」


 近くにいた執事が「お困りでしたら私たちが協力します」と言って軽く会釈をする。


「それでは、わたくしの部屋に行きましょう。あまりもてなす物はありませんが……」

「そんな! いいですよ。ボクはただ……」


 家の前までで荷物を持ってくるのはよかったのではなかったのだろうか……?

 今になってそう考えた。


「風香! 風香はいませんの?」

「はい。こちらに」


 レナが呼んだのは風香と呼ばれるメイドだった。

 礼儀正しいその少々憧れる物がある。


「後でわたくしのお気に入りの紅茶を二つ。わたくしの部屋に運んでくださる?」

「わかりました」


 短く返事をすると風香は礼をして歩いて奥の方の部屋へと入って行った。


「それでは、わたくしの部屋に行きましょうか」


 レナはボクを一瞥して、それから自分の部屋へと向かった。

 廊下が長いために、たくさんの部屋があるのかと思ったがそうではないらしい。

 扉はところどころでしかない。

 初めは応接室とか書かれた部屋があったが、それは一階にのみあった。

 二階は普通の部屋とか、仕事部屋とかあった。その中でもレナの部屋は階段からそれなりに近い所にあった。



誤字、脱字、修正点があれば指摘を。

感想や質問も待ってます。

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