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異世界も悪くない  作者: たかさん
学びと成長
4/15

1-3 東の街 イスタリア

 目が覚めると、ベッドの上に寝かされていた。


「どこだここは……。俺は一体どうしたんだ……」

「やっと目覚めたかい?」


 となりから不意に声をかけられ、身構える。

「誰だお前は。ここはどこだ。」


 むっとした顔になり、俺の両頬を引っ張りながら、目の前の人物が口を開く。

「助けてやった恩人に随分な挨拶だ……ね!」

「ぶあぁああぁあぁ!」

 頬の痛みに耐えかね、言葉にならない悲鳴をあげ、少し涙目になる。


「あんたは森に入って直ぐのところで倒れてたのさ。それをアタシが助けてやったんだよ」

「ギュッ!」

 チビもそこにはいた。

 わかった?っていうような顔を浮かべ、小さな手や足を使いペチペチしてくる。


「それよりあんた、ゴブリンにでも襲われたのかい? まぁ、倒されたあとみたいだったから、この子がやったのだろうけど……」

 そういうと、おもむろに袋を渡してきた。


「其処ら中にドロップしたものが落ちててさ、あんまりに多いから換金しちゃったんだけどね。あんたの宿代もそこから出てるからさ。納得しなよ」

 見てみると、貨幣のようなものが袋には詰まっていた。


「助けてくれたことにはお礼を言わせてもらう。ありがとう。それと、まだ名前を聞いてなかったな。」

「名前を聞くときはまず自分から言うもんさ。まぁ、そんなのアタシは気にしないけどね。アタシは【レーミア】あんたの名前は?」

「俺の名前は【京】だ。そしてそっちの竜は【チビ】、よろしくな」

「ギュッ♪」

 ウンウン。と、頷いてチビの頭を撫でるレーミア。


「ところで、あんた何処から来たんだい? 見たところ冒険者じゃなさそうだけど……」

 あれ? 俺、何処から来たんだ? 思考を巡らしてみるが何も浮かばない。

「俺は何処から来たんだ?」

 そう漏らすと、レーミアが心配そうな顔で、こちらを見つめてくる。


「あんた記憶喪失かい? まぁ、なにか怖い目にでも合って倒れてたんだから、それもあるかもしれないけど……。ギルドカードは持ってないのかい?」

「ギルドカード? なんだそれ?」

 疑問を浮かべた表情で、レーミアに尋ねる。


「はぁ……。一体どこまで記憶無くしてるんだい? ギルドカードと言えば身分証明のようなものじゃないか」

「身分証明か……。それは直ぐに発行できるのか?」

「そんなの、冒険者ギルドの受付に言って発行してもらうだけさ。記入事項を書いて、簡単な検査をして……。って、受付に聞いた方が早いね。行くよ!」

「いきなりか!? 俺起きたばっかりなんだが……」

「男ならそんな小さい事気にしてんじゃないよ! 行くよ! っと、その前に……。チビちゃん、これ付けな。」

 チビにポイッと渡されたのは首輪だった。


「街中に歩くのに、使役された魔物と、そうでないものを区分けするために付けるのさ。街に入るときはアタシが一緒だったからどうにかなったけど。本来付けなきゃいけないもんさ」

 チビは首を前に差し出している。本当に頭の良い竜だ。

「これでよし……っと。それじゃあ、冒険者ギルド行くよ!」


 宿から出て街を進んでいく。

 レーミアが言うにここは、東の街【イスタリア】と言うらしい。

 街はそこそこの規模のようだ。人や馬車が常に往来していて、活気にあふれている。


「何から何まですまんな。助かる。だから、俺の手を引っ張るのをやめてくれないか? ちゃんとついていくから」

 流石に大の大人が手を引かれて歩くわけにはいくまい。彼女でも嫁でもないんだ。

「照れちゃってるのかい? あんたが道に迷わないように引っ張ってやってるんだ。大人しくついてくる!」

 俺の言葉を無視して、どんどん前を進んでいく。お節介焼きなタイプだな、こいつ。


 そんな中を進んでいくと、辺りと比べ、一際大きな建物が見えてきた。

「ここが冒険者ギルドだよ」

 冒険者ギルドに俺たちは足を踏み入れた。

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