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異世界も悪くない  作者: たかさん
学びと成長
3/15

1-2 森を進め

 チビの案内で東へと歩む京。

 広大に広がっていた草原も終わりに近づいて来た時、森に囲まれた一本の道があった。


「なぁチビ。森抜けたら街につけるのか?」

「ギュッ!」


 肯定を含んだ頷きをするチビ。


「なんか出てきそうな雰囲気だけど、ゲームなら草原の時点で出てきててもおかしくないんだよな。」


 草原を抜ける迄の間に、敵らしい敵というのを見かけなかったのには理由があるということを京は知らない。

 チビの案内に付いていき、森を進んでいく京。


 ガサっ

 木々の間から敵の気配が! ……なんて気配なんて感じる技能もないわけだが、そこは気分だ。


「グルル……」


 よだれを垂らし、喉を鳴らしながら現れたのは、狼で牙が異常発達したかのような魔物が現れた。

 身構えるこちらをみた狼は、目にも止まらぬ速さで飛びかかってきた。


「あんな牙に噛まれたら御終いだな……。ここはよけて横っ腹に拳を入れるしかねぇ!」

「グギュ!」


 喉元まであと僅か、というところまで近づいた狼のような魔物は視界から姿を消した。正確には垂直落下した。

 

「ギュン♪」


 チビが空中で一回転して尻尾を叩きつけたのだ。

 ピクッピクッ

 狼のような魔物は動かなくなり、光となって消えた。そこには毛皮と牙が落ちていた。

 

「チビやるなぁ。」


 チビの頭を撫でてやった。


「ギュッギュッ♪」


 尻尾と翼をパタパタしながら、目を瞑り喜んでいる。可愛いやつだ。


「この落ちてるのはドロップ品、ってやつなのかな? 取敢えず回収していくか」


 そして、京の頭の中に例の画面が。


ステータス

京 24歳 人間

職業 【格闘家lv2】【調教師lv3】

装備

身体 布の服


仲間ステータス

チビ 200歳 竜

職業 【幼生ドラゴンlv20】

装備


 俺の調教師のlvがまた上がってる……。それに、チビのステータスも見れるようになってるな。

 

「――!! チビ!! お前200歳だったのか!?」


 驚いた。こんな可愛らしい竜でも竜の中では若いのだろう。それにしても200歳って……。


「ギュウ?」


 それがどうしたの?というような顔で首をかしげているチビ。


「なんか、変なとこでここが異世界っていう実感しちまったよ……」


 本来なら知らない草原に急に現れ、竜が現れたという、その時点で気づいて欲しいものである。

 一見冷静そうに見えた京は、中々鈍い人物であるらしい。


 その後、森を抜けるまで莵に角が生えてる魔物、樹に顔面がついた魔物を倒し……、主に"チビ"が、だが。俺はサボってたわけじゃない。チビが勝手にやってくれただけだ。

 そうこうして進んでいると魔物の群れが現れる。

 

「F〇に出てくるゴブリンみたいなもんか?」


 某ゲームでは、ザコキャラとして最初に出てくる奴だと思うが、数が異常だな。

 パッと見50はいるんじゃないか……。集団は各々異なった武器を持っているみたいだ。

 こん棒・短剣・長剣・短槍……、と様々だ。お前ら随分バリエーション豊富だな。


「いくらなんでも多過ぎるだろう……」

「ギュウ……」


 ため息のようなものが出てくる。考えてもしょうがないか。


「取敢えずやっちまうか」

「ギュッ♪」


 言葉を発すると同時に、弾丸の様にゴブリンの群れへと突っ込み、一番近くにいた3匹のゴブリンの顔面を拳で打ち抜く。


「ガァ!」「グェッ」「ヒギャア!」


 断末魔を上げ、吹き飛ばされたあとのゴブリンは、光となって消滅していく。次の標的を見定め、体制を整え直したところでチビが攻撃を仕掛ける。


「ギュア!」


 チビは炎を吐き出し、ゴブリンを一斉に燃やしつくす……。えっ? こっちにまで火が向かってきてないか?


「うぉっ! チビ! こっちにまで火出すなよ!」

「ギュン……。」


 戦闘中にも関わらず、チビにダメだしをしている。俺余裕たっぷりだな。

 お説教をしている間にも、ゴブリンの群れはどんどん襲いかかってくる。華麗に攻撃をよけつつお返しとばかりに拳でゴブリンの顔面を打ち抜いてゆく。気づけば、あれほど溢れるようにいたゴブリンは殲滅しきったようだ。

 光となり消えていくゴブリン達のあとには、ドロップアイテムが散乱している。


「色々落ちたな。……がっうっあぁああぁあ!」


 京は急に苦しみだし、その場に倒れる。


「ギュっ!?ギュンギュン!」


 尻尾や小さな手で京を叩き心配するチビ。

 京の身体に一体何が起きたのだろうか。


 そこへ、誰かの足音が聞こえてくる。

 チビは警戒して「ギュルル!」と、うなっているが、やってきたのはどうやら人間のようだ。


「何があったんだここは……。人が倒れているじゃないか!」


 子竜がそこには居て、一瞬こいつが……。と思うが、直ぐにその考えを捨てる。

 倒れている人間をかばうようにしている子竜は、おそらく主人を守るのに私を警戒しているのだろう。


「安心しろ。街まで運んでやる。」


 京は街まで運ばれていった。

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