1-10 今日の酒の肴は竜を連れた青年
ちょっとした格闘シーンを入れてみました。
日もすっかり沈み、京とフィリスはイスタリアに着いた。
「さて、アタイはここでお別れだ。これから野暮用があってね。チビちゃんもまたね」
「ギュイ~♪」
尻尾と手をパタパタと振っている。人間の様な、犬の様な仕草だ。お前竜だろう……。
「今日はありがとうな。おかげで魔法というものを知れた」
「いいさ。あんたも慢心しないで、もっと練習に励みなよ」
後ろ手を上げながら、フィリスは去っていった。
「さて、チビ。俺たちも宿に帰るぞ」
「ギュン♪」
宿に向かって、俺とチビは歩きだす。
「夜の街って、昼と全く雰囲気違うもんだよな」
「ギュンギュン」
ウンウン。と、チビも納得しているようだ。
「ん?何やら騒がしいな。」
酒場の傍を通っていると、何やら中から、喧嘩をしているような声が聞こえてきた。
「テメェ! 表に出やがれ!」
「上等だ!」
酒場の木の扉を勢い良く開け、二人の男が飛び出してきた。
「俺に喧嘩売ったこと後悔すんじゃねぇぞ! 俺はな! Cランク冒険者のドルフだ!」
頭の禿げた厳つい男が、ギルドカードを見せつけるようにして威嚇している。
「それがどうしたってんだ! 俺はまだ申請してねぇだけで、Cランク位の実力は持ってんだよ! 気絶する前に、こっちの名前も言っておいてやるよ。俺はガノンだ!」
スカーフェイスで長い赤い髪をオールバックにしたような男も、口では負けてない。
互いににらみ合い、今にも殴り合いそうな雰囲気だ。
酒場の中からも「ヤレヤレー!」という煽りが聞こえる。
「どこにでもありそうな喧嘩だな。俺には関係ないか」
我関せず。というように、何も気にせず歩を進め――ようとした時、後ろから人が飛んでくる。
ガノンと言った男が、禿げに殴り飛ばされ、飛んできたらしい。
それにしても、痛い。
無防備なところに、後ろから勢い良く人が飛んできたのだ。
痛くないわけがない。
「口程にもねぇ野郎だな! もうおしまいか!」
ドルフと言った男が殴り飛ばされた男に叫ぶ。
「ペッ。たった一発当てれた位でいい気になってんじゃねぇよ!」
口の中で切れた血を吐き捨て、起き上がりながら言い返している。
「おい。とばっちり食らわしておいて、こっちは無視か?」
眉間に皺を寄せ、二人を睨みつける。
「あん? そんなのも避けれねぇ奴がしゃしゃり出てくんじゃねぇよ!」
「関係ねぇやつはすっこんでな! 俺はこっちの禿げ殴り倒さなきゃなんねぇんだからよ!」
ドルフはニヤニヤ笑いながら。ガノンは顔真っ赤にしながら叫ぶ。
「そうか。謝る気は、無いらしいな」
酒場の中から野次馬がどんどん出てくる。
喧嘩している二人に賭け事でもしていたのだろう。
「俺はガノンに1000エフラ賭けてんだ!」
「俺なんてドルフに3000エフラ賭けてんだ! 今日の稼ぎ無くさせんじゃねぇぞ!」
野次馬達は、酔っ払いながら好き放題喋っている。
「いいぜ! 二人まとめてかかってきな! お前らぶっ飛ばして今日の酒代にさせてもらうからよ!」
「はん! そりゃあこっちのセリフだ! 俺の前にその禿げ頭出せなくしてやるよ! てめぇもついでにやってやるよ!」
二人が言い終わると同時に、京の姿がぶれた。
ガノンと言われていた男が、顔面を歪ませ、酒場の前においてあったタルまで殴り飛ばされる。
「まずは一人。次はお前だな」
「な……。お前! 今何しやがった!」
叫びながらドルフは殴りかかってきた。
ドルフのパンチをかがんで躱し、そのまま水面蹴りを繰り出す。
足を払われ、横から倒れていくドルフ。まだ倒れきっていない身体に、後ろ蹴りが放たれる。
勢い良く、先程ガノンが飛ばされていった場所に吹っ飛ぶ。
タルは木っ端微塵に壊れ吹き飛び、さっきまで騒いでいた野次馬達も唖然とし、事の終わりを見つめる。
「酔っ払うのはいいが、他人に迷惑をかけるな」
「ギュン!」
青年と子竜はその場を後にした。
その夜、酒場の話題を独占したのは、子竜を連れた一人の青年。
進みが遅いですね。
一日の流れがとても長いです……orz
修正と更新頑張りますので、長い目で見守って下さい。
コメントにも返信していますが、誤字修正のご指摘いただいている方。率直な感想を下さる方。ありがとうございます。




