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精霊

第三話です。  やっとバトルが来ました。キャラが多くて書ききれない・・・

「さぁて3人型には精霊(スピリット)を召還してもらいますぞ。」


と国王様は訳の分からん単語を出して来た。

 精霊(スピリット)?精霊ってあのひらひら羽で舞う小さい小人みたいな? と想像上の精霊を頭の中で出現中しているところにアリアが、


「父上、英雄(イロアス)殿はこの世界の常識も知らぬのです。しっかりとお伝えしなければ。」


 と進言した。

 そしたら、ばつが悪そうに顔を背けた王様はこう言った。


「む、そうか。すまない、うっかりしていた。それではエメラルダ、よろしく頼む。」


 ……さては国王さん、説明苦手だな。

 と、オレの疑問の視線も気づかず、エメラルダさんは説明を始めた。


「この世界の魔法は私たち1人1人が持っている『魔力』をもとにして発動、制御されています。そのためこの世界のエネルギーのもとだと考えておれば良いと思います。

 精霊(スピリット)というのは、簡単にいえばその『魔力』の膨大な塊です。」

「ってことは精霊(スピリット)っていうのは強い力をもった人外の生物ってこと?」

「はい。しかし、精霊(スピリット)は魔力の結晶であるため、知能をもったり、人の会話が出来ますが決して生物ではありません。そして、精霊(スピリット)の圧倒的な力は、魔族をも圧倒させます。生物というより、神に近いモノです。」

「そんなに強いなら、その人たちに頼んで魔族を倒したら良いんじゃないすか?」


 と照が質問する。


「いいえ。実は精霊(スピリット)には弱点があるのです。」

「弱点?」


 と凍也は眉をひそめた。


「ええ。それは自らの力を自由に行使できないことです。一部の高等魔術師が力を使役したり、ある特定の条件を満たした精霊(スピリット)ならば行使は可能ですが、それでも一部のみ。

 つまり精霊(スピリット)は力を使いたくても使えないのです。」

「はぁ!? じゃあ、どうすれば良いんだよ?」


 オレが聞くとエメラルダさんは、闇色の髪をなびかせながら、


「そこで、あなた方英雄(イロアス)の出番というわけです!!」


とまるで名探偵が犯人に向かって『犯人はお前だ!!』っていう感じでマニキュアをつけた指をビッと俺たちに突き刺してきた。

 以外とおちゃめさんなのかも、と思ってると凍也が


「なんで、俺たちの出番なんだ?」


 とめんどくさそうに聞く。態度ワリィ~。

 するとエメラルダさんはすっと姿勢を落ち着かせると颯爽と答えてみせた。


「理由は不明ですが英雄(イロアス)は特定の精霊(スピリット)を使いこなして、全ての力をその英雄(イロアス)が使えるのです。」


 なるほど。普通異世界に来たら急に強くなったり、特殊な力を使えたりする。さらにオレたちは英雄(イロアス)なんて呼ばれているのに、身体になんの変化もない。

 つまり、その精霊(スピリット)こそがオレたちにチート能力を授けてくれる秘宝ってワケだ!

 ちょっと興奮していると、照が


「どうやったら精霊(スピリット)を召還できるんですか。」


 と何気なく質問してきた。

 すると、エメラルダさんの頬が引きつった。どうやら知らないらしい。


「ええと・・・」


 と言葉を濁していると、


「あの・・・」


 とか細い声が聞こえた。思わず声の方向に顔を向けると、闇色の長髪を垂らしている物静かそうなお姉さんがいた。たしかこの人は……


「ナズナさん?」


 と照が人の思考を先取りして答えた。

 するとナズナさんがしていいのか、しちゃいけないのか分からないという風な、困惑の表情を浮かばせていた。

 すると照が優しくナズナさんの頬に手を添えて、


「大丈夫です。もし知っているなら、僕の質問に答えてくれませんか?」


などと極上のスマイルを出しながら言ってのけた。俺がチラリとナズナさんの顔を見ると案の定、しっかりと頬を桜色の染めていた。

 

 今分かった。直道 照。コイツは世の男子の敵だ。女の子にリアルでモテまくる、世界の男子の敵だ! オレは脳内にしっかりと照の人物像を刻み込んだ後、ナズナさんは優しく丁寧に話してくれた。


「まず、精霊(スピリット)の種類について説明します。大きく分けて2つに大別されて精霊(スピリット)は『自然精霊』と『人間精霊』に別れます。

 『自然精霊』はその名の通り、自然の大木や湖などからできた純粋な精霊(スピリット)です。しかしこの精霊(スピリット)は魔術師などが行使して英雄(イロアス)とはあまり契約しないそうです。

 理由は『自然精霊』は大半は一部とはいえ自らの力を使えたり、自分が生まれた場所から離れないことが多いからです。

 逆に『人間精霊』は英雄(イロアス)と契約を結ぶことが多いようです。『人間精霊』は歴史に名を残すような功績を出したり、人間の域を超えた神業を会得したりと大偉業を成し遂げた人たちが死後、精霊(スピリット)へと昇格した姿です。

 こういう類の精霊(スピリット)は大半がやり残したことややりたいことが存在するため積極的に契約するそうです。このような『人間精霊』にはさらに細かな大別がありまして・・・」


 とそこで、言葉を切りなにやらゴソゴソと捜し物をするナズナさん。

 するとそこへ手伝います、と例のモテモテ野郎が声をかけて歩いていった。

 肩をワナワナ震わせていると、ふと凍也が考え込んでいるのが目に入った。なに考えてるんだ? と声を掛けようとすると、ナズナさんがありました、とか細い声だが達成感あふれる声を出した。

 そして近くにあるテーブルに本を広げた。

 みんながのぞき込むのを見て、オレも慌てて駆け寄り内容を見てみた。


                  ~人間精霊の種類~


    ・聖域精霊・・・その精霊(スピリット)と縁が大きい場所がある場合、その場所に捕らわれる。

その聖域から離れられない代わりに人間精霊で唯一、一部の力とはいえ行使可能。契約した場合は聖域から離れられるが、精霊(スピリット)の説得が必要。


    ・宝具精霊・・・その精霊(スピリット)と縁の深い武器や持ち物などがある場合、その持ち物に入る(・・)

精霊(スピリット)の力が宿ったモノは『宝具』と呼ばれ、巨大な魔力をその武器自体が持つ。その武器そのものに触れない限り|精霊自身に会うことすらできない。


    ・浮遊精霊・・・上記の精霊に該当しない特殊な精霊(スピリット)

 遠征や侵略などで偉業を成したりした者がなることが多い。また自由に動くため、世界の移動が可能で別世界の人物がこの世界に来ていることもある。浮遊精霊は契約をした後は英雄(イロアス)自身に憑依する。

 また世界を移動した英雄(イロアス)はこの浮遊精霊に勝手に憑依されることが多い。



 ――――ってことはオレたち憑依されているワケ? それってヤバくね 

 ギモンの視線を投げ掛けると、ナズナさんは


「……大丈夫です。憑依による影響は全くありません。強いて言えば精霊との精神の会話が他人に聞こえず、第三者から見ると1人でしゃべっているようにしか見えないところでしょうか。」


 いや~、普通にヤバいよ。照でもなんかひきつってるし。でもアレ? 新たなギモンが出来たような…


「で、どうやったらその浮遊精霊が俺たちに憑いてるか分かんだ?」


 と凍也が髪を掻きながら聞いた。恐ろしい目つきに睨まれてナズナさんは肩を奮わせている。

 さながら蛇に睨まれた蛙のようだ。はっきり言って苛めているようにしか見えない。

 

 そこで救い船を出したのはアリアだった。恐いのか目が泳いでいる。


「え~っとですね、詰まるところ『逆境』なんですよ。」


 へ? 逆境?


「つまり、命の危険をさらすような逆境が必要なんです。ということでみなさんにはほんの少し、この世界の魔術師や騎士の強さを知って貰いつつ、危険をかんじて貰います。もちろん命を本当におとすことはないので大丈夫です。」


 ほかにもなんか言っていたが、聞こえんかった。こんなことをさらりと言った人がアリアだったからショックだったんだろう。

 オレはこれから降ってくる災厄に備え少しの間上をむいた。ガラスの天井に大空が青々とオレの思いを無視して輝いている。

 呼んできた仲間の人に殺されちゃったらどうしよう~。となるべくコメディアンに考えたが無駄だった。




 王宮の広場にちょっと軽くボコられに来たオレたち。

 一回見たけど、やっぱり王宮の広場は家に広場っていうより、家に大きな森と山と草原って感じだ。向こうの山までが土地ってどんだけ~。と俺は軽く現実逃避していた。もちろん王宮の人にボコられることに恐怖して。

 そこでアリアが、武器をお貸しします。と言ったので一応剣を選んだ。やっぱファンタジーは剣でしょ。


 小一時間後対戦者が出てきた。

 お願いします、と来たのはナズナさんだった。

 これはチャンスじゃね?

 だってナズナさんだよ? 失礼だけどどう見ても武芸者には見えない。物静かそうなお姉さんだ。魔術がつかえてもまぁまぁ善戦くれぇできんじゃね? と思い気合いをいれて勝負した。


結果から言おう。ボロ負けした。華麗なボロ負けをした。

 勢いつけて全速力で突っ込んで、驚いてナズナさんが土魔法 土壁(グランド・ウェール)を使い地面から出したところ俺は真下からそれをくらい、3メートルくらい飛んでぶっ倒れた。慌てて駆けつけたナズナさんが「すいません。遅いのにおどろいてしまって」、と謝っていた。

 

 ……ウン、もういいから、それ以上言うとオレマジ泣くから。というふうになっていったワケ。ちょこっとオレが落ち込んでいる間、照と凍也は戦いをしたようだった。






 僕こと、直道照は真二を心配そうに見ていた。


「大丈夫かなぁ。」


 凍也君はまったく気にしていないようだった。彼は僕のことを毛嫌いしているようだし、この3人で魔族と戦えるのか心配だった。


「やっぱり、チームワークとか必要だよね。信頼関係もきちんと築いて置かなきゃ。」


 と決意を固めていざ決闘へ。

 相手はフランさん。王族の次男で楽しそうな人だった。だけど、戦いになったら雰囲気は一変していた。凄みのある騎士となったフランさんは近づいただけで蹴落とされそうだった。

 僕は借りてきた短剣を出して構えた。陸上部に入っていて50メートルを5秒3で走ったこともある。避けるだけなら出来る! という浅はかな願いは彼の魔法によりかき消えた。


泡の弾(バブル・ショット)!」


 彼の放った言葉に従い水が泡状になったと思うと、まっすぐ飛んできた。

 右に全力で走って最後は半ば転びながらなんとか避けられた。走った道を見ると穴ぼこだらけだった。水なんてモノじゃない、アレは弾丸だ! 

 よけなかったら今度こそ、自分がああなる。恐怖8に興奮2と言う感じで直感でフランさんに向かって駆けようとしたとき、フランさんが、


「いまのをよけるかぁ~。凄いね。じゃぁ出し惜しみはなしといこうか!」


 と泡の弾(バブル・ショット)をさっきより多い数を出してきた。

 瞬間的に足が動いた。

 もしかしたら自分にはけんかの才能があるのかもしれない。あまりけんかしたこと自体ないから分からなかったが、たしかにけんか自体は負けなしだったはずだ。

 得意のダッシュで相手の懐へと突っ込む!僕は掠りながらも弾をよけて、短剣の間合いまであと一歩まで近づいた。

 するとフランさんは驚愕に顔を歪めながら、


反射(カウンター)!!」


 と叫んだ。

 次の瞬間、熱い衝撃に襲われた。まるでよそ見しているところに自転車が猛スピードでぶつかってきたような感じだった。

 そうかこれが反射(カウンター)、ぼくが走ってきた運動の衝撃そのものを跳ね返す魔法!

 吹っ飛ばされた僕は1つの思いで一杯だった。

                

                  倒れたくない。


 負けたくないんじゃなくて、全力を出したかった。不思議とそうおもった。

 だから踏ん張った。片足で力の限り踏ん張った。

 フランさんはすでに魔法はといていた。好奇とみてとっさに短剣を突き出す。

 しかし踏みとどまった。あと一歩踏むのをなぜがやめていた。身体が勝手にやめたと言う感じだ。理由はすぐ分かった。僕の首に剣が刃が止まっていたからだ。

 身体が硬直しているとフランさんはいい笑顔。


「すっげぇな!ショウ!あそこで踏ん張れるヤツは騎士団の中でもなかなかいないぜ!」


 と妙に嬉しそうだった。僕は苦笑しながら


「でも(サー)のフランさんには叶いません。」

「なにいってんだ。昨日今日剣を持ったヤツに負けたら騎士じゃねぇよ。まぁ遅れをとったのは俺の汚点だな。それとフランでいいぜ。ショウ。」


 と笑顔で言った。はい。とぼくは快く返事した。けがはナズナさんが丁寧に治療してくれた。でも妙にそわそわしてたのはなんでだろう? まぁさして気にもせず僕は凍也の決闘を見に行った。






 ちっと柳生凍也こと俺は舌打ちをした。

 訳の分からん異世界に放り込まれたまではいい。良くはないが、あっちのもとの世界にも未練はない。が、ここで英雄だなんだと騒がれるぐらいならもとの世界に戻った方がいい。俺自身はこの世界に留まってもいい。

 イヤなのは英雄なんかに扱われることと俺と同じように召還された2人の現代人のやつら。いつも馬鹿みたいなことしてる正真正銘のバカと筋金入りのお人好し。どちらも俺の気の合うやつでは無かった。

 

 まぁ俺と気の合うやつなんていないか。と自嘲気味に笑うと、決闘する対戦者がきた。


 よろしく頼む。と来たのは確か王宮の長男、名はジャックだったか。

 いかにも西洋諸国でありそうな名前だ。ジャックは一言で言えば大柄な男だった。筋肉が盛り上がっているがそこにある気配でその筋肉が見せかけでないことがわかる。


 真剣ならないとなと直感した俺は即座にあの女から借りた槍を構えた。槍術などやったことがなく、近い薙刀を稽古していただけだ。剣道や弓道のほうが得意だが、あえて選ばなかった。

 理由は俺がやってきたのは人を活かし、競技とする『道』であり、けっして人を殺す『術』ではなかった。

 そんな俺の剣が剣術をもつ剣士に届くわけがない。だから多少不慣れでも間合いの広い槍にした。

 そんな俺の事情を知ってか知らずかあの大男は


「間合いが広いからといって強いとは思うなよ。」

「はっ。警告のつもりならいらねぇよ。来いよ。」


 と手招きしてみた。ドラマなどでよくやっている行為を真似てみた。挑発のつもりだったが、以外に効いたらしく、


「ほう、よかろう」


 こめかみを震わせて剣を構えた。

 コイツ、腹芸できないなと薄く笑ったとき、相手方が猛然と突っ込んできた。

 まるで闘牛だ。怯える気持ちを殺して、しっかりと見据えながら槍を薙ぎ払った。

 槍というと突きのイメージがあるが、実は槍で最も恐ろしい技は薙ぎ払いである。剣よりもはるかに長い槍の薙ぎ払いは攻撃とともに強力な防御にもなるからだ。

 

 大男はそれをさっとよけて剣で打ち合って見せた。コイツ、見た目とは裏腹に素早い。

というか今の剣、おかしいぞ(・・・・・)


「ほう、気づいたか」


 と大男は笑った。あぁ確かに気づいた。


「その剣・・・どうしてそんなに軽いんだ(・・・・)?」

「これが我が魔法よ。鉄の剣という鉄の硬度をもちながら別の金属、つまり鉄よりも軽い金属の軽量という性質だけ(・・)を付加させたのだ。これぞ、金属魔法性質変化(チェンジ・ネイチャー)!」


 なるほど。

 物質の軽さだけ付加できれば確かに『軽くて硬い剣』が出来る。軽ければ体重を乗せやすくなにより速く振るうことが出来る。今の軽さからしてアルミが妥当だろう。

 この世界では多分だが作れないシロモノだ。それにアルミを作れても軽さだけ付加なんて出来るわけがない。まさにヤツだけが作れる剣だ。

 だが、


「軽いってことは、こちらとしても有利だぜ。」

「なぜだ?」


と大男は馬鹿みたいに返してくる。


「こちらとしては軽いほうが打ち込みを払いやすいだろう?」

「はは!そんな我の体重をかければそんなことは些細なことじゃ!」


 と再び闘牛のように突っ込んできた。

 今度も真っ直ぐのようだ。まったく芸がないやつ。

 槍を薙ぎ払う。しかし薙ぎ払う途中で突きに俺は変えた。少し驚く大男だったが渾身の一撃の如く大上段まで振りかぶり剣を振り下ろした。

 そこまでは大男も予想の範囲だったろう。だがな、次は範囲外だぜ?

 

 俺はそのまま放した。つまり投げた形になったのである。

 これには驚愕の顔を作った大男だったが、もうジャンプしながらの振りかぶりなので戻ることは出来ない。

 そのまま俺はダッシュして男の懐に近づいた。そこでやつはやっと剣をなげた槍に振るった。

 槍は真っ二つになったが剣を挟み込んだ。剣からはなかなか離れない。そのまま使おうとしたようだがそのころには俺は懐にいた。

 槍は近すぎると戦いにくいと言われるが、剣だって事情は一緒。密着戦とも言える距離になると剣は使い物にならなくなる。さらに今は槍が引っ付いているから更に有効な間合いが遠くなる。

 こちらは素手なのでこういう密着戦は逆に有利だ。かといって俺が家からならった素手の武道は柔道のみ。だからこっそり中国まで行って教えて貰った武術(・・)を使う。

 一撃の強さのみを特殊な足運びにより極限(・・)まで高めた拳法。名を八極拳!!

                

                「八極開門拳!!」


 と技を8連続(俺の限界)で出し喰らわせた。5メートルほど吹っ飛んだ大男はそのまま倒れた。

 勝負は決まったようだが、俺は勝利の余韻なんかに浸れなかった。

 

 俺は首筋に手を触れてみる。そこにはヒヤリとした感触があり血が流れていた。

 そう、俺は首を切りつけられたのだ。もしその気になればあいつは俺の首をおとせたはずだ。それをしなかったのは模擬戦だったからだろう。

 俺は吹っ飛びながら剣を突き出すその気迫に感心した。


「次からは名前でおぼえるか。」


 と呟き、後ろを振り返って歩く。ふと、上を向いた。ガラスの天井よりも綺麗な青空が広がっていた。

 ここでは俺の願った『道』を『術』への昇格が出来る。ここでの生活も悪くないな。と武道を歩む者としての笑顔を見せた。


「また、やろうぜ。」


 と声が聞こえていないだろうが一応言っとく。

 惜しむことはこの世界には日本刀がないことだな。と思った。






「は!」


 と神谷 真二ことオレは起きた。どうやら落ち込んで寝てしまったようだ。

 アリアに聞くとほかの2人はどちらも精霊(スピリット)の出現こそできなったものの善戦したし、凍也に至っては勝ったらしい(凍也自身は負けと言っているらしいが)。

 オレだけが情けない負けかたをしたのかと思うと悔しくてしょうがなかった。だからしょうがない。元気なお母さんのエメラルダさんに勝負を挑んでもしょうがない!


「お願いします!戦ってください!」

「はい」


 と二つ返事でOKされたオレは勝つ気漫々だったし手加減する気もない。

 ものすごいチキンだが今日はなんとしても1勝したかった。

 猛然とそう、ゲーマー歴10年のオレとしては自己最高ベストをたたき出しながら走る! とそこにフランやジャックさん、ナズナさんも来て、全員あ、と間抜けな声を出していた。

 不思議に思ったのも束の間、エメラルダさんは


「少しは覚悟してきたよのね?」


 と優しい声と厳しい魔法をだしながら質問した。

 あまりの魔法に思わず止まる。だってバチバチ言ってるぜアレ?

 ナズナさんは慌てて、


「母は高位魔法の雷を得意としていて電光の虎ライトニング・タイガーの2つ名をもつんです。速く逃げてください!」


 と最後は珍しく声を荒げる。

 それだけでことの重大さが分かった。2,3歩後ずさりしようと思ったが足が動いてくんない……

 それを戦う了承の返事としたのか、


電圧衝撃(ボルト・ショック)!」


 眩い電光が俺の視界を包んだ。


1秒後、黒こげになったオレだが幸か不幸か意識があって身体も動いた。

 しかしオレの意識は朦朧としていたようでエメラルダさんではなく別の人に向かって走ってしまった。

 

 その人はもう1人の妻でありアリアの母であるローズさんだった。

 多分脳内でえめらるださん強すぎ~、と半分逃げたかったのであろう。オレを責めることは誰のもできまい。

 ソレを見たフランとアリアが同時に声を荒げた。


「「やめろー!!」」


 そして続く言葉がおかしかった。


「「真二が死んじゃう!!」」


 あれ? 主語おかしくね?


「大丈夫。殺さないから。」


 と言うが早いがどこからか2本のナイフを出し俺の持ってた剣を足で折り、ナイフの刃が俺の頬を掠め、止めの蹴りを顔面に喰らった。

 

 ……意識を取り戻した後に聞いたが、ローズさんは王族のヨメになるまでは王族しか使えない光魔法の一つ、瞬間移動(テレポート)を使い義賊をしていたそうだ。

 2つ名ができるほど有名で瞬間の盗人(インスタント・シーフ)といったらしい。しかしそれは王族に取り入れられた後の(・・)の2つ名で現役時代はこう呼ばれていたらしい。

              血まみれ仔猫(ブラッディ・キャット)


 ……暗闇に飲み込まれつつある意識の中、オレはあることを最後まで思っていた。

            「英雄(イロアス)お母さんたちでよくね?」


                   

どうでしたか。 バトルははじめてでした。 誤字、脱字あったら報告お願いします。

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