ミニ物語~かごめかごめ~
かごめかごめ
籠の中の鳥は
いついつ出やる
夜明けの晩に
鶴と亀が滑った
後ろの正面だあれ
「かごめかごめ?ああ、やったね~。教室とかでみんなで集まってさ。懐かしいね。・・・・それがどうかしたん?」
千夏は私の横で教科書をめくりながら答えた。
場所は学校の教室。後5分も過ぎれば朝のホームルームが始まる。
「うん、かごめかごめだけじゃなくて他の童謡とかも、意味が込められてるのが多いやろ?かごめかごめのは知らなかったからさ、調べてみたんよ」
「ふ~ん。・・・で?どんなんやったん?」
「うんそれがね。・・・流産しちゃった話なんだって・・・。かわいそうだよね・・・」
「流産?なんでそうなるん?」
意味がわからん、と千夏は教科書を閉じてう~んと考え込んだ。
「歌詞の初めから解説するよ。まずは『かごめかごめ』これは子供の名前か、子供の例えだよ。次に『籠の中の鳥』これはお腹の中の赤ちゃん。『いついつ出やる』はいつ出てくるかな?っていう親の気持ちだね。次は『夜明けの晩に鶴と亀が滑った』これは夜明けに近い夜中。親がこけたんじゃないかってさ。それで流産。お腹の中の子供小さかったやね・・・。んで最後の『後ろの正面』はなくなった子供が後ろから親二人を見守ってるんじゃないかな?『だあれ?』って聞いてるし、多分そうなんだよ」
「なるほどねぇ・・・。そりゃあ大事やねぇ。・・・ってかどこで調べたん。そんなんなかなかないやろ?」
納得したという顔になった千夏はまた出てきた新たな疑問に私の顔を見やった。
「ああ、それがね。先生に聞いたんよ。・・・ほら、今月おめでたってわかったって喜んでた松永先生」
「そっかぁ。松永先生物知りやもんねぇ」
松永先生は私たちの担任で来月あたりにお産のため育児休暇を取る予定の女の先生だ。
初の子供で早めに休暇を取ることになり、クラスのみんなも先生の子供を楽しみにしていた。
その時チャイムが鳴った。
ガラッと音を立て開いたドアから顔を出したのは担任の松永先生ではなく副担任の新井先生だった。
「松永先生は~?」
とクラスの者が聞くが新井先生は顔を下に向けゆっくりと教壇に立った。
「みんなに悲しいお知らせがある・・・」
といつもより小さい声で言いにくそうに話しだした新井先生に、クラスの生徒たちは良くないものを感じ黙って新井の話を聞いた。
「・・・松永先生がな・・・。流産したんだ・・・」
「・・・え」
夜明けごろ、お手洗いに行こうと階段を下りている時、足を滑らせたんだという。
すぐに病院に運ばれたが、打ち所が悪かったらしくすでに子供はお腹の中で死んでいたらしい。
聞いた話です。ホントかどうかは知りません。 方言を使ってます。分からないところがあったらお聞きください。