最終バス
ホラー短編
比較的早い終電に乗って、俺の実家がある駅へと向かった。
都心から割と近いが、完全な田舎町である。
ベッドタウンではない、田舎町だ。
駅も無人だし。
電車は車庫へと向かうのを見送った。
終点に降りたのは俺一人だった。
相変わらず寂れた駅前ロータリーにタクシー一台も止まってない。
ずっと昔閉店したそば屋が見える。
看板が風化し、ほとんど字が読めない。
タクシーを呼ばなきゃだめだなと考えたが、気づいたらスマートフォンの充電が切れかかっている。
「ヤバい・・・」
充電が切れた。
切れてなくても圏外になっていたのを見た。
相変わらずこの町では時間が止まっていると思った。
だからこんな田舎から出て行った。
年末なので誰もいない、駅前の住宅には明かりが見えない。
一部空き家だったのは知っていたけど。
型の古いバスがロータリーに入ってきた。
「バスって・・・あったっけ?」
思わず独り言つぶやいた。
【名府地区行き・最終バス】
表示器の赤い文字が見えた。
実家へ行ける最終バスなのか?
先ほど気づかかなったが、バス停があった。
【三豆河駅前・名府地区経由行き】
急いでバス停へ向かい、最終バスに乗った。
「SUICAで払えるのか?」
「うん」
無愛想な運転手だなと思った。
「運賃は?」
運転手が顎で前を差した。
「100円?」
「うん」
「これは最終だよね?」
「そうだ・・・本当に乗るのか?」
「このバス以外は移動手段がないだろう・・・乗るに決まっているッ」
「ここの場所が嫌で出ていったじゃないのか?」
「はあ?・・・あんたは俺の何か知っているというのか?」
「いや・・・失礼、ただの確認だ」
「後でバス会社にクレームを入れるぞ」
「わかった」
「謝らないのか?」
「乗るか、乗らないのか?はっきりしろ!ッ」
「チッ・・・わかった」
頭に来たが、このバスを逃す、実家へ帰れない。
SUICAをタッチした後、一人用の座席に座った。
バスの乗客は俺一人だった。
乗ってから5分ほど経過した後、バスはゆっくりと出発した。
「三豆河駅・名府地区経由行き、今年の最終バス」
本日ではなく、確かに大晦日なので今年と運転手が言った。
相変わらずおかしいな田舎民だ。
「次は自石一丁目、次は自石一丁目」
俺は運転手のアナウンスを無視した。
いくつかのバス停を通過した。
各バス停の周りが非常に暗かったが、その奥に見えた民家や鳥居が非常に明るかった。火でも燃えやしているみたいに明るかった。
人の声も聞こえた。
夜なのに非常識だと思った。
「終点の亜毘無兼です、終点の亜毘無兼です・・・お客さん、本当に降りるのか?」
あの失礼な運転手が俺に声をかけてきた。
「うるさいな・・・降りろに決まっている・・実家だ!!」
「わかった・・・一応、情けでは止めたぞ・・・後で文句言うな・・」
「なんだと?・・・このやろう!!・・絶対にバス会社にクレームを入れてやるぞ!!」
「好きにしろ・・・降りろ・・・最終確認が終わった」
「名前を言え!!」
運転席へ向かって、問い詰めたが、立ち上がった運転手は恐ろしいほど身長が高かった上、妙な威圧感で俺を圧倒した。
「降りろ・・・最後の情けを無視した輩にはもう後戻りができない」
運転手は片手で俺を掴み、バスから投げるように降ろした。
「てめー・・・」
運転手は何もなかったかのように運転席に座った。
「三豆河駅・名府地区経由行き、今年の最初バス」
妙なアナウンスが聞こえた。おそらく乗っている間が年が明けたと思った。
「地獄の満員に付き、一時の仮出所になった者ども、早めにお乗りください」
「え?」
「ここに戻るな!!地獄は満員なのでカラカラの天国へ行けるように徳を積んでくれ・・間もなく出発します」
あのおかしいな運転手がわけわかんないことをアナウンスしているように思った。
その時、はじめて気づいた、数十人がバス停へと走った。
「乗らせろ!!」
「俺が先だ!!」
「あたしが先よ!!」
「払える者どものみが乗れる!!お金のない輩が歩け!!!」
あの運転手が数人をバスから追い出した。
「出発します!!」
バスはゆっくりと動き出した。
追い出された者たちが追いかけようとしたが、足が思うように動けなかったみたい。
「待ってくれええ!!」
「他の地獄へ渡り歩けるわけねえだろうが・・・」
「置いていかないでえええ!!」
バス会社の制服を着た身長の高い男たちの一団がバス停の前に倒れていた追い出された者たちを立たせた。
「お金がなかった輩が悪い・・・仮出所は人ではなく、虫けらとなり、現世で受肉しろ!!」
「いやだああ!!!」
「やめろおおお!!!」
「わああああ!!!!」
追い出された者たちが煙となって消えていった。
「お前は出戻りか?」
「え?」
「せっかく受肉したのに・・徳を積むところ、更に大罪を犯して、自動的に嘘の記憶で連れ戻されたかくちの輩か?」
「え?」
「肉体付きだと本当に久しぶりだな」
「ああ・・まずは生きたまま、その肉体を食い荒らし、魂になった時、一番きつい拷問をかけてやるぞ」
「ええ?・・・これって夢だよな・・・」
「おい、こいつまだ記憶を取り戻してないぞ」
「ハハハハハ・・・生きたまま食われたらきっと思い出すぞ」
俺はバス会社の制服を着た大男たちの一団・・・鬼たちの一団に引っ張られ、地獄へ連れていかれた。
そして自分は何者だったか、何かをしたかのをこの時になって、思い出した。
日本語未修整。
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