須木奈篇 同族殺しとマリア〜壱〜
毎日21時更新します…
せっかくの休日なのに眼が覚めたらもうお昼。
佐部さんのやってた〝アニマルの森〟のアプリ入れてみたら朝までやってしまった。
動物さんとお友達になるのに課金までして。
ほんの少しだけ。
ダイエットしてるからお昼ご飯はコンニャクゼリー。
八個食べた。
テレビ見ながら簡単にメイク。
目の下のクマだけ念入りにやります。
リュック背負って寮を出発。
今日もお気にのスキニーパンツと紫のニットだ。
電車乗る前に都立公園で少し歩くつもりだったけど……寝坊したから止めとく。
島田さんはほっぺたを退去した。
沢渡さんは入院になった。
白木さんには薬の横流しの件だけ報告してある。
あの後、何度考えても佐部さんの行動を上手く説明出来なかったから。
興奮した猪みたく高ぶるあの男を森の妖精さんにしてしまった。
一体どうやって?
ただ私を助けに来てくれたコトはメッチャ嬉しい。
そこだけは本当にテヘ。
三十分程でシューティングレンジASSHOLE到着。
受付に行くとオーナーのフジコさんが興奮状態だ。
この人いつも興奮してるけど。
「勉強してきな! スッキー」
何だろ?
グラスを装着してレンジに行くと数人の人だかりが出来ていた。
「ちわす。何事? カトちゃん」
「天才少女現るゥゥ!」
手前のレンジで金髪おだんごヘアーの少女が撃ってる。
んぁ?
この子、こないだのルーマニア人じゃあ……
パパパパパン!
タイムは1・84。
どよめくギャラリー。
「初めて撃ったらしくて。今のタイム去年の全日本トップスコアより0・1早ぇ!」
「嘘でしょーッ?」
私のタイムより1秒以上早い。
それにしても……この子まだ小学生くらいだよね。
近くで見ても超絶カワイイ!
なのに何で昭和レトロジャージ来てんの?
ご丁寧にゼッケンまで着けてサ『まりあ』だって。
「あ、来たっぺさよ」
「へ?」
奇跡、起きた。
緑ジャージの天使が私を見て何かおっしゃってる。
「お友達になりましょーっぺ」
とびきりの笑顔。
死んだ。
もう爆死した。
天使が私の手を握りしめてる。
家出る時、手洗ったっけ?
その時は浮かれてて気づけなかったんだ。
少女の美しい緋色の瞳が澱んでるコトに。
◆◇
天蓋つきの豪華なベッド。
お姫様が使っているような感じの、メチャクチャ装飾が施してあるヤツ。
今私はそこに寝てる。
ベッドサイドのテーブル、洋服ダンス、ひじ掛け椅子なんかにもキラッキラの装飾。
天井からはシャンデリアっぽいのが吊り下がってて。
その壁には天使関係のガチな絵が一面に描かれてる。
私は何故か、そういう場所にビロードのネグリジェを着て横たわってた。
足元から可愛らしい黒豹の子がまとわりついてくる。
柴犬くらいの大きさかな。
よく見るとまだ薄い黒毛がちゃんとヒョウ柄ね。
「手デカくてウケる! 毛がモフモフだよー!」
ひとしきり大興奮してるものの。
自分が目線くらいしか動かせないコトには、あまり興味がないみたいだ私。
「こんなトコでよく、まぐわえるっぺさな」
遠くで、近くで。
ツンデレキャラみたいな女の子の声がする。
「日本人て不思議。ラブホテルの壁や天井に暗い海底のプロジェクションマッピングなんかして。こんなので盛り上がるんだぺか」
声がベッドの周りを行ったり来たりしてるみたい。
「一番驚いたのは、あの人嫌いのヒューゴがこの女を側に置いてるって事だぺさ」
黒豹の子が私の体を……何か調べてる?
抱きしめようとしてもスルスルって逃げちゃう。
ヤダもう〜! キャハハハハハ。
「コイツ、奴隷じゃないっぺ」
黒豹ちゃんが眉間にしわを寄せると美少女になった。
お姫様の部屋はラブホの一室で、どうやら私は真っ裸にされてるらしい。
「じゃ何でだぺ」
お股の臭いを嗅ぐ天使。
「あ、処女」
それではまた…




