魔法少女、誕生 Part.22
前回投稿した『Part.21』の続きをお届けします。
それではごゆっくりご覧下さい。
クロードが人間界で生活するに於いて住まいとしている『ワンルーム カプセル』内にて彼が愛読している魔法に関連した書籍が無数に陳列されている本棚へと歩み寄る真琴。
すると書籍類に紛れる様にして此方の世界でいうところのコンパクトディスクと思わしき代物が数枚程保管されているのを発見する。
「あれ、何かしらこれ?見た目からしてCDみたいだけど。」
「わぁ!ちょっと、真琴さん。一体何を!?」
意図せぬ真琴の行動に嫌な予感がしてならないクロードは動揺しながらもそれを阻止しようと試みる。
「どうしたのクロード?いきなりテンパっちゃって。」
「ひょっとしたらお前、何か見られちゃいけないものでも有るのか?」
「い、いいえ。僕に限ってそんな物など有る訳ないじゃないですか。」
先刻までとは異なった素振りを見せるクロードに何事かと尋ねる実季。
それを踏まえ智史は室内にて如何わしい物でも隠しているのではと察しそれを仄めかす問い掛けをするとクロードは不覚にも彼等の前で披露してしまった見苦しい振る舞いを帳消しにするかの様にしてその推測を否定するのだった。
カプセルの外にて3人がそんなやり取りをしている事等知る由も無い真琴は本棚に収納されているコンパクトディスクの内、1枚を手にするとそれを興味深そうに眺めた上でクロードへと問い掛ける。
「クロードくん、可愛い女の子達が写ったジャケットのCDが有ったけどこの子達ってアイドルグループか何か?」
「『可愛い女の子達』・・・?」
「『アイドルグループ』・・・?」
「そ、それは魔法界で今1番人気のガールズユニット『Lovely Magic』の最新アルバムの初回限定版です。」
たった今、耳にした言葉の一部を復唱する実季と智史を受けこの状況から逃れられないと判断したのかクロードは恥ずかしそうにしながらも真琴の問い掛けに素直に応じた。
「へぇ、クロードってアイドルの推し活してたんだぁ。」
「まぁ、良いんじゃねぇの?アイドル好きの趣味が有ってもさ。」
「うぅ・・・。真琴さんお願いですから勘弁して下さい。」
実季と智史から慰めと称した冷やかしの言葉を受けた事でクロードは居た堪れない気持ちを覚えつつも真琴へ向けこれ以上の物色を控える様に要求した。
「ゴメンゴメン。ちゃんと元に戻しておくから。」
平謝りをしながらもクロードの私物である魔法界にて活動中の人気ユニット『Lovely Magic』のアルバムを元の位置へと仕舞おうとする真琴。
するとその拍子に1冊のノートが彼女の足元目掛け本棚から滑る様にして落下した。
「ん?何かしら、このノート。」
「ああ、真琴さん!そのノートだけは・・・。」
クロードの制止も虚しく徐にノートを手に取りページを捲り始めた真琴はそこに記された思い掛けない内容を目にすると図らずも吃驚するのだった。
「こ、これは・・・!」
「どうしたの真琴?」
「何か途轍もない事でも書いてあったのか?」
只ならぬ気配を察知した事で僅かに緊張を覚えながらも尋ねる実季と智史。
一方で冷静さを欠くあまり挙動不審な動きをするクロードは止めてくれと言わんばかりの表情を浮かべるも残念ながらその想いは届かなかったらしく『ワンルーム カプセル』の外に居る実季と智史へ向け真琴はノートに書かれている文章を読み上げる。
「『敏腕魔法使い、クロード・アンバー・フォールドによる魔法少女育成による成功と軌跡』?」
「『敏腕魔法使い』・・・?」
「『魔法少女育成による成功と軌跡』・・・?」
「ま、真琴さん、もうその辺で・・・。」
先程同様、耳にした言葉の一部を復唱する実季と智史が揃って首を傾げる仕草をする傍ら顔を真っ赤にさせ冷や汗をかくクロードは真琴へ向け自重するよう訴求する。
だが、魔法使いの少年が放った声が只でさえ小さかったのに加え徐々にフェードアウトしていった為か聞き取る事が出来なかったらしい真琴はカプセル内にて引き続きノートに書かれている文章を音読するのだった。
「『この書物は僕、クロード・アンバー・フォールドが人間界において如何にして魔法少女と出会い、育成したかを記したものです。これを読む事によって今後、魔法使いとして人間界に降り立った際、数多く居る人間界の少女の中からどうすれば魔法少女としての適性が有る人材を見付け出せるか、またパートナーとなった魔法少女をどの様にして育成すれば良いか参考にしてもらえればと思います』?」
ノートに書かれた文章を読み上げた後、カプセルの中にて無意識に眉を顰め微妙な表情を浮かべる真琴。
そんな中、カプセルの外にて奇しくも同様の反応を示す実季と智史の2人は今まさに羞恥心を隠し切れずにいるクロードへと目を向けるのだった。
「た、確かに智史の言う通り途轍もない事が書いてあったね・・・。」
「まぁ、『違う意味で』だったけどな・・・。」
「お、お2人共。そんな風に僕を見ないで下さい。」
魔法少女とその男友達から粘着く様な視線を肩越しに感じるクロードは『ワンルーム カプセル』を手にしたまま弱々しくも今の気持ちを述べたのだった。
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