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駆け抜けたい

作者: 秋葉竹



暮れかかる街並みに

オレンジが引き潮のように

消えてゆき

すこしだけ悲しげな

夜がやって来る


ほんのりと満月をみあげて

流れる雲のかたちを目で追う

子供が描いたT-REXみたいな

ちょいカッコいいやつも

黄色く月に染まる


シャランシャランと

月の宴の始まりの音がする


目にはみえない悲しさなら

悲しむのをやめても

べつにいいんだからさと

目のまえでちっちゃなティンカーベルが

良さげなこと云って

すぐに遠くまで

飛んでゆく

今度はどこの小窓に入る?

すこし気になってみえなくなるまで

飛びゆくさまを目で追った



夜風がそよぎ

すこし淫猥な夜の街の空気も

ざわわわわと

波打つ美しい幻の渦となり

そのなかを楽しげに

泳いでゆくあのひとは

きっと魚の呼吸をしているんだ



珊瑚の静けさ

眠りにおちる海の底の世界たち

目を開いたまま眠る魚たち

すこし羨望の目でみられる

トビウオみたいなカッコよさが

なにを犠牲にして得たものか

知ってしまっている乾いた過去が

鎮まれ鎮まれとさわさわとゆうるりと

泣きそうになった心を撫でる


海からみあげた満月は

まるでグリーンアップルみたいだって?

だから今夜この街からみあげる満月は

まるでグリーンアップルみたい

街は眠らないでどんどん

明るくなってしまう

どんどんどんどん膨らんでいってしまう

なにになりたいのか

知りもしないくせに永遠につづく夜を

夢みてしまっているまるで

あのひとの儚い希いみたいかな


いずれ逢えなくなるひとに

だからと云って

今夜語るべき言葉とてなく

ただ爛れるようなカッコのいい夜を

駆け抜けたい

延々と永遠がつづく深い夜の道を

月下のもとすき透るみたいな速度で

脇目もふらずに駆け抜けたい








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