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悪魔と橋

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


【レイセン】「止まって!なにか、変な匂いがする……」


 レイセンがくんくんと鼻を鳴らすと、手を上げてみなを静止させた。みなは、壁を背にして立ち止まり、息を潜めた。

 道の先は、開けた明るい空間に繋がっていた。耳を済ますと、川のせせらぎが聞こえてきた。道は、川に続いているのだ。

 対岸に見える建物は、陽の光に明るく照らされ、白く輝いていた。

 レイセンは先へと進み、柱の角から曲がり角を覗き込んだ。

 曲がり角の向こうには小さな橋がかかっていた。その橋の上に、金色の髪を持つ少女の悪魔がひとり、ぽつんと立っていた。

 その悪魔は、レイセン達に背中を向けて立っていた。彼女は、およそ140センチほどの小柄な躰つきで、金色ん髪は腰の長さまで伸びていた。そして、その頭の側面からは、まごうことなき悪魔の特徴である、一対の赤い角をはやしていた。

 彼女は、両腕をだらんと垂らして、脱力して立っていた。僵屍(キョンシー)のように長く垂れた袖の布が、袖口まで血に赤く濡れ、染み出した血液のしずくが、ぽたぽたと袖口の先から滴り落ちていた。

 彼女の足元には、切り刻まれた兵士の死体が山となって転がっていた。

 レイセンは、死体の数がいくつなのか、人目で数えることができなかった。というのも、兵士達は四肢から切断され、バラバラに解体されていたのだ。彼らは、無惨な屠殺体となって血の海に沈んでいた。

 腐り始めた内臓の匂いが風に乗って漂ってきた。死体のまわりを飛び交う蝿の不快な羽音が、水のせせらぎをかき消した。


(pic 104 6)


レイセンの頭越しに、ドアンナたちも道の奥を覗き込んだ。そして訊いた。


【ドアンナ】「あいつに勝てるか?」


 レイセンは、答えに迷った。


【レイセン】「わからない……あの袖を武器にして闘うのなら、私との相性は良さそうだけど……」

【ドアンナ】】「布槍術みたいにってこと?」

【【レイセン】「多分ね。勝てる確率は、半々ぐらいだと思う」

【ドアンナ】「半々じゃ危険ね。別の道を探しましょう」


ドアンナはすぐに決断した。本来は、彼女たちは魔術学校の学生として、市民を守る義務があった。本当ならば、命を賭してでも、悪魔と闘うべきだ。

しかし今は、彼女たちは王女を連れていた。それがゆえに、いかなる危険も犯すわけにはいかないのだ

彼女たちが建物の影から身体をひこうとしたその時、レイセンの大きな狐耳が、近づいてくる足音に気づいた。


【レイセン】「待って!道のむこうからが誰か来る!」


レイセンは切迫した声音でいった。ドアンナは、レイセンの小さな体の上から、再び道を覗き込んだ。

道の奥から、三人の子供が走ってきたのだ。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


彼らは、齢十にも満たない少年少女だった。彼らは兄弟なのだろうか、みな淡い色の金髪で、顔つきもどことなく似ていた。長い距離を走ってきたのか、年若い白い頬は紅潮しし、綿毛のように軽い金髪は、脂汗にぐっしょり濡れていた。


【少年】「急げ!」


先頭を走る少年が、後ろを振り返りながら叫んだ。彼は、兄弟たちに気を取られて、橋の上の悪魔に気づいていないのだ。


(近づいちゃ駄目だ!)レイセンは心のなかで叫んだ。しかし、彼女がそう思うと同時に、背中から声がかけられた。


 彼らは橋に差し掛かった。そして、目の前に広がる光景に突如として気づき、立ち止まった。

 彼は、足元に転がるバラバラの死体を目にして、立ちすくんだ。そして、恐る恐る顔を上げて、目の前立つ人影を見た。

 悪魔が振り返り、少年たちに面を向けていた。悪魔は、あどけない少女の顔をしていた。センターパートに分けられた細い金髪が、そよ風になびき揺れていた。

 少年は、その姿に気圧され、一歩後ずさった。しかし悪魔はそれを見ても、ただ無表情に少年を見つめているだけだった。

 二人の目線が混じり合ったまま、しばらくの時間が過ぎた。

 少年は、やがて意を決した。彼は幼い顔に断固とした表情を浮かべると、歩を進め、そのまま悪魔の脇を走り抜けようとした。

 少年がすれ違った瞬間、悪魔は笑った。その幼い顔からは想像もつかない、茶色のきたない乱杭歯をむき出しにして笑った。そして、悪魔は、少年に向かって、右手の袖を振り上げた。


(pic 104 9)


 袖が、少年の首を撫でた。少年は、何かが首に振れたことを感じたが、そのまま足を振り、走り続けた。

 やがて少年の白い首に、一直線の赤い線が浮び上がった。彼の首は、その線を境に、前後にズレ始めた。血が、水瓶の縁から溢れ出る水のように、その赤い線から吹き出した。

 やがて少年の頭は、寿命の尽きたハイビスカスの蕾のように、その身体からぼとりと落ちた。蓋の空いた頸動脈から、空に向かって血が吹き出した。


「きゃあああああああああああ!!!」


 女の子の叫び声が、川面に響き渡った。


レイセンは、鞘ごと剣を地面に突き立てると、

彼女の瞳は、猫化動物のように


【レイセン】『⸻卿に捧ぐ身の赤い血 暗闇に見た煉獄の火 奈落の底の紅蓮の硫黄 消せど燃ゆる魔性の炎……!』



瞬間、レイセンは地面を蹴り、駆けた。

彼女は、ドアンナの真横を一迅の風のように抜き去ると、わずか六歩のステップで通りを駆け抜け、悪魔に迫った。

彼女は赤い血に沈む兵士を縫って駆けた。間近に立ち昇る血の匂いが彼女の鼻孔を突いた。彼女の大きな橙色の狐尾は、天を衝く角度でいきり立った。

悪魔はレイセンを見た。センターパートに分けられた細い金髪が体の動きに合わせて揺れた。悪魔の唇は、まるで少女のように赤かった。




レイセンは口中でそう唱えると、右手に翳した銀の細剣に、灼熱の炎を吹きつけた。

剣は炎をまとった……いやむしろ、粘性の炎が細剣を覆ったというべきだろうか。

炎は激しい熱で小体積の細剣を焼いた。

エルフの古代文字が穿たれた銀の細剣は、鋼鉄の融解温度を遥かに超える白熱の光を放ち始めた。

太陽光線と見紛う鋭角の光は、直視不能な波長領域で悪魔の網膜を焼いた。摂氏五千度の放射熱は悪魔の白い皮膚を焦がした。

レイセンは、白熱する細剣を振りかぶり、悪魔の正面から切りつけた。


悪魔は、瞬間的に硬化させた袖の布で、レイセンの剣を払った。途端、炎が悪魔の袖を中心に燃え広がった。

悪魔は、右手の袖で、炎に燃える左手の袖を切断した。悪魔は、カノジョのケンに触れてはならぬと学習した。

悪魔は右手の袖を振るうと、足元の死体から剣を拾い上げた。そして、袖の先に剣を握り込むと、レイセンのくるぶしに向かって、あたかも地面を這う蛇のように、超低空の突きを放った。

レイセンは剣を腰に深く抱え、奥義でその剣戟を受けた。


レイセン『⸻巌流奥義……』


(pic 104 7)


月面、それは室内戦闘において長刀を自在に扱う、古武術の技だ。

本来、室内戦闘においては、刃を自由に振ることのできない長刀は不利である。しかし魔法剣士においては、その限りではない。

彼らは、オーラをその剣に纏う。オーラを纏った剣は、木の柱や壁などは、容易く切断する。

彼らはあたかも牛酪でも切るかのように、空間ごと障害物を切断し、あたかもそこになにもないかのように剣を振るう。これを総称して、剣士たちは月面と呼んだ。


『……新月面!』


今、レイセンは、腰に剣を溜め、膝を深く踏み込んだ。そして、地面をえぐる半月の軌跡で、剣を振り上げた。

その刃は地面を通過し、土塊を弾き飛ばしながら、間欠泉のように天に向かって放たれた。

想定外の角度から放たれた剣の軌跡は、悪魔の放つ鉄剣を完全に捉えた。レイセンの剣は、悪魔の袖ごと鉄剣を弾き飛ばした。

高い金属音を響かせて、鉄剣は空高く宙を舞った。

悪魔の黒い袖が、赤熱するレイセンの剣に触れた。途端に、炎が、残された左腕の袖に燃え広がった。


レイセンは、間髪入れず悪魔に突進した。そして、悪魔の細い体の中心に向かって、突きを放った。

悪魔は、両腕を体の前に交差させ、その剣を受けざるを得なかった。

剣が骨ごと悪魔の両腕を貫いた。そして炎が、悪魔に燃え移った。

悪魔は、全身を炎に包まれながら、人間の放つものではない、奇怪な高周波の叫び声を上げた。


悪魔は飛び退った。そして、川の水面に落下した。


「死ね」


レイセンは追いすがった。しかし、間に合わなかった。悪魔は大きな水しぶきを上げて川に落下すると、そのまま波紋だけを残して消えた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


ドアンナは、少年たちに話しかけた

「大丈夫?」

少年たちはうなずいた

みちゃだめ」

ドアンナは、兄の死体を見ようとする少女の、目を塞いだ

「あなたたあち、走れるわね。私達と一緒に走るの

少年は、動こうとしない

「さあ!」

ドアンナは大声を出した。

そして、彼女たちは走り出した。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

ダスラス!

無事だったか

アイルを呼ぶよ

わかった



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


そうしてしばらく東へ走ったのち、彼らはようやくはじめて避難している市民を見つけた。

 彼らは8人の男女だった。彼らは、家族なのだろうか。若い男は太ももに大きな怪我をし、初老の男に肩を貸されて片足をひきずりながら走っていた。


レイセン「肩を貸します」



「でも女の子じゃ

大丈夫です、鍛えてますから


レイセンは言った。そして肩を貸した

「ありがとうな」

おじいちゃんが言った。


彼女たちが道を走り続けると、ようやく避難者たちの姿が見えた

「ようやく避難者に追いついたようだな。


彼らは、市場の通りを走った

商店街は、甘釣りで大繁盛ていたのだが、今は破壊されていた。

祭りのあと、かき氷機が、倒れていた

屋台は無茶苦茶に破壊され、出店準備している建物の匂いが、あたりに漂っていた


ドアンナは、横目でそれらを見ていた。その時、通りの後ろから足音が響いてきた

恐竜に乗った槍兵が、見えた

やつは突進してきた

「走って!」ドアンナは叫んだ。

「貴方達、先に行って!」ドアンナは叫んだ。「花屋まではしって

「植木を出しとくんだな!わかった!」レイセンが返事をした。


ドアンナ「植物を成長させる魔法」

(pic 104 11)


植木鉢が割れて、植物が急激に成長する

急激に生えてきたカラマツに、流派正面から衝突した。

頭をぶつけた恐竜は、クラクラと足をふらつかせた

槍兵が避けび、靴で龍の横腹を蹴った。


ドアンナは、ふたたび走り出した

体制を立て直した龍が、再び走り出した

自いびきが背後から聞こえた。

そして、道の先に、レイセンたちが植木鉢を一日に出していた

「ナイス」ドアンナは叫んだ。

そして、その地点までいくと、杖を地面に突き刺し、印を組んだ


メギド


植物の杖に蓄えられていたぱわーが、溢れ出した。

それは、植物つなぎになり、爆発的に成長させた

分厚いケガキができ、道を阻んだ。

しかし、龍は炎を吐いた

「なんだって」

植物は枯れ、龍は生け垣を突き破った。

そして、ドアンナを押した倒した。

龍が口を開け、喉の奥にブレスの火が見えた。

そのと、

仮面の男たちが、屋上から舞い降りる

それは、槍兵の首を

切り落とし、次いで龍の脳天を剣でうがった

それは、仮面をつけた男たちだった。


【ドアンナ「アイル!」


(pic 104 10)

ドアンナは叫んだ。アイルは仮面をずらし、素顔を見せた。


早く行け。ここは危ない

ドアンナは頷き、道の先へ急いだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

こうして、ドアンナたちはサンブラン門までたどり着いた。

 

 城門では検問が敷かれていた。衛兵が門の左右に立ち、通過するすべての人間の顔を確認していた。

 当然のことながら、検問を通過するには時間がかかった。避難は滞り、市民たちは焦りだした。


【市民】「何をやってるんだ、早くここを通せ!」

【兵士】「これは王命だ!貴様らは黙って従え!」

市民の叫び声が響いた。それに呼応して、列のあちこちで怒鳴り声が響いた。


レイセン「王命だって?ふざけんなよ」

ドアンナ「ええ。王がこんな命令を出すがはずがないわ……」


兵士は叫び返した。王がこのような命令を出すはずはない。おそらく権力中枢に巣くう売国奴が、王の名を騙り偽の命令を発布しているのだ。

 けが人を乗せた馬車が、列になれんでいた。ヤゴーは男をその荷台に下ろすと、列の最後尾にたむろしているアイルたちのところまで戻ってきた。


ドアンナはアマンダを振り返った。ここを通れるだろうか

彼女の赤い髪は、あまりにも目立ちすぎた



立ち往生しているドアンナたちの隣に、仮面の男が寄ってきた。


【謎の男】「王女殿下」


仮面を外した


ドアンナ「アルス!」


アルス「お前たちをここから脱出させる。着いて来い」



こうしてドアンナたちは、アルスについて行った。男は、街道に面した宿に入ると、部屋の奥の倉庫に案内した。

部屋の中には穀類の袋が積み上げられていた。男は小麦の袋を束にして持ち上げると、その下に木で作られた扉が現れた。

男は扉を開けた。扉の中は、地下へ続く階段だった。


【ヤゴー】「おいおいまた地下かよ」


ヤゴーが言った。男は蝋燭を立てたランプをゲイルに渡すと、先へ進むよう促した。

王女が男をすれ違ったとき、男は軽く頭を下げた。

全員が地下の階段へ降りた。扉は閉じられ、アイルたちは再び地下の暗闇に取り残された。

彼らは先へ進んだ。


「俺たちはここでやることがある。お前たちは先へ急げ」

ドアンナ「わかったまた会いましょう」」


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