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双生記  作者: 鷹枝ピトン
あの頃
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1話 アシナ村のお祭り

 広場を円で囲むように並んだ屋台から香ばしい匂いが漂う。


 串焼きにとうもろこし、これらの屋台群は各地を巡る商人が、この祭りのために招集した。


 食欲を刺激された村人たちは、つい財布の紐を緩めて屋台の前に並んでしまう。


 日はもう暮れる頃である。


 茜色の空を背に、毛深い男たちは、野外で酒を飲み交わしている。


 男たちはみな屈強な見た目で、傍らには剣や盾を立てかけていた。


「おい姉ちゃん!酒出してくれ!」


「そんなに飲んだくれて明日のダンジョン探索に響いても知らないよ」


「へっ!酒のせいで死んだら本望だね」


 樽ジョッキで出された酒を、男は豪快に流し込む。そして大笑いをする。


「これだから冒険者は野蛮だ」


 酒場の従業員である女は、その様子を呆れたように眺める。


 ここはアシナ村。冒険者の集うダンジョン村である。


 今日は年に一度の夏至の祭り。アシナ村を拠点とする冒険者たちは、この日は一層ハメを外してどんちゃん騒ぎする。


 そんな喧騒のなかを楽しそうに走り回る2人の子供がいた。


「すごい人通りだね、フレア」


「おうよっ!うちの村の祭りは世界一だぜ!はぐれるなよ、リーファ!」


 赤い短髪の女の子が、緑色のおさげの女の子の手を引いている。


 赤髪のほうがフレア。緑髪のほうがリーファ。ふたりは別々の村に住んでいるが親が兄弟のいとこ同士である。


 フレアはこのアシナ村に住んでおり、バッタル村に住むリーファを今日は案内している。


「へへッさっき飴菓子の屋台があるって聞いたんだ探そうぜ」


「飴ー!大好き!半分こして食べよー」


 フレアは銅貨の詰まった布の財布を懐から取り出す。


 両親たちから祭りの日だから2人でなにか食べてきなさいと渡されたお小遣い。粋な計らいである。


 賑やかな祭日を、少女たちは笑顔で駆け回った。

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