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見慣れたその身体を背にベットに座り込む。
「なんか食べて帰る?」アケミは淡々とした口調でそう尋ねる。
「うん、どっちでもいいよ」疲れており考えることも面倒に感じそう答える。
彼女が本当にアケミという名前なのかも、苗字も知らない。それはお互い様なのだが。
彼女と出会ったのはちょうど1年前。肌寒い季節であり仕事が上手くいかずに燻っていた時期だった。昔から家族仲も良く何不自由なく成人になるまで育ってきた。大学時代に彼女もでき、友達も多くも少なくもなくそれなりに楽しいと思えた。しかし、仕事を始めてからは何もかも無気力であり、今まで楽しめていたことが楽しめなくなっていた。ややヤケクソになり始めて入れたマッチングアプリでマッチングした女性がアケミである。これは浮気であるが、1年間やめるにやめられず続いている。
「このままでいいのかな……」ずっと考え続けていたからかふと声に出てしまったのだろう。
「ん?」聞こえなかったとでも言うように聞き返すが、本当はアケミもそう感じている部分はあるのだろう。